第3章.魔法や力をくれる奴は大体良いやつだが、マスク一つでくれる奴の印象は変わる
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人は大小問わず、何らかの“願望”を持つ。
本来、『願望』とは意識されていない欲望を指すが…
ごく稀に、その事に気づく者が現れることがある。
己の『願望』に気づいた者は大抵は叶えるべく、行動に移している場合が多いのだが。
その中でも…色濃く思想を抱く者。
“願った欲”をより強く想う者は“人外”となり、“人外の域”に入った者は『願望』と同質の力を得るのだ。
愛しきモノを思う純粋足る願いであれば他を守る、奇跡をもたらす力を。
憎悪に満ち複雑に歪んだ願いであれば全てを破壊する、厄災をもたらす力を。
全て等しく、己の願いを満たすため。
だが、私欲を満たせぬ者はより深く『願望の欲』を満たす術を渇望し、歪んだ思想を抱き力を欲する。
そう言った者はやがて、自我を、自分の姿すら保てなくなり…
欲望のままに願いを貪る存在。
『怪魔』と成れ果ててしまう。
◆◆
「…………これがキミを襲った“バケモノ”の正体だよ」
「……うそくせぇ上に話がイテェ」
机の上に胡座で座り頬杖をつきながら、老人の話をいまいち話が理解出来ていなさげな表情で聞いていたカガリはジト目で睨み付けた。
しかし、老人はカガリの態度に不満を抱くわけでもなく小さく笑うだけで取分け諫めようとはしない。
逆にその老人の態度が気に入らないカガリの方が不満げであった。
「じゃあ、なにか?オレを襲った『怪魔』だとかなんとか言うあれは実は人間で、えっと、なんだっけ?『がんぼーの力』、だっけか?それをあの扉の向こうで一人で勝手に満足しながら今もワイワイ楽しく叶え続けてるってわけか?」
「……概ね、そうだと言っておこうかね」
彼女の頭の残念さに老人はやれやれと頭を左右に振り、頭に被っていたシルクハットを机に置いた。
それを見ていたカガリは置かれたシルクハットを乱暴に取り上げ、老人に突きつけるように向けた。
「なあ…さっき、あの“バケモノ”を探してたって言ったよな?どういうことだ?ジジイのお友だちか?」
「お友だちか、面白い冗談を言う。そういうキミは……」
「質問してんのはこっちだ。テメェ、“何者”なんだ?」
「……ワタシが何者か、知ってどうするつもりかね?」
「それはオレの自由だ。さっさと言えよ。さもなきゃ年寄りだろうとぶん殴る」
「その怪我でかね?無茶苦茶だな、キミは……」
「良いから答えろよ」
カガリは目を逸らすことなくマスクのしたにある老人の目を見つめ真意を訊ねる。
すると、老人は観念したのか諦めたようにタメ息を吐くと椅子に深く寄りかかり、口を開いた。
「…ワタシはね。“五百年ほど昔にこの世界にやってきた違う世界の老人”と言ったら、キミは信じるかね?」
「あぁ、信じるぜ。なるほどな…長生きなじいさんだ………ちょっと待て!今、なんった?!」
「“違う世界の老人”と言ったのだが?」
「そこじゃねぇよ!五百年?!五百年ってことは……あぁ~…何歳だ?!五百歳か!?」
老人の衝撃的なカミングアウトにも関わらず、食いつく所が若干ずれてしまっているカガリに老人はやれやれと目元を押さえた。
「外にも“バケモノ”!ここにも“バケモノジジイ”!!“バケモノ”のだらけじゃねぇか!!!」
「怪魔と一緒にされては困るな…お嬢さん。それと、さっきから勘違いしてるようだが、此処はワタシの『部屋』であって、“怪魔がいた場所”とは繋がっていない筈なのだが…?」
「なに寝ぼけたこと言ってやがる!オレはあの扉からここに来てんだ!っうか、あの扉おかしいだろ!?出てくるときは真っ直ぐなくせに何で入る時だけ落とし穴みてぇになってんだよ!!」
「なに…?!そんな、バカなことが…!?」
老人の一言に苛立ったカガリはビシッ!と自分がやって来た扉を指差しながら訴えかけると、老人はカガリの言葉に驚いたのか、慌てた様子で扉の方へと向かっていく。
「……急にどうしたんだ?」
老人の態度を不審に思ったカガリは首を傾げさせながら老人に言う。
「信じられん…まさか…こんなことが……?」
「おい、ジジ………」
「キミ!!名前はなんと言うのかね!?」
