ためらい
時が僅かに進む
私は電車を待っている
ここは死後の世界であり
死人が天国か地獄かに分類される前の駅
何故
死んだばかりの私が
そんなことを知ってるのかというと
死後の門番の受付人が教えてくれたんだ
死後の世界なんて生前は全く信じてなかったが
いざこうして身の回りを見ると
信じておけば良かったとの想いもある
耳を覚ますと轟音が聞こえる
電車が駅のプラットフォームに現れて
ゆっくりドアが開いた
私は電車のドアの中に入らなかった
ためらいが生じたんだ
ひょっとして地獄行きだったらどうしようと
ためらいが未来を先延ばしにしていく




