華
触れてはならない棘に
触れてしまった僕は
どんな毒気にかかってしまったのだろう
目眩がする
鼓動が速くなる
自らの意志とは正反対に身体が動く
それでも僕は華を摘み
その薫りに酔いしれた
甘いその薫りに
その痛い感覚に
僕はすでに捕まっていたのだ
散り気ぎわの花びらに優しく口づけを落とし
咲き誇る花を優しく抱きしめた
笑顔を見せる前の蕾に小さく吐息を吹き
僕は華に恋をした
触れてはならない棘に
触れてしまった僕は
摘んではならない華を
摘んでしまった僕は
永遠の楽園に捕らわれる