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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第七章 秘密咲き誇る地底の花街 〜精霊族と落人族、暗夜王と白夜姫〜
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第六十八話 簪職人と白銀の匠

累計50,000PV超えました!

これからもよろしくお願いします!

場面は変わり、ここは精霊境【トウゲン】のとある丘。


「•••••?」


そこに寝そべる一人の、いや一匹の精霊が何かに呼ばれるように目覚めた。


「なんだろう、この感じ•••」


その胸の内に生まれた暖かい感情に戸惑いを感じるもすぐにその正体に気づき、目を輝かせる。


「そうか、いるのか。俺の宿縁が•••ようやく!」


そういっては飛び立つ、自らを呼ぶその宿縁の元へーーー。


彼が物語に関わるのは少し先の話である。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


場面は変わり、地下の都【ウキヨバナ】に辿り着いた壱路一行は突如、暗夜王による襲撃を受け、三方向

(壱路とリュア、

アルシャークとヒルデにウリ、

テンイートと天太郎にツクヨ

という割り振りだ)に分かれてバラバラに、吹き飛ばされてしまった。


そして壱路はというとーーーーー眠っていた。


「う、ううう•••••っは!」


目覚めるとそこに見えたのは、


「••••知らない天井だ」


一度は言ってみたい目覚めのセリフを言いながら起き上がる壱路。どうやらここは部屋の一室のようだが、驚きを感じたのはそこが障子と襖と畳造りの部屋だったことだ。その日本的なつくりに一瞬懐かしさを感じる。


(•••そうだった、僕達はあの軍服衆と某世紀末覇王に似た人に突然襲われて、ぶっ飛ばされたんだ•••って、僕の荷物は?!)


