断罪回避令嬢〜悪役令嬢さま、あなたの断罪阻止請け負います
ひと味違った悪役令嬢もの、楽しんでいただけると幸いです。
「これはまさに……由々しき事態ですわね」
とある王家の一室。入室した若い執事より一連の報告を聞いた人物は溜息を漏らす。
絢爛豪華な薔薇のドレスを身に纏ったこの人物こそ、ここマーガレット王国の現王妃、第七代アレクサンディア女王。羊皮紙に書かれた文字を指でなぞり、この一連の事件が国家の一大事へ繋がると予測する。
『アルバス侯爵嫡男トロイ 東地区の舞踏会にてレイス侯爵令嬢相手に婚約破棄 のちに真実の愛を見つけてアリーマン伯爵家次女アリアと逃避行』
『ドヴォル公爵次男ザーク 王立セントレア学園 学園祭祝賀パーティにてグレーテル公爵令嬢相手に婚約破棄 ヘンゼル伯爵令嬢と婚約宣言』
『隣国アルバトロス王国 ウイング第二王子、誕生日パーティにてヒュウコ公爵令嬢相手に婚約破棄 ミサキ伯爵令嬢と真実を求める旅へ』
いつからこうなってしまったのか? 時は婚約破棄戦国時代。自国でも、異国でも、遥か遠くの地でも、右を見ると婚約破棄、振り返っても婚約破棄、そこに付随して起きる悪役令嬢と呼ばれる令嬢の断罪、断罪、巻き起こる断罪三唱の嵐。
今年、貴族社会で流行した言葉を集めるコンテストがあったのならば、婚約破棄か断罪か、はたまた真実の愛か。
そもそも真実の愛とは何なのか? 婚約している相手が居ながら不貞行為をするなんて貴族としてあるまじき行為なのではないか? とアレクサンディア女王は嘆くのだ。
「スミス、うちの息子達は大丈夫ですわよね?」
「ええ。今のところは」
「今のところはですって!」
手に持っていた羊皮紙をグシャリと握り潰す女王。失礼しましたと言わんばかりにすぐさまスミスが一礼し、再度落ち着きを取り戻す女王。女王には、第一王子から第三王子、そして第一王女、第二王女と五人の子供が存在しているのだ。このまま婚約破棄をする事が貴族の勲章であるという意味の分からない慣習が出来てしまっては、王家にまでこの婚約破棄と令嬢断罪のビックウェーブに呑まれてしまう可能性があるのだ。女王は決意する。国として、国家の転覆だけは阻止せねばなるまい、と。
「……あの子を連れて来て頂戴」
「畏まりました」
スミスが恭しく一礼し、女王の一室を後にする。やがて、入れ替わるようにして一人の女性が部屋をノックする。恐らく女王に呼ばれる事を想定して既に外で待機していたようだった。
星空を投影するかのような美しい銀髪に赤い薔薇のドレスを身に纏う女王に対し、カーテシーをした女性は短い黒髪と白い絹のドレスといったあまりに淡泊な印象。しかし、女王に物怖じする事なく微笑むその令嬢に対し、女王は命令を下す。
「ニケ・グラジオラス。あなたを王家直轄の断罪回避請負人の任を命じます」
「謹んで御受け致します。ニケ・グラジオラス、女王のご意向に応えてみせましょう」
こうして、国家転覆を防ぐべく、断罪回避令嬢ニケ・グラジオラスがここに誕生したのである――
◆◆断罪回避令嬢◆◆
マーガレット王国四大貴族の一つであるプリーシア公爵家が主催でこの日開かれた社交界。
パーティは滞りなく行われ、何事もなく終わるかに見えた社交界終盤で事件は起きる。突然、プリーシア公爵家嫡男が、この場を借りて言いたい事があると舞台中央へと躍り出た。
「みんな聞いてくれ! プリーシア公爵家嫡男、クローバー・プリーシアはこの場を借りて宣言したい。ラミア・ルージュ・ムーンライト公爵令嬢との婚約を破棄させてもらう、と」
婚約破棄を突き付けられたラミア・ルージュ・ムーンライト公爵令嬢は、眉一つ動かさず両腕を組んだまま、クローバーと対峙している。彼女が身に着けるワインレッドのドレスは、この場に居る誰よりも目立っており、彼女の華やかさを象徴するものだった。
「どういう事か、聞かせて貰いましょうか?」
「何を言っている。今迄の学園での立ち振る舞い、忘れたとは言わせないぞ。自分の胸に聞いてみるんだな」
貴族の若者達が集うクローバーもラミアも王立セントレア学園上級生である三年生。クローバーもラミアも四大貴族出身であり、学園で知らない者は居ないと言われるほど有名な存在。だからこそ、この社交界という場での婚約破棄という発表は、この場に居る誰もが息を呑む展開であったのだ。自身に胸を当ててゆっくりと息を吐いた後、彼女は吐き捨てるように婚約者へ向け言葉を紡ぐ。
「全く身に覚えがありませんわね」
「そうか、では彼女から言ってもらうとする」