「うぉ!?急に振り返んな!!こえぇよ!」
「名前はなんだね!!」
カガリの呼び掛けが耳に入っていないのか、老人は一人ブツブツと呟いていると突然、カガリの方へと振り返るなり鬼気迫った声でカガリの名前を訪ねてきた。
その迫力に圧倒されながら、カガリは不服そうに答えた。
「轟カガリ…」
名前を聞いた瞬間、老人の目が見開かれたような気もしたが…
カガリはばつが悪そうに頭を乱暴に掻きむしり、老人からそっぽを向く。
「で?一体、名前がなんだってんだよジジイ」
「……この扉はね。ワタシの『部屋』と『外の世界』を行き来する為の出入り口になっているのだよ」
「あ?急にどうした?難しい話はわかんねぇぞ」
「なら、簡潔的に言おう。この扉は“魔力”でのみ開かれる特別な扉なのだ」
老人は扉に手を触れながら言うが、いまいちピンときていないカガリは険しい表情を浮かべた。
「“魔力”で開く、ねぇ……へっ、うそくせぇ。テメェがしまい忘れただけだろ」
「ワタシの“魔力”でなければこの扉は開かない。それどころか、ワタシの意思以外で勝手に『外』に繋がるなどあり得ないことだ」
「…“バケモノ”が近くにいたからじゃねぇのか?オレ、襲われてたし」
「確かに怪魔の持つ『願望の力』も“魔力”の一つだ。だが、“キミだけが扉に入れて怪魔は入れなかった”……その事実がキミだ。キミだけがこの部屋に入れた…」
老人はカガリを指差し語り続ける。
信じがたい。そんな目で、カガリを見つめている。
「キミはワタシを何者かと訪ねた。だが、ワタシからすればキミこそ何者かね…?ただの人でありながら怪魔を見て取り乱すどころか、無謀にも挑み、怪魔の攻撃を受けてなお生きているその生命力…とても理解しがたい…」
「けっ…何者も何もオレはテメェの言う通りただの不良だ。気にくわねぇ野郎がいればぶん殴るし、意味もなく喧嘩すりゃ必要以上に怪我させて病院送りなんて日常茶飯事。町を歩けばみんな、オレを怖がって寄りつかねぇ。信用なんざねぇから楽だぜ?因縁をかけすぎて中三の終わり頃には警察の野郎だってお手上げの極悪非道の厄介者さ」
自慢話をするかのように笑うカガリ。
老人はそんなカガリをジッと見つめ、優しくカガリの頬をしわくちゃな手で触れた。
「うぇぇ?!やめろきもちわりぃ!いきなり何さわってやがる変態ジジ……!!」
「キミは“それで良い”のかね?」
突然の老人の言葉にカガリは面食らったかのような顔をし、老人の言葉にどう返していいのか言葉を模索する。
返答が見つからず黙るカガリに老人は静かに言う。
「キミは自らを“悪”と言うが……本当は怖いのでは無いかね?」
「ああ?!」
「まるで傷つけられた野良猫のような『魂』だ…。暴虐の限り尽くし孤高となって尚、百獣の王と言わしめるライオンを真似する。本当は恐れに怯える臆病な野良猫……キミはまさにそれだ」
「テメェ……マジ、ぶっ殺すぞ…」
殺意すら感じさせる目で老人を睨み付けられても、老人はそれでも真っ直ぐにカガリの瞳を見つめ、言葉を続ける。
「触れようとする者全て傷つけて何になる?自身を貶めて何の得がある?キミは……」
“何故…“悪”であることに拘っている…?”
「うるせぇーーーーっ!!!」
我慢の限界言わんばかりの叫びを上げ、カガリは老人を殴り飛ばす。
老人は呻き声一つ上げることなく勢いよく地面に倒れるとカガリは息を荒らげながらすぐさま老人の前へと立ち、胸ぐらを掴み上げた。
「あんま、調子こいてベラベラ喋ってんじゃねぇぞくそジジイ…!!会ったこともねぇテメェがオレの人格を語ってるんじゃねぇ!!」
「では何故、身知らずの少女を助けようとした?それこそキミがもっとも嫌う“偽善”ではないのかね?自分は“正しい行い”をしたと“称賛”されたいだけかね?」
「人の頭ん中、勝手に覗いてんじゃねぇぞ!!!あのクソ女を助けるつもりなんて最初からねぇよ!!!!」
「ならば何故、怪魔に挑んだ…!」
「頭ん中勝手に覗いたんだったら分かってんだろ…!!」
カガリは拳を振り上げ、老人を真っ直ぐに睨み付けながら怒声混じりの声で言った。
「やられっぱなしなのは気に食わねぇんだよ!!!!!」
「……なるほど」
拳を振り下ろした瞬間、カガリの目に老人がマスク越しで笑ったかのように見えた。
“パシッ…!”