いつも身につけてる周りを見渡すと枕元に『オウリュウ』、いつものコート、そして魔法の袋(ウエストポーチ型)が置かれていた。


「どうやら盗まれなかったようだな、よかった、よかった」


そういって持ち物を再び身につけていると襖が開く音がした。


「あれ、起きたのか?」


そこに立っていたのは道着のような着流しを身につけた青年だった。肌は雪のように白いが髪は焔が煌めくように赤い。


「•••あんたが助けてくれたのか?」

「あぁ、突然うちの納屋に落ちてきたから驚いたんだな?あんたと髪の白い可愛い女の子だっただな•••」


その言葉を聞き壱路は目を見開く。


「!そ、その女の子は何処に!?無事ですか!?」

「今別の部屋に寝てるぞ?幸い怪我はなかったしな、ぐっすり寝てるんだな」

「よ、よかった〜!っててて!」


ひとまずリュアの無事を確認してホッとしたところで背中に痛みが走った。そしてふらついて足がもつれた。


「無理しない方がいいんだな?あんたはあの子を庇って背中に落下の衝撃を受けたんだと思うから、しばらく安静にしといたほうがいいんだなぁ」


何処かの大将を思い出させるのような口調で青年は壱路をそっと支える。


「あぁ•••••(あの某世紀末覇王め•••••次会った時は確実に捻じ切る!)」

「(そうですよね!いきなり攻撃してくるなんて酷いです!)」

「(あ、フォウン無事だったんだ、•••そういえば他のみんなは無事かな?)」

「(さぁ、無事だといいんですけどねぇ•••••)」


暫しフォウンとの脳内会議を繰り広げていると先程の青年が話しかけてきた、壱路はすぐに意識をそこに移す。


「そういえば自己紹介が遅れたな、オラはアマツチ・グールカルト、簪職人見習いをやってるんだな」

「僕は•••イチロ・サガミ、旅人だ」


ここは素直に自己紹介をしておく壱路。礼には礼を持って返すのが壱路のポリシーだったりする。


「そういえばさっきかんざし職人って言ってたけど•••」

「あぁ、ここじゃあ、簪は灯り女のステータスみたいなもんだからな、オラは師匠の元で簪造りを勉強してるんだ、元々は違う物を造ってたんだがな」


どうやらここではかんざしは灯り女にとって重要なものらしい。簪は元の日本にもあったが実物はどうなのか見たこと無いので確かめたいと壱路は思っていた。


「へぇ、ちょっと見せてもらっていいかい?」

「いいが•••オラはまだ見習いだからヘタだぜ?師匠と比べるとだなぁ•••」


そう言いながらもアマツチは自らの仕事場に壱路を案内した。


そこは鍛冶場、火と鉄の匂いが混じる部屋、暑苦しいが何処か心が落ち着くのは謎だ。


「これは••••すごいな、こんな立派なもんなんだ」

「こっちの半分はオラの師匠が造ったもんでもう半分はオラのだな」


簪の造りは凝っており、どれも美しい物ばかりだったが、これがさらに輝くのは女性がその簪の身につける時だろうと壱路は思い、その簪達を見てふと思った。


「へぇ•••••(ん、この造り、何処かで見たことあったような•••••)ん?」


簪の造りにどこか引っかかりながらもじっと簪を見ていく壱路。そんな中で壱路の目は一つの簪を見つめていた。


「これは?」

「それはオラの作品の中で一番の出来だな、作名は『白月』だな」


その簪は玉簪と言うもポピュラーな簪の一種で、耳かきのついたかんざしに玉を1つ挿してあるだけのもので、シンプルな造りだが、そのきめ細やかさと飾り玉に描かれた白い月と黒いかんざしの足《くし部分》がなんともいいバランスを取っている。


「•••••ねぇ、これ売ってくれないか?」

「えぇ!?い、いいのかだ?」

「なんか気にいった。それに•••(あの子に似合いそうだな)」


壱路の脳内である少女の姿が浮かんだがこれは秘密という事で。


「あ、ありがとうだなぁ!」


そして簪を購入し、アマツチがそれをきっちりと包装してるのを待っていたその時、突然脳内で声が響いた。


「(イチロ!大変だ!)」

「(オウリュウ?)」

「(ここに仲間・・がいる!しかも一つだけじゃない、たくさんいるよ!)」

「(••••••••本当か?)」


オウリュウの言葉を聞き、壱路は静かにアマツチに問いだした。


「なぁ、アマツチ、聞いていいか?」

「へ?何をだ?」


アマツチは気づいていない、壱路の声に暖かさが消え、氷河のような冷たさを宿していた事に。


「あんたの師匠は••••元々武器を造る職人をやってなかったか?」

「あぁ、師匠は元武器専門だなぁ?なんでも上から来たじゅーじん?らしいんだなぁ!オラも元々武器専門をやってたんだが、師匠に憧れてキッパリ簪一筋だぁ!」

「それとその師匠は•••」


さらに問い質そうとしたその時、鍛冶場の扉が開かれた。


「ただいまアマツチ、今帰りましたよ」

「し、師匠!」


そこに立っていたのは白銀の長髪を揺らしながら歩く若い男、だが彼のまとう重く静かな雰囲気が彼を至高の存在である事を教えてくれる。彼がアマツチの師であり、壱路の考えが正しいのなら••••彼女・・の探し求めた人物である事は確定であろう。壱路は逸る気持ちを抑え、静かに問い掛けた。


「•••••••あなたが、アマツチの師匠さんですか?」

「あれ?お客さんですか?はい、そうですが•••••••!?そ、その刀は!」


若い男は壱路を、正確には壱路の腰に挿した刀を見て驚愕の表情を浮かべる。


「初めまして、ですね。あなたにはずっと会ってみたいと思っていましたよ、いつの間にかあなたに会う事が旅の目的の一つになるほどにね?」


壱路は言葉を重ねる、内にある激しい感情を抑えながら、上っ面だけの笑顔を浮かべてーーーー。


「••••ようやく会えましたよ、かつて『九生竜器』と『四霊器』を造りだした天才鍛冶職人、ザン・レイジューンさん?」


そう、彼こそが『九生竜器』と『四霊器』の製作者であり、リュア・レイジューンの父親、ザン・レイジューンその人であった。


次回!


ついにリュアの父親、ザンと対面を果たしたイチロ!そこで交わされる言葉とは•••。

再会はなるか?!そして新たな出逢い?!


乞うご期待!

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