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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第六章 三国大戦 〜英雄、表舞台に現る〜
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第五十五話 開戦の狼煙と会議と奇策

偶然と偶然が最悪の形で重なり、獣共和国から五万の兵が進軍しているとの情報が壱路達の耳に入ったのはその数時間後の事であった。



「面目無い」



壱路が頭を下げた。普段の壱路の態度からではあり得ない事だが、直接的に獣共和国の戦争の口実を作ってしまった事に罪悪感を少々抱いてるようだ。



「いや、謝るのはこっちだ。もう過ぎてしまった事だし仕方ないが、こちらも配慮が足らなかったばかりにこんな事態に••••」

「いや、でもこれ結果的に誘拐しちゃったから!戦争起きちゃうから!ごめん!もっと考えるべきだった!」

「あまりお気になさらないでくださいイチロ様。そもそも獣共和国が攻め込んでくるのは前々から情報がありましたし」

「•••••••マジですか?」

「マジです」

「そうですよマスター!まだ最悪の事態の一歩手前なだけですしまだまだ挽回できますよぉ〜!」

「そ、それはいい事なの?」

「はい!マスターは状況をひっくり返すのは得意ですから!」

「•••••そうだな、よし、分かった。この状況をひっくり返すぞ!」

「おぉーーー!」

「これでいいのかしら••••、あ」



部屋のソファに放置されかかっていた二人の少女に気がついたピアはそっと近づき、優しく丁寧に話しかけた。



「••••あなたが獣共和国の第二王女で金眼の姫、ミンア・レオズ様ですね?」

「はい、え?えっと貴女はだれ?」

「ご紹介が遅れましたね。私はこの魔王国を治める魔王、名をピア・リアスピナ・エクリプスと申します」

「え?!魔王?!貴女が?!」

「き、きれい••••」

「ありがとう、貴女は?」

「はい、リュア・レイジューンと申します、そのイチロさんとは前に一緒に旅をしていて••••」

「ヘェ〜、じゃあ君がイチロ君が言ってた獣人の子か〜」

「は、はい〜、イチロさんが一年経ったらまた来るって約束していて•••」

「ふふふ、そうだったんですか。この一件が済んだらお茶を飲みながら色々と話したいですね」

「ははははは••••」



和やかな空気が流れる中、不意にドアを叩く音が聞こえた。



「魔王様、そろそろ会議が始まります。あと、チャンドラ様が他の方々も来るようにとの事です」

「分かった。いま行くとつたえろ。悪いがあなた達も来てくれるか?」

「「「「は〜い」」」」



そう言ってイチロ達は部屋を出て行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その頃、魔王国に向けて進軍中の獣共和国軍は•••••。



一人の男が複数の兵士に抑えられながらも大暴れをしていた。



「えぇい!離せ!離すのだぁぁ!」

「父上!落ち着いてください!」



暴れているのは獣共和国の王であるナガザ・レオズ、そしてそれを兵士と共に宥めているのは彼の息子で次期王位継承者、ティガン・レオズである。



「何を言うのだ、ティガン!ミンアが攫われたのだぞ!貴様妹が可愛くないのかぁぁぁぁぁぁ!」

「しかし父上、単身で乗り込むなど無謀にも程があります!」

「黙れぇ!男とはたとえ負けると分かっていても、戦わねばならない時があるのだぁ!」

「言っていることがめちゃくちゃですよ!!!」



ナガザの娘が絡む時の行動力にはティガンもほとほと呆れていたのだ。



一方その後方でも一人の男が暴れていた。皆さんご存知の壱路がリュアと共に旅をしていたアルシャーク・シラードである。



「は、放せぇ!放してくれぇ!俺を行かせてくれぇーーー!」

「うるさいよ、この馬鹿弟子が!」

「ふごぉふ!」



アルシャーク(アサミケとヨルシマと一緒に軍に同行していたのだが我慢出来ずに先に行こうとした)は腹部に衝撃を覚え、吹き飛んだ。



「ううう•••••リュ〜ア〜」

「アルさぁ、もう少し落ち着こうよ」

「し、しかしヨル師匠!リュアの身に何かあったらと思うと俺は•••••俺は!」

「まぁ大丈夫だよ、イチロ君もいるみたいなんでしょ?彼強いから」

「そ、それが一番心配なのです!」

「•••••親バカだな」



二人の親バカが獣共和国に到達するのも時間の問題であった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方その頃、魔王国の会議室。



「いやぁ、しばらく修行している合間にとんでもないことになってるなぁ」

「僕はお前のイメチェンに驚いてるよ」

「そうかぁ?」



後から来た天太郎は髪型をリーゼントからオールバックになっていた。しかしそれは置いておくとして、今は目の前の会議について話そう。



「しかしどうします?既に獣共和国の軍は我らの大陸に行く為の唯一の手段、【アフェンアの橋】に向かっているとのことだ」

「あそこは警備は一応ついているけど大軍を止められるといえば怪しいっすね」

「もう、戦うしか••••ない」

「いや、まだ戦うのが最良というわけではないだろう」

「確かに•••このままでは戦争は免れない。しかも人帝国でもなにやら不穏な気配がするというのに•••」

「•••••」



会議を横から見ていた壱路とフォウンが脳内で話す。



「(なんか、会議が難航してますね〜、マスター)」

「(あぁ、あの妹魔王の性格から見たらわかるけどあれは甘いな、王様に向いてないタイプだ)」

「(た、たしかに•••)」

「(でも一応策はあるよ、随分前にフォルに教えた事があるんだ•••戦をせずに勝つ方法、それがあればなんとか•••)」

「(•••••あ、動きがありましたよ)」

「•••••いや、ある」

「「「「「「え?」」」」」」

「賭けともいえるが、なんとか戦争に持ち込む前に解決する方法は、ある」

「に、兄様、それは本当ですか?」

「でも、この策には、彼らの協力が不可欠だ。しかも相手が乗ってくれなきゃ意味がない」

「そ、その策とは••••一体?!」

「あぁ、こっから先は僕が話すよ。フォル」

「あぁ、任せた」



いつの間にか前に出ていた壱路とバトンタッチするフォル。



「さて、これから話すのは僕の世界で前に読んだとある本に書かれてたんだけど•••それを僕なりに変えてみた奴だ。まぁ、聞くだけ聞いてくれ」



そして壱路が口を開く。戦をせずに勝つ方法を•••••。

次回!


一触即発?!遂に魔と獣、両者が相見える時!そして壱路が授けた策は成功するのか?そして両者が誇りを賭けた決闘に発展?!


乞うご期待!

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