プロローグ 委員長とヤンキーと弱虫転校生
「佐藤君、次、そっちお願い!」
セーラー服の少女、由紀が
金髪のヤンキー、佐藤に指示を飛ばす。
「よし!任せろ!!」
ぶん!!……バキッ!!
魔物が豪快に吹き飛び、断末魔をあげる。
そのすぐ横で
「由紀さん、危ない!!」
ガキン!! シュバッ!!
大人しい学生服姿の僕、小川が、モンスターの攻撃を盾で受け止めると、
間髪入れずバスターソードで瞬時に切り裂いた。
「残るは、お前だけだ」
僕は黄金に光る分厚い攻略本を、真剣な面持ちで捲る。
「お前に有効な攻撃は……よし、スパークサンダー!!」
ギャアアアアアア!!
ピコン♪
軽快な音とともに、ボロボロにひび割れたステータス画面が「戦闘に勝利したよ♪」と表示される。
セーラー服の委員長・由紀、ボロボロの学ランのヤンキー・佐藤、そして真面目な見た目の弱そうな僕・小川。
なぜ、このチグハグな三人が、こんな物騒な冒険をすることになったのかというと……
ー◇ ◇ ◇ー
(うわ……僕は転校して来ても、またいじめられるんだろうな)
目の前に現れた、鋭い目付きの金髪の男を見て、過去のトラウマの日々が一気に蘇る。
僕は恐怖のあまり、読んでいたRPGの攻略本を床に落としてしまった。
「おはよう!お前、見ない顔だな、転校生か?俺は佐藤って言うんだ、よろしくな!」
佐藤君の顔の距離が、やけに近い。
「ま、いいやそんなことよりも、おーい皆見てくれよ!すっげーもん手に入れたぜ!!」
ヤツは鞄をまさぐると、一本のゲームソフトとゲーム機本体を取り出した。
「じゃっじゃーーーーん!! 今日発売の『ラビットクエスト』と『ゲームステイション』、夜通し並んで買っちゃったぜ!!」
自慢し出す佐藤は、教室のテレビに慣れた手つきで接続し始めた。
「早速やっちまうぜ!! 皆、俺の勇姿を見てくれよな!!」
休み時間、大音量でゲームをする佐藤。盛り上がる取り巻き達。
佐藤は本当にヤバい!! 関わったら絶対イジメられる!!……
僕は本能的にそう感じ、絶対に関わらないように視線を窓の外に移し、小さく肩を震わせた。
「これ以上は見てられないわ」
状況を見かねた委員長の由紀は、さっと席を立つと僕の横を通り過ぎ、佐藤の前に立つ。
僕の視線は、自然と由紀を追いかけた。
黒いおさげに眼鏡をかけたセーラー服。少し幼い顔立ちの彼女は、まるで天使のようだ。
「ねぇ佐藤君、盛り上がっているところ申し訳ないんだけど、そのゲームをしまって欲しいの」
「あぁ!?」佐藤は由紀を睨み付ける。
由紀は表情を崩さず、冷静に告げる。
「貴方たちがゲームが好きなことは認めるわ。だけどここは学校。よく周りを見て? 静かに過ごしたい人もいるんだから」
少し冷静になったのか、チラチラと周りを見る佐藤。
女子の冷たい目線だけでなく、取り巻き以外の男子生徒の不満げな表情に、佐藤は大人しくなった。
「す、すまねぇ……なんか俺一人で勝手に舞い上がってたっぽいな……」
「わかってくれて嬉しいわ。あたしもゲームは大好きだから、今度お話聞かせてね。じゃ、委員長のお説教はここまで♪」
由紀は佐藤にいたずらっぽくウインクする。
僕の横を通りすぎようとした由紀は、立ち止まって話しかけた。
「騒がしいクラスでごめんね、小川くん。佐藤君はパッと見はワルだけど、いいところもあるから仲良くしてあげてね」
そう言って、落ちていた攻略本を拾い上げ、優しく渡してくれた。
「うん……ありがとう……」
ぽんっ……
由紀の指先が、僕の肩にそっと触れる。
初めて触れられた女の子の心の柔らかさに、僕の心臓の鼓動が加速する。
まるで勇者のような由紀の勇敢さ、天使のような美しさ、慈愛に満ちた優しさ。
そして何より柔らかな心に、僕はどうやら、一瞬で惚れてしまったようだ……
作品を読んでいただきありがとうございます(^-^ゞ
未熟者ゆえ文章力は低いですが楽しんでいただけましたら幸いです。
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