「あ?!!」
「なら、証明してくれたまえ…」
振り下ろされた拳がいとも簡単に老人の手によって止められた。
その衝撃な事実に表情を強張らせ言葉を失ったカガリの手を優しくどけ、老人は試したかのような気品ある笑い声を漏らし、立ち上がった。
「悪であろうと、正義であろうと…キミがキミ足らしめる意味をワタシに見せてくれ……その代わりに力を貸してあげよう」
「ち、力だと…?要らねぇよ別に…!!」
「力無くしてあの怪魔とどう戦うつもりかね?」
老人のもっともな言葉にカガリはうっ!と呻き、言葉を詰まらせた。
老人はやれやれと頭を振ると手のひらを前に、カガリに見えるように開いて差し出す。
カガリは数分間悩んだ末、差し出された老人の手のひらに合わせるように手を置いた。
「力を使うかどうかはキミ次第だ。ワタシはキミの行く末が見たいだけだからね」
「……ち、力ってさっき言ってた“魔力”とか言う奴だよな?オレ、怪魔になるのか?それともガキ向けのテレビとかでやってる“魔法使い”になるのか?」
カガリのやや不安げに上擦った声に老人は意外だと言いたげな目をし、小さく笑った。
「魔法使いか…キミの場合は“魔法少女”と表現した方が正しいかもしれないね」
「ま、魔法少女だと!?フリフリのドレスとか着て、バカみてぇにキャッキャッウフフしながら戦うあれか?!!じょ、冗談じゃねぇ!!オレは不良だぞ?!!」
「なぁに、ただの比喩表現だよ。変身してなる姿なんて、キミのイメージでしかないさ。それに…人は皆、魔法だ、奇跡だとは言うが……『願った欲』からなる力など…“呪い”のようなモノさ…」
二人を囲むように足元から赤い文字で書かれた魔方陣が風を帯び浮かび上がる。
風が強くなるに連れ、魔方陣が赤い光を強く発していき、カガリは何が起こっているのかと慌てた様子で頭を右往左往させる。
「勘弁しろよ!!“呪い”って言われた方が百倍嫌なんだが!?」
「ふふ、怖いかね…?安心したまえ…呪いと言っても、キミが『願った欲』を間違えなければ、ちゃんとキミの力となるよ」
老人の腕から赤黒い色の模様が浮かび上がり、まるで生き物ように繋がれたカガリの腕へと向かっていく。
それを見ているカガリは怪魔に襲われても恐怖すらしなかったにも関わらず、老人から向かってくる赤黒い模様には恐怖に怯えた表情を浮かべた。
「大丈夫なんだよな?!大丈夫なんだよな?!!大丈じょうあっ!?!!??」
赤黒い模様がカガリの指に触れた瞬間、カガリの体に何かが入り込んでくる感覚に襲われた。
身体中に巡る血流が煮えたぎっているかのような程に熱く、脈打つ心臓の鼓動がバカにでかい音を立てる。
「ぅあ…!!あぁぁあぐ…!!!テ、メェ……ジジイ…!!聞いて、ねぇ、ぞ…!!!!?」
「言わなかったよ。『願望』に気づいていない者に無理矢理に力を与えるのだからね。力を得るのは零か百…死ぬか生きるかだった。無理に覚醒させれば死のリスクがあると言って…キミはワタシの手を握ったかね?」
「ふざ……けんな……があぁぁああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
模様がカガリの手のひらに移り赤黒い色が『青く黒い色』へ変わっていく。
青黒い蛇が這うかのようにカガリの腕へと移動していく度に全身の肌が焼き爛れそうな程の熱を帯び、カガリは堪らず老人の手から滑り崩れるように膝から倒れた。
「他の誰でもない、キミ自身の選択が正しかったものだと証明するには力がいる…それが“魔法”であり、“呪い”であろうと…キミと言う『悪』が、世にいる自分以外の『正義』に知らしめる他ならない…」
“自分は間違ってなかったと”
「うあぁぁぁぁ!!あぐぅっ!!ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
叫ぶ喉が裂けたかのような痛みでより悲鳴が上がる。
青黒い模様が喉を伝い、カガリの額へと移動し、光を纏い全身に広がった。
それを見ていた老人は空をなぞるように右の人差し指を振るうと、扉がゆっくりと開かれていき、全身に起きる激痛に悶え叫んでいたカガリの体が宙へと浮いた。
「『ブラックローズ』…キミの『魔法少女』としての名に使うが良い」
そう呟く老人は文字を描くように人差し指を振るい、カガリを開かれた扉へと勢いよく投げ飛ばした。
「生きていたら会いに来てくれたまえ…なぁに、『案内人』はちゃんと仕えさせてあるから安心したまえよ」
閉まっていく扉の最中、老人は出口の見えない扉の向こうへ飛んでいくカガリに紳士的態度でそう言うのであった…
「“最期に嗤うものは誰かは分からない”、頑張りたまえ。轟カガリさん」
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体が冷たい…オレは死んだのか?
