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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第六章 三国大戦 〜英雄、表舞台に現る〜
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第五十八話 イチロVSナガザ、全力の戦い

今、決闘の火蓋が切って落とされた。壱路は『オウリュウ』を慣れた手つきで鞘から抜刀し構えた。一方ナガザは特に準備をする様子もなく、腕を組んで仁王立ちしている。背中には何か長袋を背負ってるがあれは得物だろうか、しかしそれを使わないとなると完全に攻撃を誘っているのは、舐めているのか余裕があるのか••••そんな中事態は動き出す。



最初に動いたのは壱路だ。



(誘っているならこっちから仕掛ける!)



自らに脚力強化の《韋駄天》と腕力強化の《金剛》をかけ、周囲の環境に干渉し、足場を整え抵抗をなくし、音速の速さで駆け抜け刀で斬りつけるーーー。



ガキィギギィン!



しかしその一撃は簡単に防がれた。しかも素手で。



「なかなかいい一撃だな」

「•••••それはどうも」

「がはははは!では次はこちらの番だな!」

「って、うわぁぁぁぁぁ!」



壱路は刀ごと振り回され投げられた。何とか体勢を立て直すが獣王はその隙をついて接近してきた。壱路も距離を取るが体力の差か経験の差か、徐々に距離が近づいていく。



(き、きつい。やっぱり最強と言われてるのは嘘じゃないってか•••なら!)



壱路は走りながら手を後ろに回し、魔法をかけた。



「ぬっ?!」

「《土荊》&(アンド)貪り食う足枷(グレイプニル)&(アンド)《泥沼》」



土の棘が、見えない鎖が、底なしの沼が表れる。



壱路はありったけの拘束を獣王にかけ、一瞬は止めたのだが••••。



「ふぅ、これでも足止めにすらならないが充分距離を取れたか?!」

「むぅ!足止めか。舐めるなぁ!」



しかしそれらを強引に破り獣王は突撃するーーー。そしてチラッと後ろを振り返ったその時、壱路の目に飛び込んできたのはとんでもないものだった。



「うおおぉぉぉぉ!」

「えぇぇぇ!?」



それは岩だ。直径で五百メートルはある巨大な岩。それが壱路に向かって降り注ぐ。



なんと獣王は素手で地面を抉り出し、それを片腕で壱路に投げつけたのだ。いくら獣人とはいえこれは人間離れしすぎてる。



間一髪のタイミングで避けるが、壱路の脳内では打開策を考えながら先程の岩に続き降ってくる岩を避けるのに神経を割いていた。



「やばい•••••コレはマジだ」

「ふはははは!どうしたどうした!これでおしまいか?!」

「••••仕方ない《天翔》」



壱路は空を奔りながら覚悟を決めた。勝負を楽しむとかいう思考を持たない壱路だが、この戦いは負ける事が出来ない。だから使う、自身の魔法の本来の使い方をーーーーー!



「さて•••勝負を楽しみたいあんたには悪いが、見せてやるよ。本当の〈支配〉って奴をな」

「むっ、何をする気だ!」

「•••••爆ぜろ」

「がっは?!」



突如獣王は膝をついた。それに周囲の環境が一変する。地面はひび割れ、そこから溶岩が溢れる。そして空気は凍りつき、風は荒れに荒れた。まさに天変地異を一気に引き起こしたような光景だった。



そう、壱路は獣王の周囲の環境を改変したのだ。壱路の魔法はただ物体を支配するだけではない、その本質は魔力のある所なら既存の法則をも塗り替え改変してしまう事、つまり世界を変える魔法だった(まぁ、新たな効果やそこにないものを生み出すとなると1分程度しか持たないが)。



「あんたにはまともに戦ったら勝てないからな、周囲の環境自体を改変させてもらったよ。いくらなんでもこれに対抗できる術はないだろう?」

「き、きさま、只者ではないな••••••」

「そうだな、•••••敢えて言うなら、唯の異世界生まれの支配者ドミネイター、かな?」



話しながらも獣王の声がしなくなり、流石にやり過ぎたかと思った壱路は近づいてみる。するとーーーー。



ぞくっ!?



一瞬妙な寒気を覚え、壱路は後ろに下がった。



「な、なんだ••••••あれは」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



獣王は生きていた。それも何故か身体から紅い蒸気を出し、髪は逆立ち、眼は瞳孔が開き、獣のようになって。手には背負っていた長袋に入っていたのか獣の顎が象られた巨大な斧が収まっていた。その斧の柄を見ると荊の装飾があり、それがナガザの手に巻き付き傷をつけている。それは微かだが確実に、棘より血をすすり、肉を喰らっていた。それに応じて紅い蒸気はさらに激しさを増している。



壱路は知らないがその斧は獣共和国の獣王が代々受け継いできた武具であった。使用者が己の血肉を捧げる事で刹那の瞬間、神をも喰らう力を、あらゆる環境、攻撃に対応する力を得る代わり、その意思を奪おうとする魔性の斧。



名はーーー『神喰斧・ヒャクジュウ』。



それを振るう獣王は笑っていた。これを使うほどの相手に獣王は出会えなかったから、今こそ自分の本気をーーー世界に、愛する子たちに、民に示す事ができる。それが嬉しかった。



「あはははははははははは!イチロ・サガミ!見せてやろう、獣王の本気をな!」

「うっわーーー、面倒だな••••これは」



壱路は今までで最大の危機と対峙する。


次回!


獣王ナガザの本当の実力に絶体絶命のイチロ!

そんな中、イチロはついに一年の旅で身に付けた新たな力で迎え撃つ!

金色に輝くその力の名は•••••?!

この戦いを見逃すな!


乞うご期待!

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