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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第三章 双子獣姫と機械騎士 〜新たな出会いと別れと旅立ち〜
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第二十九話 ひきこもり姫と眠り姫

イチロ達が部屋を出た後、リュアは一人、部屋に入ると思われるひきこもりっ子を探していた。



(ど、何処にいるのか・・・この部屋にいるとは思うんだけど)



何より部屋には山のように物が散らばっているのだ。これは相当骨が折れそうだ。



「えーと、どこにいるんだろう・・・あれ?これ・・・写真?」



リュアが見つけたのは写真だった。ちなみにこの世界で写真は一部の高級な魔道具でしか作れない物で貴重なのである。



「初めてみたな〜、写真なんて」



その写真には女の子が二人写っていた。よく見るとどちらも顔がそっくりだ。どうやら双子らしい。違いといえば瞳の色が片方が金色で片方が翠色だという事だ。



「この部屋の持ち主って、この双子のどっちかなのかな?」



そんな事を考えていた次の瞬間、手元にあった写真が消えた。



「え?え?」

「あんた誰?」



困惑するリュア、声がした方を見てみるとそこに立っていたのは写真に写っていた双子の片割れ(金色の瞳の方)だった。ただ髪はボサボサ、服もボロボロで最初誰だかわからなかったが、それでも彼女は気品に満ちた佇まいをしていたのだ。



「えっと・・・私はリュアって言います、あなたは?」

「・・・・・ふん」

「あ!ちょ、ちょっと待って!」



少女はリュアの名前を聞くとまた姿を消してしまった。するとリュアの目前に現れた。慌てるリュア。そして少女はリュアに右ストレートを繰り出す。



「キャッ!」

「な?!わ!」



間一髪避けるリュア。そして少女はそのまま繰り出した攻撃の勢いで・・・・転んだ。



「う、うぅぅぅぅ〜〜!」

「だ、大丈夫?」



そっと手を差し伸べるリュア、しかし少女はその手を払いのけ逃げ出してしまった。



「ま、待ってよ〜〜!」



ひきこもりむすめとリュアの鬼ごっこが始まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方その頃、城を探索していた壱路はある扉の前に立っていた。自らに姿を透明にする《不可視透明インジビブル》で姿を隠しながら歩いていたので堂々と歩いていたのだ。ちなみにフォウンはスマホに戻っている。



「・・・この扉怪しいな、気になる・・・」

「や、やめておきましょうよ〜、お城の中で厳重に鍵が掛かってる部屋なんて貴重な物が置いてあるに決まってますよ〜、あらぬ誤解を掛けられますよ〜」

「キューキューイ」

「え〜別にいいだろ、盗みにきた訳じゃないんだから、てかもう開けちゃったよ」

「って早っ!マスターってば、もう・・・」



そして壱路は部屋の中に入って行った。部屋は広く、ダンスホール並みの広さである。



「一応念の為に・・・《静寂サイレント》」



静寂サイレント》、これは壱路が創った防音の効果を持つ魔法である。



「さて、これで大声出しても大丈夫」

「マスター、それじゃ完全に泥棒・・・ってあれ?」

「キュイ?」

「あれは・・・」



部屋の真ん中にはベッドがあり、そこには少女が眠っていた。その可憐さはまるで童話の魔法で眠らされたいばら姫(一般には『眠れる森の美女』といえば分かるだろうが、『いばら姫』はそれの源本とも言うべき話である)のようだった。



「なんなんでしょうか?この子」

「んー、植物状態で長く眠りについているお姫様?かな」

「キューンキュイキュイキューイ」

「ん?なんですか?ヒルデ」

「おい、なんて言っているんだ?」

「な、なんかギチギチ、ギリギリと音がする?らしいです」

「はぁ?どういう事だ?」



そんな感じで話していると、不意に後ろから、ギチギチ、ギリギリ・・・と音がした。



「へ?なん・・・」

「マ、マスター!危な〜い!」

「ってどわぁ!」



ブォン!



後ろから突如振り下ろされる音がした。それを間一髪避ける壱路。



剣だ。しかもまるで鉄塊のような大剣クレイモア。所々錆びているが直撃すれば人を肉塊に変える事など簡単にできそうだ。



そしてそれを軽々と振り下ろしたのは・・・。



「ま、マジですか・・・」

「キューイ」

「・・・ハ、ハハハイジョハイジョハイジョシンニュウシャハ、ハイジョハイジョスル・・」

「ロ、ロボット・・・マジかよ(このファンタジー世界でロボット!?いやここはゴーレムか自動人形オートマタのたぐいか・・・?)」



そのロボット(とりあえずそう呼ぶ事にする)、相当古いのか、関節を動かすたびにギチギチ、ギリギリとパーツが悲鳴をあげている。形は人間に近い。しかし表面の皮膚に当たる部分は全て銀色に統一されている。がしかし所々錆びが生じている。その所為か動きが何処と無くぎこちない。顔も仮面のようで表情がなく無表情である。



「なんですかあのロボット!いきなり攻撃してきましたよ!」

「キュイキュイキューイ!」

「壊れてたのか?・・・あいつ」

「マ、マモル・・・」

「へ?」

「ワタシハ、・・・ヒメヲマモル」

「姫?あの子の事か?」

「そ、そうみたいですね・・・あの私達、別にこの子を誘拐しようとかそんな物騒な事考えてないですよ〜」

「ヒメニガイヲオヨボスモノハ、ワタシガハイジョスル!」

「ぜ、全然聞いてくれない〜!」

「ここは話し合いで穏便にって訳にはいかないか・・・って事は」



壱路はガイシを鞘から解き放ち、構えた。



「マスター、あのロボットを壊すつもりじゃ・・・」

「キューイ」

「まぁ、最悪の場合はな、けど、壊したら直すから問題ないだろう」

「って、直すんですか?!」

「ああ、僕ならできる」

「まぁそうですけど・・・・・」

「キューイキューイキューイ」

「でもここで暴れて大丈夫なんですか?」

「ん、《静寂サイレント》で音は漏れないし、暴れる空間はあるから大丈夫だろう」

「シンニュウシャ、ハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョ・・・・・ハイジョ!」

「本格的にバグったようですね〜」

「そうだな・・・(後でこいつ直したら、あの子も起こしてやるか、まぁ面倒だけど)」

「(ふふふっ!マスター、最近お人好しさ全開になってますけど気付いてますか?)」

「(アホか、僕は何も変わってないよ)」

「ハイジョハイジョハイジョ!」

「さて、止めてやるよ、・・・僕が」



壱路と機械騎士との戦いの火蓋が切って落とされた。

次回!


リュアとひきこもり娘の鬼ごっこ、決着!

そして壱路は暴走する機械騎士と対決!

二人の活躍を見逃すな!


乞うご期待!

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