クローバーが合図をした瞬間、ドレスを着た集団に紛れていた一人の女性がひょっこりと顔を出し、軽く会釈をしつついそいそとクローバーの横に立つ。その瞬間、ラミアは悟る。嗚呼、クローバーの心はもう自分へ向いてはいないのだと。
「彼女を知らない人も居るだろうから紹介したい。ネヴィウス伯爵家の次女、メルバ令嬢だ。彼女はセントレアでの三年もの学園生活で、ラミアに虐げられて来たんだ。メルバ、間違いないな?」
「はい、間違いありません」
ある者達はどよめき、そして、ざわつき。またある者は来るべき時が来てしまったと溜息を漏らす。学園でのラミアは時に気高く、時に高慢で、思いのまま行動していた。学園の悪役令嬢と呼ばれる程に。貴族として立ち振る舞いが相応しくない者へ厳しく当たっている事も多く、この場に証言者が多く居る事は間違いなかった。
「ワタクシは、学園の生徒代表として、あくまで貴族としての立ち振る舞いを指導していたに過ぎませんわよ」
「でも、彼女はこんなに怯えているではないか?」
メルバの震える肩をクローバーが支えるようにして立っている。その様子に触発されたのか、ラミアに今まできつく当たられたという令嬢や令息達が続けて手を挙げていく。王国四大貴族の長女として気高く、凛々しく、真っ直ぐに生きて来たラミア。彼女の貴族としての学園での行動は間違いではなかった。影響力が強いが故に、悪役令嬢と揶揄されて来ただけ。当然ラミア自身の耳にもその事実は入っていたが、特に気にする事もなかった。婚約者から婚約破棄という現実を突き付けられるまでは。
「公爵家の婚約者として相応しいのはここに居るラミアではない。メルバ令嬢だ」
ネヴィウス伯爵が思わず拍手を送ろうとし、周囲の静寂に思わず手を止める。まだ拍手をするには時期尚早。公爵家の妻という地位を次女が勝ち取ろうとしている事実に思わず口より手が先に出てしまったのだろう。
「悪役は潔く去る、こういう事ですのね。そこのメルバとかいうご令嬢と末永くお幸せに、クローバー・プリーシア殿」
反論する事もなくカーテシーをし、クローバーへ背を向けるラミア。そして、二、三歩踏み出したところで、社交界会場の扉が開かれる。
「そこまでです」
肩までかかる金色の髪を揺らし、この国では珍しい黒と白が基調のゴシックドレスに身を包んだ女性が隣に立つ若い執事と共に社交界会場へと入室して来る。
「何者だ!? ここは社交界会場ぞ! 身分不相応の者は立ち去るがよい」
「いえ、そうはいきません。その断罪、私が止めさせていただきます」
「そ、その紋章……まさか王家の!?」
懐より取り出した王家の家紋が入った紋章に、彼女がクローバーとラミアへ向かうまでの花道へ立ち塞がった貴族達が怯む。ゴシックドレスの令嬢と若い執事はそのまま真っ直ぐ主役達の下へ。ラミアとすれ違い様、彼女にのみ聞こえる声でゴシックドレスの令嬢は囁く。
「では、始めましょうか?」
「ええ、構わないわ」
そのままラミアと入れ替わる形でクローバーと対峙したゴシックドレスの令嬢は、恭しく一礼した後、紋章を前に出したままこう宣言する。
「マーガレット王国現王妃、第七代アレクサンディア女王の命を受け、この場は私、王家直轄の断罪回避請負人ニケ・グラジオラスが取り仕切る事とします。では、断罪回避令嬢、参ります!」
◆◆CM◆◆
『真実の愛って どこにあるのかしら? 愛が一番♪ 貴族社会~♪ 』
『まめねこ~ ねぇ、知ってる? 最近社交界とかで断罪される淑女のこと、あくやくれいじょうって言うんだって~』
◆◆CMおわり◆◆
――話は少し前に遡る。
「次断罪が起きるとすれば、今度プリーシア公爵家で開かれる社交界会場ね」
「お嬢様、今回はどうされますか?」
王家直属執事のスミスがお嬢様と呼んだニケの前へ紅茶を置く。幼い頃よりニケの教育係を命ぜられていたスミスは、女王だけでなく、ニケ専属の執事でもあるのだ。ニケは机上に広げた大量の悪役令嬢捜査資料の中から、次に起こりうる断罪案件を探していた。そして、一人の男性をピックアップする。
プリーシア公爵家嫡男、名をクローバー・プリーシア。プリーシア公爵家とは、先日王立セントレア学園・学園祭祝賀パーティにて次男が盛大に婚約破棄を行ったドヴォル公爵家と仲がよく、家族ぐるみの付き合いなのだ。セントレア学園三年生の悪役令嬢として名高いラミア・ルージュ・ムーンライト公爵令嬢。次断罪されるなら彼女程の有力株はないと言えるのだ。
期限は一週間。一週間でクローバー・プリーシアの交友関係からクローバーのヒロインとなるべく存在を炙り出し、ラミアサイドより、彼女を救う最善の手段を探し出す。これが、断罪回避令嬢としての仕事となるのだ。
