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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第一章 放浪の支配者 〜 スマホと刀と唯一魔法〜
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第二話 喋るスマホ

とりあえず状況を確認しよう。僕は突然異世界に飛ばされた。空からパラシュート無しのスカイダイビングでだ。なんとか助かったが、参った事に森の中で人ひとりもいない。



だがそんな事も忘れるほど、目の前の出来事に僕は唖然となっている。



「いきなり大声ださないでくださいよ。びっくりするじゃないですか」



とかなんとか白い未確認物体が呟いた。



「おまえ、何?」

「何って、見ればわかるでしょう、スマホですよ。マスターが一年前に買ったア○フォン5cですよ」

「いや、スマホだってのはわかるよ。確かに一年前に買ったよ。だけど問題はそこじゃなくてな」



そう、確かにこれは僕のスマホだ。

だけど問題はそこじゃない。



「なんでスマホが勝手に喋っているんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」



そう、まるで意思があるかのよう喋っているのだ。幾ら何でもあり得ない、技術の進歩が何世紀かぶっ飛んでいる。というかそんな技術まだ実現できてないはずだ。



「いや〜なんでかわからないですけど、マスターが空から落ちてた時に目が覚めて〜、でもって何故か喋れるようになってました〜」

「軽っ?!なんだよその軽さは、意思を持ったことに少しは疑問おぼえろよ!

つーかさっきまでと口調が違ってるぞ!ツッコミどころが多すぎるよ!?」



さっきまでは丁寧な言葉遣いだったのに、

何故か今はなんか軽い口調がまじっている。

これがコイツの素なのだろうか?

とにかくここは冷静になって考えてみる。



「まあまあ落ち着いてくださいよ、マスター。一応ここ異世界ですし、ワタシが喋っている事に驚くのも無理ないですけど、今は森を抜けることに専念しましょう?」



なんて言ってるこのスマホに、とりあえず従う事にする。歩きながら浮かんでいた疑問をスマホにぶつけてみた。



「そういえば、なんで街の場所が分かるんだよ」

「喋れるようになった時に〜、何故かわからないんですけどなんか色々アプリがダウンロードされていて〜、その中にこの世界のマップがあったんですよ〜」

「ふむ、自分でアプリ使えるのか?」

「はい〜」



このスマホ(名前はフォウンと名乗っていた。安直である。)改めフォウンが言うに何故自分に意思が宿ったかわからないらしい。

気が付いたらアプリがダウンロードされていて、さらに考えることができていたとか。

とりあえずなんでコイツが喋れるかとかは置いといて、今はそのアプリについて調べてみる。



立ち上げてみると、ホーム画面が一新していた。右上の電池アイコンは何故か(むげんだい)マークが入っていたし、左上の電波とインターネットwi-fiのアイコンはフルゲージである。



何より驚いたのは、今まで入れていたアプリは全て消えていて、代わりに7つのアプリが入っていた。


・通信

・ステータス

・ギルドカード

・アナムネシス世界辞典

・時計

・マップ

・コンバート


どれも気になるので、フォウンに聞いてみた。



「これらのアプリは一体どういう機能を持っているんだ?」

「はい〜、では簡単に説明しますね〜」



まずは『通信』について、この世界には魔導携帯というスマホもどきがあり、それは登録した相手と文字通り通信するアプリである。



『マップ』と『時計』については説明しなくても大体わかるのでいい。

『ギルドカード』と『コンバート』は何故か使えなかった。『ギルドカード』は押しても無反応。『コンバート』は(適正レベルではないので使用不可)とエラーが出てしまった。



次に『アナムネシス世界辞典』である。このアプリを読んで、僕ははじめてこの世界の名前を知った。他のアプリの説明は後回しにしてまずこのアプリを読む事にする。


【アナムネシス】、そう呼ばれているこの世界には四つの種族(人族ヒューマ魔族デーマ獣人族ビストマ精霊族スピマ)がおり、そのうち三種族が国をもっている。


人族ヒューマの国【人帝国(じんていこく)・イスカオテ】

魔族デーマの国【魔王国(まおうこく)・ハーログ】

獣人族ビストマの国【獣共和国(じゅうきょうわこく)・レオス】


以上の3つを三大国と呼ぶ。

三大国は今はかつてない緊迫状態らしく、いつ戦争になってもおかしくないとか。



フォウンが言うに、今僕がいるのが、人帝国で、これから行く街はその首都【ジュガ】らしい。



ここまでアプリを読み終えた所で、ちょうど森を抜けた。



「マスター、森を抜けましたよ〜」



限りなく大地を覆い尽くす草原の向こうに砦のような街が見える。どうやらあれが首都のようだ。世界辞典は一旦やめにして、街に入る前に他のアプリを見ておこう。



最後に、『ステータス』を確認する。




イチロ・サガミ


Lv 1 age:18


HP G

MP EX

ATX E

DEF F

AGL C


EXP 0

NEXT 10


【魔法属性】 無


【魔法】 支配ドミネイト〈直接開放〉


〈称号〉

異世界人・支配者・想定外の来訪者



RPGでお馴染みなステータス画面がでてきた。『ステータス』と聞いてある程度予想はしていたが・・・、それ以上に疑問がある。




「なんだこの偏りは・・・」



この世界ではランクというものが決まっていて、ギルドが、依頼の難易度や冒険者の能力値に使われている。

一番下から

G.F.E.D.C.B.A.S.SS.SSS.EX.の11個である。

当然ランクが高いほど強い。



ATX(攻撃力)、DEF(防御力)、AGL(速さ)に関しては普通だ。だがなんでかわからないけど、HP(体力)とMP(魔力)のバランスがめちゃくちゃになっている。



これはゲームでもよく使われている要素だ。だがそうだとしてもこのステータスは・・・・おかしい。



「マスターが体力なさ過ぎなのは、想定内ですけど、魔力に関してはもうカンストしちゃってるじゃないですか〜」

「うるさいよ」



たしかにフォウンの言っていることは正しい。

僕は基本インドア派で運動が嫌いなので、体力が人並み以下なのだ。なのに魔力は最高ランクのEX、完璧な一点特化タイプだ。



それに〈称号〉も気になる。異世界人は納得いくが、支配者にはおぼえがない。想定外の来訪者と書かれているという事は、どうやらなんの前触れも無く飛ばされたに違いない。



何より気になるのは、【魔法】 支配ドミネイトのことだ。単直過ぎて意味が分からない。何より僕に魔法が使える事自体驚いている。



魔法が使える事は嬉しいが、やり方が分からなければ、使いようがないのだ。



「魔法があっても使い方がわからないと」

「何言っているのですか?」

「え?」



次の瞬間、僕は信じられないことを耳にした。



「マスターはもうすでに、魔法をつかっていますよ?」

次回

主人公の能力が明かされます。

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