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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第二章 支配者と仲間達 〜龍の親子と勇者と激情の瞳〜
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第十八話 回想、そして意外な接点

「グー、グー・・・・・」

「おーい、イチロ起きろー・・・」

「イチロさーん!ご飯ですよー!」

「え?マジで?!」

「あぁ、腕によりをかけたぞ」

「さすが料理人、いい仕事するじゃん」

「ふっ・・・ようやく俺の凄さが分かったか」

「・・・・・」



アルシャークとリュアに会って一カ月が過ぎた。今壱路はこの二人と一緒に旅をしていた。その時のことを壱路は思い返していた・・・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

燃え盛るボーンドームから脱出したあの後、ウォーランは魔族達を引き連れ国に帰るらしいのでそこで別れた。その時壱路は自分の釣ったハクラアユを全てウォーランに渡したのだ。



「こ、これは?」

「大丈夫。新鮮だ」

「おい、イチロこのハクラアユは・・・・」

「こいつを食うなり売るなり好きに使っていい、あんたのおかげで結構楽に事が運んだし」

「っておい聞けよ。あれを調理して食いたいって事でお前は俺に手を貸したんだろ?なのに渡しちまったら・・・」

「あ〜、それなんだけどさ、やっぱり変更で。僕お前らの里帰りについていくことにしたから」

「なっ!?」

「えっ?!」



驚愕するアルシャークとリュア。



「だからこれは餞別って事で」

「・・・・・本心は?」

「獣共和国行った後魔王国に行こうと思うから今の内に魔族の知り合い増やしておこうと思って」

「くくっ、やはり面白いなお前は」



そう言ってウォーランはポケットからある物を出した。それは狼の頭を模した指輪だった。



「これは何?」

「これは己がスクリームに入団し、序列三位になった時に魔王陛下から授けられた指輪だ。『ヴォルフス』の一族の証でもある」

「え?そんな大事な物を・・・」

「心配ないこれは予備としてくれた物で本物は・・・己が身に付けている」



そう言ってウォーランは自分の指にはめた指輪を見せた。



「予備と言えそれは本物と合わせて二つしかない物だから、魔大陸を旅する時に色々と助けになるはずだ」

「ふ〜ん、一応貰っとくよ」

「あぁ、魔王国に来る時は尋ねて来い。歓迎する」

「分かった、じゃ無事国に帰れる事を祈ってる」

「あぁ、また会おう!イチロ・サガミ!」



そう言ってウォーランは魔族の団体を引き連れ出発した。



「さてこれで一件落着って感じかな?」

「おいっ!いろいろ言いたい事があるが、まずこれを聞こう。お前は本当に何者なんだ?」

「あの時も言っただろ冒険者だ」

「じゃああの魔法はなんだ?首輪捻じ曲げたり青い炎出したり・・・ただの魔法じゃないだろ?」

「それに関してはノーコメントだ。後、逆に聞くけどさ、白狼ってなんなの?それとあのめちゃくちゃな怪物の動きを止めたのはどうやったんだ?」

「・・・・・マジで知らないのかよ」

「全くもって」

「あ〜、リュア、話していいのか?」

「え、えっとそのあの・・・」

「白狼の方は言いたくないならいいけど」

「いえ、き、聞いてください!」



そして話を聞いた。なんでも白狼とは絶滅寸前の獣人の種族で、五大獣人と呼ばれる最強と謳われた種族の一つらしい。(五大獣人についてはまたの機会に詳しく話すことにして)そして人族や魔族から危険視されている事、そのためにリュアは幼い頃母親を殺され、父親もそのショックで失踪してしまい、養子として一緒に暮らしていたアルシャークと国へ行く為に旅をしていた、というのが大まかな概要だ。



「母親をねぇ・・・・」

「あぁ、リュアのお袋さんは優しい人だった、親父さんもとても悔やんでたよ、自分のせいだってな」

「なんで?」

「リュアのお袋さんはな・・・・・鍛治師だった親父さんの作った武器で命を失ったんだ・・・!」

「・・・え?そうなのか?(自分の作った武器で家族を失った?どっかで聞いたような・・・)」

「あぁ、後さっき怪物の動きを止めたのは、リュアに託された親父さんの武器の力だ」

「・・・見せてもらってもいいか?」

「・・・・・リュア、いいのか?」

「は、はい!」

「そっか・・・・・」



そう言ってリュアはあのライフルケースもどきの箱を開けた。



そこにしまわれていたのは・・・・・。



「これって・・・まさか」

「リュアの親父さんの作った『竜子砲・ホロウ』だ」



そう、それは白色のライフル銃だった。と言ってもパッと見での事で細かい部分は似てないし、本来あり得ないリボルバーの機構が組み込まれているが、間違いなく銃だった。そして何より銃身の部分にはガイシに描かれていたのと同じタッチの竜のような絵が描かれていた・・・。



(『竜子砲・ホロウ』・・・これってガイシを作ったのと同じ鍛治師が作ったって事か?まさかそれがリュアの父親とは・・・意外な接点があったもんだな)



そして壱路はホロウにそっと手を触れた。するとそれは白く発光した。続いてガイシもつられるように紫色に発光した。



「な、なんだこれは?!」

「え、ええ?!」

「(まさか・・・・・属に言う共鳴とかそんな奴?どうして)ぬぉ!」



そして一同は気が付いたら白い空間にいた。壱路がガイシと初めて会った場所である不思議な空間だ。どうやらまたフォウンはいないみたいだ。



「なななななななななんじゃ、ここはぁ?!あたり一面真っ白だぜ?」

「何だろう、すごく懐かしい匂い・・・」

「わ〜〜〜い!イチロ〜〜〜!」

「あ、ガイシ」



アルシャークとリュアはそれぞれ驚愕していた。そして壱路は人の姿をしたガイシと久しぶりに会っていた。



「この姿は初めて会った時以来だね。ようこそ〜」

「よぉ、ガイシ、それにしても驚いたぞ。まさか他の人もこの空間に引き込めるのか?」

「えっとね、ちょっと手伝ってもらったの!」

「手伝ってもらった?誰に?」

「え〜〜とね」

「おいイチロ!お前ここがどこか知っているのか?!それにその子は・・・」

「うるさい今話しているんだ。黙ってくれ」

「く〜〜〜〜、このやろ〜!」

「お、お兄ちゃん・・・」

「で、誰なんだ?まさか・・・」



ーーーなんだか騒がしいわね



何処からか声が聞こえた。そして既視感を覚えた。理由はすぐに思い当たったが。



「い、今の声・・・」

「だ、誰だ?何処にいるんだ?」

「静かにしろバカが」

「誰がバ・・・」

「お兄ちゃん、しー」

「はい」

「(やっぱ、リュアちゃんが言うと早いな)ガイシ、手伝ってもらった奴って」

「わたしよ」



さっきの声が聞こえた。全員が振り返る。そこに立っていたのはリュアと同じ感じの白い髪をしたチャイナドレスもどきを着た妙齢の女性だった。顔立ちがガイシと少し似ていて、髪は肩の所でバッサリ切られている。



「あ、ホロウおねーちゃん!」

「久しぶりね、ガイシ。ガイシのあるじさま、我が主リュアさま、ついでにアルシャークさま、はじめまして、わたしは『竜子砲・ホロウ』と申します。どうぞよろしく」



そう言ってその女性、もとい『竜子砲・ホロウ』はにこやかに笑っていた。

次回!


ホロウから語られるガイシ達、九生竜器の真実、そして壱路達の旅は新たな舞台へ!


乞うご期待!

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