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黎明のイチロ 〜空から落ちた支配者〜  作者: 作読双筆
第一章 放浪の支配者 〜 スマホと刀と唯一魔法〜
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第一話 いきなり異世界


気がついたら、空だった。



地上から5000メートル以上離れている遙か上空。

そこに少年はいた。



空は果てしなく蒼く、雲は白く、下には緑の豊かな大地が見えている。



しかしそんな美しい景色も彼は目にとめようともしない。なぜなら・・・・。



今、彼は重力に引かれ、絶賛落下中だったからだ。



「これは・・・ヤバい、よな?」



彼の名前は鎖神壱路さがみいちろ。高校3年生である。



さっきまで学校でスマホをいじっていたはずなのに、気が付いたらいきなり視界がブラックアウトして、

目を開けてみると上空の真っただ中にいた。



空はあまり雲がなく太陽がさんさんと輝いており、まさしく日本晴れというに相応しい気候である。



意外にも冷静に状況確認をしているのは、自分でも驚いている。



夢を見ていると思ったが少なくとも、身体に受けている風がこれは現実だと教えてくれる。



「って、どぅあああぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼」



とにかくヤバい。思わず叫んでしまった。

東京タワーやスカイツリーも小さく見えるくらい高い。

なんか落下スピードも上がってきた。



早くなんとかしないと、スプラッタ映画のグロテスクなR18シーンを現実リアルで演じる事になる。

それだけは絶対避けたい。



だけど助かる方法が思いつかない。パラシュートもロケットブースターもここにはないのだ。

もう八方塞がりである。



そう考えてる内に少しづつ大地に近づいてきている。

そこは豊かな森で覆われていて、木々が生い茂っている。

このままいったら、木々の先端で串刺しになるか、地面の上でぐしゃぐしゃ死体になるか、だ。



どっちも嫌だ。怖いという感情は不思議とないが、それでも死ぬのはごめんだ。この時マジでそう思った。



「とまれぇぇぇぇぇ!!」



叫んだところで何も起きない。もうダメだ。死んだ。せめて辞世の句だけでも・・・・。



パチッ パチパチ



そう諦めて考えてたら、妙な音とともに突然ブレーキがかかったような奇妙な感覚がした。



「は?」



しかし考える間もなく、次の瞬間そのまま森へと落ちていく。



ガッサ ガサ ザシャ パキ ガガッ ベキッ!

ドーーーーン!



「ふぎゃっ!」



木に引っかかったおかげで速度が落ちたようだ。多少擦り傷がついたが、出血した様子はない。生きてる。



・・だけど落ちた衝撃はモロに受けた。



「・・・痛い・・・・・」



しばらく痛みで上手く動けず、意識が彼方へと旅にでていた・・・・。



〜・・・数時間後・・・〜



「ところでここは何処だ?」



痛みが徐々に引いていき、動けるようにはなった。だがここが何処なのか、

なんで空中でパラシュートなしのスカイダイビングをする羽目になったのかわからない。

まあ貴重な体験だったが。



小鳥がさえずる声、木々が風で揺れる音、

そしてちょうどいい暖かな陽射し、ここが森なのは馬鹿でもわかる。



しかし、それではここが何処なのかと云う説明がつかない。

だから今考えられる可能性を思い浮かべ一番しっくりくる答えを見つける。



「まさか・・・異世界?!」



そう、小説やマンガでお馴染みの異世界。そう考えると色々しっくりくる。

このようなパターンは異世界物の定番なのだ。



壱路は小さい頃から本をよく読んでおり、人と接するよりも、本を読んでいる方が好きだった。

高校生になってからは、ネット小説にはまりやや携帯依存症になっているが様々な本を読んでいる。

中でも異世界やファンタジー物が特に好きなのだ。



だからここが異世界という結論にたどり着いた。

今まで読んだ多くの本のパターンからそんな感じじゃないのかなぁ〜と言う確証が無い結論であるが。



しかし百歩譲ってここが異世界だとしても、疑問が次々と湧いてくる。なんで自分が呼ばれたのか?とか。



「小説とかじゃあ勇者として呼ばれたとかあるけど・・・」



だとしたら余りにもご都合主義が働き過ぎなのだ。ここは小説なんかじゃない。少なくとも現実だと僕は思う。

それに空中にいきなり放りだされたようなのでこの線は薄いとみていい。



「とりあえず、これからの事をなんとかしないとな」



そう、今は何故ここに来たかよりも、これからの事を優先する事にする。

切り替えが早いのは壱路の長所で短所なのだ。



「まぁ、一人でも生きていけるだろう」



ほとんど一人で日々を過ごしてきた壱路にとってそれほど一人はさみしくない。



むしろ気楽なのだ。それに元の世界に帰れる可能性は0に等しい。

小説とかなら送還魔法とかあるかもしれないが、そんな物はないと考えて等しいと思う。



ずれたメガネをあげ、まず出来ることをしようと決めたが、まだまだ問題が山済みなのは変わりない。



「とりあえずこの森を抜けて街を探さないとな、

ここが異世界なら何が起きるかわからないし、まずは情報収集だ」

「でしたら、現在地から北へ720メートル進み、そのあと北東1860メートル進むと街がありますよ」

「・・・・へ?」



今、ここには自分以外誰ひとりいないのに返事が返ってきた。



「だっ誰だ!」



謎の声の主が近くにいないか、あたりをよく見渡す。しかし誰もいない。

今壱路は顔は冷静だが、内心はとてもびびっていた。



「ここですよ、ここ」



謎の声がまたどこからか聞こえる。



「だからどこにいるんだよ!」



ちょっとイライラしてきたので、声を荒げてしまった。落ち着け、よーく考えろ。クールに行こうぜ。



「あなたのポケット」

「はぁ?」



訳が分からない。そんな所に人がいるわけない・・・はず。

だがここは異世界なのだ。何が起こっても不思議じゃない。

とりあえず謎の声に従い、学生服のポケットを探ってみる。

中にあるのは自分のスマホだけだ。画面が暗いので起動してみる。



だがよく見てみると・・・・。



「はじめまして、マスター」



スマホが変化していた。まるで絵文字みたいな顔が画面にうつっている。

幻聴なんかじゃない、間違えなく喋っている。



「どうしました、マスター。そんな鯉のように口をパクパクさせて」



そのスマホの顔はなにが面白いのか、クスクスと笑っている。



「・・・しゃ・・・」

「しゃ?」

「喋ったぁぁあぁあぁあぁぁぁぁぁあ?!」



はっきり言って空から落ちている時より驚いた。さすがにありえないと思ったんだ。

ただの普通のスマホが勝手にしゃべるなんて、誰が想像しようか。



これが、壱路と意思をもち、喋る奇妙なスマホ〔フォウン〕との出会いであった。

作読双筆つくよみそうひつが片割れ、作読八握つくよみやつかと申します。


執筆活動を始めて日が浅く、まだまだ未熟ですが、暖かい目で見守ってもらえると、ありがたいです。


この作品は僕単独で書いた初めての作品なので、読んで頂けると嬉しいです。


読者の皆さまどうか、末長く宜しくお願いします。

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