表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カイブツの本  作者: 夢灯
2/3

その時、

通りかかった一人の魔法使いが言いました。

「ワシに任せてもらおう」


魔法使いは杖を高く振り上げました。

すると本に――


キラキラキラ……

やさしい光の魔法がかかりました。


するとどうでしょう。

本の中から、

バッタ、ネズミ、ネコ、イヌ、

そして少年と、その父が、

ぽん、ぽん、と吐き出されたのです。


皆、無事でした。

助かった人たちは、

抱き合って喜びました。


「偉大な魔法使い様、ありがとうございます!」

皆は魔法使いに深くお礼を言いました。


けれど――

本の頁は、

すべて真っ白に戻ってしまいました。


涙を流す本を見て、人々は言いました。

「この本は危険だ。処分しよう」


魔法使いは「ワシが何とかする」と約束し、

本を連れて、町を出ました。

本はトボトボと後ろをついていきます。


けれど、魔法使いは本を燃やしませんでした。

そのまま一緒に旅を始めたのです。


深い森の中にある、美しい湖。

山の頂から見る、夕焼けと朝日。

どこまでも続く、色とりどりの花畑。

夜空いっぱいに広がる、満天の星。


本は、初めて知りました。

「見るだけで、こんなに心が満たされるものが

 この世界には、あったんだ」


そうして――

真っ白だった頁は、

魔法使いとの旅の思い出で、

少しずつ、少しずつ、埋まっていきました。


もう、誰も食べなくても。

もう、奪わなくても。


本は、

さびしくなくなったのです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