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ある魔術師の物語 壱話

本編です

拙い文章でしょうが楽しんでいただけたら幸いです( ̄∀ ̄)

「あつい…」

ポツリ、そう呟いた男が居た。

その男は黒髪黒目、切れ長の鋭い目をしており、髪の毛は肩に掛かるくらいに伸ばしている。

身長は170cmほどで、黒いマントを羽織り、黒尽くめの長袖とズボンを着ていた。


「なんでこんな暑いのかね…此処は。」


そう言い、ぼやきつつも男の額には汗はついていない。


それはこの場所において異常だった。


普通なら、長袖にマントなんて着ているから、暖かいだけだろ?と他人は思う

だがそれは春くらいの温暖な気温なら、という話だ。


しかしここは違った。

なぜなら此処は火の元素を吹き続けるため、火山が噴火し続ける火山島。気温は通常時から40℃はあり、島の四方にある火山が一斉に噴火した際には、火山の近くでなくとも、気温は80℃にまで跳ね上がる。


そんな中、黒尽くめ長袖の男。

正直、阿呆か自殺志願者か、変態か、そのどれかとしか思えない格好なのに、汗1つかいていない。

「ったく、なんでこんな所に俺が来てるんだよ。あの嬢ちゃん、人使いが荒くなってるよ」

などとブツブツいっていると、目の前からやってきた旅人らしき人がギョッとして大きく迂回しつつ離れていった


「…まぁこんな格好だしな。バカみたいに暑いのにさ」


原因はそれだけではないのだろうが男はそう納得し歩を進めた。


この大陸フレアスに住む人は、火山島の暑さに適応するため独自の進化を遂げていた。

火の元素を自分の中に取り込む事で暑さを緩和出来るようになっており、火の系統の魔術を得意とする。

もちろん、フレアスの外からやって来た人達も居る。

一応、フレアスには外からの旅人や転居者の為に水の魔力に覆われた居住区があり、普段はそこに住んではいるがあまり長居はしない。

住むには不便すぎるのだ

バラバラに噴火中の4つ火山が一斉に噴火すればフレアスの人々はともかく、他の大陸の人々はまず耐えられないし、水なども、火山島で水の魔力の乏しいフレアスにはわき水を取りに行くしか手に入れる方法が無い。


先程の旅人も、フレアスから出るのかもしれない。

まあ、出て行く原因としては暑さと不便さに参るのもあるが、もう一つある…


「そこのお前、止まれ!」


…盗賊や野党が頻繁に、異常なまでにエンカウントするからである。

色々と生活に困るこのフレアスでは、盗賊をやった方が実入りがいいのだ。その為、フレアスの住人の四分の一は職業を盗賊としているらしい


「おい聞いているのか、ってあれ?なんで長袖?暑くないのか?バカなのか?」

見る限り10人程の盗賊達の一人が渋々そちらを向いた俺に対してそう言った


「おいおい?馬鹿とは何だ馬鹿とは。

こんな所で盗賊やってるような奴に言われたくないぜ?」


「いやだってよぉ?金もってそうだから話かけたら…なぁ?」


仲間内で顔を見合わせている。なんとも言えなそうな表情で。

実は島に入ってからすれ違った人達、全員同じ顔と反応をしたのだ。


しょうがないじゃないか、この服とスペアしか持ってないんだから。

別に金が無い訳ではない。むしろこの大陸の一般レベル以上の金額を持っている


ただ動き安く、色々と加工しやすい服を考えた結果、この黒い服と服のスペアを購入しただけ。ただそれだけ。決して知り合いに選んだ私服を馬鹿にされたからとかではない。

…話が逸れたな。

「まあいいや、あんちゃん、金よこしな。」

なんとも言えなそうな表情をしていた盗賊の一人がそう言った。

「またテンプレートな台詞だな。まるっきり小物の台詞だぞ?」

俺が少し挑発するように言うとなんとも(以下略)な盗賊達は一斉に色めき立った。

「んだと?!」

とか

「調子こいてんじゃねぇ!」

とか…

「やんのかコラ!」

とか…って!

「流石にテンプレート過ぎるわっ!」

つい叫んでしまった。

なんか疲れたし、これ以上こんな道の真ん中でウダウダしてらんないのでこっちから始めることにする。


「身体能力制御」

「硬化」


一気にスペルを唱える。

「っ!てめぇら、気ぃ引き締めろ!来るぞ!」


盗賊達の一番体がでかいやつが叫んだがもう遅い。

俺はー身体能力制御ー

の魔力を一気に解放し、体をかがめつつ盗賊達へ突貫した…!


