第一話 弱虫勇者とミノタウロス
転校初日の騒ぎから数日が過ぎ、学校にも慣れてきたような気がする。相変わらず、金髪のヤンキーである佐藤君は苦手だけど。
休み時間になると、委員長の由紀さんと会話することが増えた。彼女もRPG好きだとわかり、僕は嬉しくなる。由紀さんはラスボスを倒した僕に、目に涙を浮かべながら尋ねてきた。
「ねぇ、小川君お願い教えて、レベルカンストしてるのにボスが強すぎて……」
「あぁ、そこは水属性の攻撃呪文を使えば……」
「うん、ありがとうございます♪帰ったら早速試してみるね」
僕の話の途中で嬉しそうに去っていく由紀さん。
「あー……たぶんこれは苦戦しそうだな……あれ?レベルカンスト?どういうことなの!?」
確かこの村のボスってLv5で倒せたはずじゃ?
後からこっそり友達(モモ子さん)が教えてくれたのだが、由紀さんは夜中に「やっぱり倒せなーい!!」と絶叫し、両親から怒られたそうだ。委員長としてのプライドか、ボスの攻略法を聞いてくることは二度となかった。
次の日、またしても佐藤君のデカイ声で自慢話が響いた。
「オウオウ見てみろよ!この子可愛いだろ!ガチャ1発目で当たったんだ!!」
スマホ画面にはちょっと大きめの胸が特徴のハーピーが映っている。
「いいなー俺も欲しかったんだ」
「ヘヘッちょっとここをタップするとな……あれ!!?」
ピシッ……ピシピシ……バリッ!!
突然、佐藤君のスマホの画面が砕け散り、彼の目の前に一匹のミノタウロスが現実に出現した!!
ブモォオオオオ!!
「ナンダテメェ!!俺がビビるとでも……」
佐藤は殴りかかるもミノタウロスは、平気な顔をしている
ぶぅん!!
ミノタウロスの拳が一閃し、佐藤君は吹き飛ばされる。
「グホッ!?」
ドゥン!!……ガラガラ……
「くそっ…………」
佐藤君は動かない。
僕は恐怖で机に潜り、ただ震えることしか出来ない。
ザッ!!……
委員長の由紀さんが、ホウキを手に立ち向かう。
「ちょっとそこの貴方!!どういうつもり?」
その唇は、小刻みに震えている。
ぶぉう!!
ミノタウロスが由紀さんに拳を振り上げ攻撃しようとしたその時!!
「由紀さん逃げて!!」
僕が大事に抱えていた攻略本が黄金に輝きページが開かれる。中から伝説の剣があらわれた!!
「出来るのか?……いや……できる!!」
何故か臆病な僕に勇気が生まれる。
パシッ。剣を握ると、僕は由紀さんの前にさっと出る。
「さぁ、来い僕はお前の弱点がわかっている……」
攻略本が自動的にパラパラと高速で捲られる(チラリと左手の攻略本に目を向ける)。
「ナメるな小僧ぉおおおお!!」
ガキン!!
ヤツの攻撃を受け止めると、すかさず。
「お前の弱点はこれだ!出でよ炎……メギドフレイム!!」
「ブモゥ!!?」
炎に怯み後退したヤツに、僕は渾身の一撃を放つ。
ザシュ……!!
剣による渾身の一撃!!ミノタウロスの身体は真っ二つに割れて煙のように消えていった。




