第8話 アルバイト大作戦
攻略本が黄金に輝き、ページを次々に捲る!
よしこれだ!
僕は雷鳴の金槌を取ろうとページに腕を入れる。
ピコン!!
「この武器、一回5,000円。お金が足りないよ♪ 財布の中身ちゃんと確かめてね?」
「え!?」
慌ててポケットから財布を取り出す。
157円……。
そんな……確か旅に出てから買い物なんてしたことないのに。
そっか……。
僕は瞬時にシステムを理解し凍りつく……。
金欠でパーティーが呆気なく全滅しそうになって、命からがら逃げた事は言うまでもない。
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「おーい! 新人モタモタするな!! 食べ終わった食器が山になってるぞ!!」
僕たちは山田の酒場で食器洗いのバイトをやっていた。佐藤の親戚のお店らしい。
「チクショウ!! 全然終わらねぇ~!! こんなチマチマした事やってられっか!!」
「ちょっと君、テーブル拭きがだんだん雑になってきてるじゃない! 食べこぼし残ってるよ!!」
「す、すみません」
何時間やってるんだろう?
もうヘトヘトで動けないよ……。
ピコン♪
「頑張れ♪頑張れ♪」
「やかましい!!」
佐藤が投げたお皿が飛んでいく!!
ガシャン!!
「あ……やべ!! やっちまった!!」
ピコン♪
「ふぅ……あぶね♪」
今、ステータス画面よけたよな?
「あぁ……もう無理」
「くそっ! 俺もダメだ……」
2人はとうとう座り込んでしまう。
ステータス画面がジー! ジー!とシステムエラーのメッセージを出して、ゴミ箱に入っている。
「800円……」
僕たちは社会の現実を目の当たりにして絶句していると、優しい歌声が流れてきた。
僕は立ち上がり、様子を見に行く。
由紀が歌っている。
『勇気をもって歩んでいるわ。貴方は弱虫なんかじゃない……』
『その拳は決してひとりぼっちじゃない……後ろでちゃんと守るから』
優しいメロディーに、酒場は感激の渦に包まれた。
「ブラボーお嬢さん、これはお礼です。受け取ってください」
「ありがとうございます。でも……いいんですか?」
由紀は大金に戸惑う。
「君たちが魔王討伐の旅をしていることは知っていたよ。少しでも役に立てるなら私も嬉しいんだ」
ステージを降りると、足元に何かが落ちている。
拾い上げると、
ピコン♪
「愛の証を手に入れたよ♪」
ステータス画面からほんの少し生ゴミの臭いがした。