だとしたら…易々とあの老人に手を差し出した自分が悪いな…
「………い…!…るか…?」
胡散臭いジジイを簡単に信じて死ぬだなんて、笑えない。
結局、あのクソ女と“バケモノ”のせいで飯も食えなかった、せめて最後くらい腹一杯になってから死にたかった…
「おい!起きるである!!!」
「うるせぇ!!死んでるときくらい思い出に浸らせろ!!」
騒がしい呼び声にカガリは飛び起き、怒り散らす。
そして、カガリはハッと我に返り、自分の体に手を触れ存在を確かめた。
「傷が治ってる…?それにオレ、生きてる…!!はは…ギャハハハ!!ラッキー!!マジ、ツイてる!!!ざまーみやがれクソジジイ、生きてやったぞ!って、あんのクソジジイィィィィ!!!もうマジ勘弁ならねぇ!!ぜってぇーぶっ殺すっ!!」
「静かにしないか!怪魔に見つかってしまうぞ!!」
「うっせぇなさっきから……って、ここは…」
騒がしいことこの上ないうえ、鼻息を荒らげ殺意を込めた決意を決めて叫ぶカガリにどこからともなく、声が聞こえてきたので辺りを見渡すと、いつの間に戻ってきたのだろう。
扉に落ちた場所のコンクリート部屋に戻っていることにカガリは気がついた。
その証拠に、怪魔の攻撃で崩れた瓦礫と天井に吊るされた“モノ”はしっかりと残っている。
「うへぇ……あの“バケモノ”、悪趣味過ぎんだろ…」
「怪魔は『願った欲』に忠実で本能的であるからな。恐らく、そのせいである」
「なるほどねぇ…一体どんな願いを願ったんだか……って、誰だよ!?」
謎の声が聞こえる事にようやく、気がついたカガリは動揺し声がした辺りを見渡すがその声の主の姿はどこにも見当たらない。
「貴様、さっきからうるさいぞ。怪魔に見つかったらどうするつもりだ!」
「うぉぉ!?なんだ!?」
すると…バサバサバサバサ!とカガリの目の前に小さなぬいぐるみサイズの大きさの生き物。それも首輪のように青い薔薇を付けた生物が羽ばたいてきた。
一度は見たことがあるその生物のふっくらな見た目にカガリはギョッとした。
「こ、コウモリか!?てか、喋った!?」
「いかにも、わが輩の名はデ・アール。魔法少女として新参ものの貴様に使い魔として助力するよう、我が主さまから命じられてきた気品と気高き『青薔薇の蝙蝠』である」
「別にそんなオプション要らねぇから帰って良いぞ」
「なっ!?」
デ・アールと名乗る蝙蝠の礼儀正しいお辞儀を無視した挙げ句、廊下に出ていこうとしているカガリのその思いがけない辛らつな態度に呆気を食らったデ・アールは慌ててカガリの前まで羽ばたいてきた。
「待てまてまて!貴様、どこに行くつもりだ!?」
「帰んだよ、着いてくんな!」
「帰る?!怪魔を置いてか!?」
「オレにはなんの関係ねぇからな!」
「怪魔を倒す為に主さまから魔力を授かったのであろう!?」
「あんな死ぬか生きるかの博打みてぇなやり方されてはい、わかりましたと素直に言うこと聞くとでも思ってんのかテメェ!?」
「話が違う!!魔法少女になっておきながら戦わないなんて詐欺である!!」
「そんなキャピキャピしたもんになれっか!!」
「だから、怪魔に見つかると言っているだろう!!!声を荒らげるな!!」
「テメェの声の方がデケェだろ!!!」
「キャァァァァァ!!!!」
どっちもどっちの騒がしい口論を繰り広げていた二人の耳に通路の奥から大きな悲鳴が響き渡ってきた。
「あっちの声の方がデケェな。ハハハ」
「笑ってる場合かね!?あの悲鳴は恐らく、貴様と一緒に連れてこられた少女のものだ!!」
「…あのクソ女、まだ食われてなかったのか」
「手遅れになる前に急ぎ向かうであるぞ!」
「嫌だね。オレを巻き込んだくせに助けてもらえるだなんて大間違いなんだよ…てか、そんな事よりあの扉はどこにあんだよ?ジジイを殴らなきゃ気がおさまらねぇっうの…」
「あの少女を助けたら教えるである」
デ・アールの一言にカガリはピタリと動きを止め、ジッとどや顔を決めるデ・アールを睨み付けた後、観念したのかガックリと肩を落とし頭を乱暴に掻きむしった。
「あぁもうわかったよ!ったく、しょうがねぇなぁ、めんどくせぇ…!おら、さっさと案内しやがれ!!」
「こっちである!」
翼膜を羽ばたかせ、デ・アールが先導しながら急いで声の聞こえてきた方へと飛んでき、カガリはデ・アールの後を追いかけ、暗闇の中を進んでいくのであった。