ー身体能力制御ー

は初歩的な魔術の一つで、体に魔力を通すことによって体力や筋力を一時的に上げる魔術。

俺はこれを魔力の練り方を変えて戦闘用にアレンジしてある。

まあ魔力を肺と脳と手足の強化に全力で当てているというわけだ。

簡単なようだが、実はそうではない。

魔術には使用効果が限定されており、その効果を術者のイメージで変えてしまうのには、初歩的な魔術でさえ大きな代償が伴う。

…体の要所に大量の魔力が流れ込んでしまい壊死したり。


「うっ!うおぁ!」

仰天した一番近くに居た盗賊の一人にかがんだ状態からの右手による掌打を腹に叩きんで吹っ飛ばす。

「っの!野郎!」

次に、正気に戻った一人が腰につけていた剣を居合い抜きのようにして薙いできた。

俺はかがめていた体制から手足の力を解放し、敵の頭上へ飛び上がり、そのまま踵を頭へ落とし意識を刈り取った。


居合い抜きの弱点は抜き払った瞬間である。

達人なら立て直す事など造作もないのだろうが、所詮相手は盗賊。無理な話だった。


「次!」

俺は着地した瞬間、体をまた屈めて後ろから迫っていた盗賊の一人の脚を蹴り払った。「……!?」

体制を崩した盗賊は、後ろの2人の仲間まで巻き込んで転倒、残り5人。「なんだこいつはっ!素人じゃねぇ!」


そう言うと盗賊は2人係りで襲ってきた。右側の男は剣、左側の男は拳で。

今の蹴り払った後の伏せたような体制では拳の方飛んで避けられるが、拳を避けたら、まず隙が出来て剣は避けられない。かといって拳を避けなかったら2つとも当たる可能性もある。

ならば…

俺が選択したのは避けない、だった。

この間僅か二秒。魔術行使を躊躇う理由は無い。


「硬化強化、斬撃対応!!」


これはさっき使った硬化の魔術をアレンジしたもの。

硬化は打撃に対しては強いのだが、斬撃に対しては普通のままなのだ。

ただ本来、この魔術は無い魔術である。よってアレンジに成功した魔術を敵にさらす、というのは、一応魔術師の中ではタブーとされている



拳をかわされた男の顔に笑みが浮かぶ。

右側の盗賊の剣が刺さると思っているのだろう。

だが、甘い


キィーーン


と、高い音がした。それは俺が硬化した右手で盗賊の剣を受け止めた音だった。


「なっなっんぶべっ!」


剣を受け止めた所を見て驚愕している拳の男に頭突きをかまして気絶させ、そのまま右足から踏み込み、剣を持った盗賊に左手の手刀を首筋に叩き込み気絶させた。あとは、さっきから少し離れて詠唱してやがるあの三人組!

三人組に飛び込み、解放前に一気に倒してしまおうと考えた、その瞬間、盗賊達の呪文が完成した


「予想より早いっ!?」


「「「汝眼前に迫りし脅威を、大いなる炎によって退けんっ!炎蛇招来!」」」


…それは盗賊達が出したものとは思えない荘厳で強大な魔術だった。

先程まで何も無かった空間には、巨大な炎の蛇が顕現し、巨大な牙を持って俺を殺しに掛かってきた。


「っ!魔術の三重ねか!あいつら本当に盗賊かよっ!」


正直、なめて掛かっていた分、驚愕もあったが、直ぐに頭を冷やし、打倒の為の呪文と作戦を探す。

俺は突貫しかけていた体を緊急停止、一つ作戦手順を間違えれば流石に死ぬっ!


「身体能力制御、解除!」

「我、契約せし原初の風…!」


すぐ前には炎の蛇、あれを凌ぐための魔術を使うために余分な魔術を解除し…分散していた力を一つに重ね上げる!


「魔を祓いて闇を撃て!」

「具現せよ、タケミカズチ!」


その瞬間、巨大な雷の剣が具現、盗賊の炎蛇と激突し、大爆発を起こて消えた…


ご満足いただけましたでしょうか?

出来ればまた次回、お会い致しましょう( ̄∀ ̄)

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