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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第五章 魔王国御家騒動 〜因縁と陰謀と決意と魔の歌姫の涙〜
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第四十九話 激闘

暴走したフォルを壱路が迎え撃っている頃••••••••チャンドラは事の元凶であるアルファスの前に対峙していた。



「アルファス•••••貴様、なぜそこまでして王位を欲する?」

「ふん、貴方になど分かるわけがない、ただ誰かに仕える事しか出来ぬ貴方に!私の理想など理解出来る筈がない!」

「理想•••••••だと?命を弄び、貶めた貴様が、その言葉を口にするな!その腐りきった考え、私が叩き直してやる!」

「片腕しか持たぬ貴方に私を止められるものか!私の前から消え失せろ!」



その言葉を皮切りに、チャンドラとアルファスは動き出した。それぞれ手には剣を掲げぶつかり合う。



ギィィィン!



重なり合う剣と剣、響き合う斬撃、チャンドラは片腕しかないというハンデがあるにも関わらず、彼はアルファスの鬼気迫る剣戟のやすやすと捌いていく。



「腕を上げたようだな」

「ふん、長年幽閉されていた亡霊が、くだらん事を••••••」

「その亡霊を生かしていたのはお前だ。それが貴様の計画を狂わせたのではないのか?」

「黙れ黙れ!その口を永遠に開かなくしてやる、死ねぇ!《ダーク・レイン》!」



アルファスの周囲に黒に染まった矢が幾重にも並び、チャンドラをめがけ飛んでいく。



「《血の矢雨(ブラッティ・レイン)》」



対するチャンドラも赤い幾千もある矢を生み出し、アルファスの矢を相殺する。



「相変わらず厄介な魔法だな、貴方の唯一魔法オンリー・マジック、《ブラット》は•••••!」



チャンドラの唯一魔法オンリー・マジック、《ブラット》はその名の通り、血液を自由自在に操る事ができる魔法だ。因みに血は魔力そのものと言ってもいいだが、チャンドラは抜群の魔力コントロールで数量の血で魔法を行えるよう工夫を凝らしている。



「久しぶりの戦闘だからな。肩慣らし位には足掻いてみろ。弟よ」

「殺してやる殺してやる殺してやる!うおぉぉぉぉ!」



兄弟は互いの意地をかけ、剣を振るう。

一方、壱路とフォルはと言うと•••。



「くおぉぉぉぉ!」

「せいらぁぁぁ!」



ギン!ガン!ギィン!



互いに剣と刀を振りかざし、切り、突き、断ち、払い、避ける。それが常人が知覚できない位のスピードで繰り広げられている。



「(おい、フォウン、フォルの呪いを解く方法、まだ分からないのか?)」

「(もうちょっと•••••もうちょっと待ってください)」



実は壱路、このコロシアムに乗り込んだ時から、フォルから不気味な魔力が内側に潜んでいる事に気づいていた。なのでフォウンにその魔力の解析と解除を頼んでいたのだが•••かなり手こずっているらしい。



「(ち、僕でもわからん効果だし、手間はかかると思うけど、頑張れ。あー、こういう呪いはかけた奴ぶっ飛ばすかすれば解けるもんだけど•••••)」

「(けどそれはチャンドラさんの役目ですよね!)」

「(あぁ、なるべく早く片付いて欲しいもんだが•••••ここは粘るぞ!)」

「(はい!)」



そしてチャンドラとアルファスの対決に決着がつこうとしていた•••••。

アルファスはチャンドラによって追い詰められていた。



「ぜぇぜぇぜぇ•••••くそ、くそ、くそぉ!何故倒れない!何故立ち上がる!何故戦える!」

「•••私には背負うものがあるからな、それは魔王様やフォル様にもあり、お前にはないものだ」

「なにぃ!?」

「それが分からぬ限り、貴様は私に勝てない•••••」

「くっ、ほざけぇ!」

「終わりだ•••••」



そう呟き、チャンドラは剣を振り上げ、突き刺そうとした。その一撃で終わるはずだった。






「くはぁ!」



しかし、苦痛の叫びを上げたのはアルファスではなくチャンドラだった。それは血の槍(ちのやり)で体を貫かれ、腹から血が大量に流れてる、その様子を見て、アルファスは高笑いをする。



「く、くくくくくくくくく、ははははははははははは!」

「何故•••••、何故貴様が私の魔法を?!」

「気づかないのか?」



アルファスは自分の衣服をやぶってみせた。すると見えたのは異形の刺青が彫られた右腕、それは取って付けたように胴体と繋がっており、傷口がひどく歪んでいた。



「はははははは!さて、後はここにいる全員を始末するだけだ!」

「き、きさ•••••ま、それ•••は、その腕は!」

「はははははは!これは禁じられた技術を使ったのですよ、これにより私は貴方程ではないが《ブラット》の力を使えるのだよ!あははははは!」

「く、くそが•••••!」



その様子を見て壱路は内心焦りに焦っていた。



「あの野郎•••••とことんくそったれな野郎だな!(僕もはやく片付けなきゃ•••、ヤバイことになる前になんとかしないと)」

「うぐぁぁぁ•••••」

「••私には切り札があるのでね、これで始末してくれるわ、ふふふふふふ!」



そしてアルファスは懐から何やら取り出した。



「貴方にこれが何なのかわかるかな?」

「そ、それは••••魔道携帯?」



その手に握られていたのは赤く装飾された折りたたみ型携帯•••••属に言うガラケーの形をした魔道携帯だった。



「ふふふ、重要なのはこの中に入っている歌声・・さ」

「歌声••••••••まさか、お前!」

「さぁ、響き渡るがいい、全てを滅ぼす終末の歌を聴き死せ!」



そう言ってアルファスは魔道携帯のボタンを押した。



それが破滅への第一歩である事をこの場にいる全員は知る由もなく、しかもそれが思いも寄らぬ形である事をアルファス自身の知らなかった。

次回!


絶望を呼ぶ呪怨の歌が響き渡る時、絶体絶命の壱路が聞こえたのは••••••。

そして壱路に異変が?!

それは理不尽を壊す希望なのか、それとも新たな絶望になるのか?!


乞うご期待!

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