「そうと決まれば、まずはラミアと接触しましょう。スミスはクローバーの交友関係を徹底的に炙り出して。それから……不貞行為の証拠もね?」
「承知致しました」
「さて、華麗なる断罪回避、やりましょうか?」
◆◆断罪回避令嬢◆◆
そして、舞台は再びプリーシア公爵家の社交界会場へ。
「まずはクローバー・プリーシア様。あなたは学園生活で友人へ以前より、『真実の愛を見つけた』『可憐なメルバ令嬢が一番』だと言っていたそうですが、間違いありませんか?」
「何だと!? 誰がそんな事を!?」
「ここは犯人捜しをする場ではありません。あくまで事実か否かを問う場でございます」
「そんなものは事実無根だ。俺はラミアを信じていたが、裏切ったのは彼女ではないか?」
「ほほぅ、それはどういう?」
「彼女はドヴォル公爵家やアルバス侯爵家など、有力貴族の男相手に色目を使っていたんだ」
「その証拠はあるのですか?」
「そこのドヴォル公爵家嫡男チャイコが証言してくれる! なぁ、チャイコ」
突然話を振られたチャイコは、以前、ラミアから何度か迫られた事があると証言する。当然証拠もなく、これこそ事実無根だろうが、その証言を聞いた途端、クローバーが攻勢に出る。ラミアは色んな社交場でも胸の開いたドレスで貴族のおじ様達を誘惑し、籠絡していたのだ、と。勿論、ラミアからすると、公爵家の父が良好な関係を築いている貴族のおじ様方とうまく付き合っていたに過ぎない。
この後も、ニケはクローバーへこの後も質問を繰り返すが、彼はラミアが悪い、ラミアが原因だと繰り返すばかりで、これ以上追及しても何も出ないと判断した断罪回避令嬢は、逆転の一手を繰り出す。
「成程、クローバー様の言い分は分かりました。クローバー様はあくまで婚約者が居る立場でメルバご令嬢へ近づいた件は、不貞行為と呼ばないのですね。クローバー様からすると、ラミア様が先に不貞行為を行ったんですものね」
「ああ、その通りだ」
「では、不貞行為ってどこからが不貞行為なんです? 手を繋ぐ? キス? 舞踏会で踊る事はセーフですよね?」
「そうだな。何が言いたいんだ? 男を誘惑するラミアの姿は不貞行為ではないと言いたいのか?」
「そうですね。私が言いたいのはですね」
ニケが誰かに合図を送る。両手を震わせながら執事のスミスによって連れて来られた人物は、とある侍女であった。その侍女が言うには、毎週末、ある人物を学園へお迎えへ上がる際、学園の奥にある誰も居ない部屋で、クローバー・プリーシアとそのご令嬢が濃密な時間を過ごしているというのだ。
貴族の挨拶風な軽い手への口づけなどではなく、それは此処では言えないような濃密な、侍女が来た事にも気づかないくらいの接触ぶりなんだそうだ。そう、この侍女、ネヴィウス伯爵家の専属侍女で、毎日メルバ令嬢を迎えに来ている人物なのだ。
「おや、さっきまでの震え、止まりましたね。どうしたんですか? 先ほどまでの可愛らしい顔が崩れていますよ?」
険しい顔になっていたメルバ令嬢へ話を振ると、我に返ったご令嬢はすぐに微笑み返す。
「メルバご令嬢、昨晩の御父上との会食は楽しかったですか? 確か姉上もご一緒でしたよね」
「え?」
「もうすぐプリーシア公爵家の財産が手に入る。これで我がネヴィウス伯爵家も安泰だ、御父上のこの発言は、何の事を仰っていたんでしょう?」
「は?」
「ミュウミュウ! どういう事だ! お前! 彼奴に儂を売ったのか!?」
「ネヴィウス伯爵、どういう事か聞かせてもらいましょうか?」
「ひぃ……プリーシア公爵!? 何も、何もございません」
専属侍女を指差し、全身を震わせながら表舞台へ出て来たネヴィウス伯爵だったが、ここに来てそれまで様子を静観していたプリーシア公爵が動いた。プリーシア公爵に肩を叩かれたネヴィウス伯爵は誰かに連行されていた。後でプリーシア公爵へ尋問されるのだろう。
「さ、クローバー様。貴方様の求める〝真実の愛〟とやら、メルバご令嬢と思う存分語って下さいまし」
「メルバ、どういう事なんだ?」
「……誤解です……クローバー様。わたしは……わたしは……ふふふ……あはははあははは、もうダメ、耐えられない」
それまでお淑やかな様子で立ち振る舞っていた女性とは思えない姿のメルバ令嬢は、お腹を両手で押さえつつ笑い続けている。
「メルバ……なぁ、先日も真実の愛を語っていたではないか?」
「ええ、そうね。真実の愛なんてまやかしよ? クローバー様、まだ分からないの?」
雷に打たれたかのような姿で立ち尽くすクローバー・プリーシア。今まで可愛らしい子猫のように鳴いていたメルバの姿はもうここにない。ひと通り笑い終わった彼女は自ら語り出す。全部彼女が仕組んだ事だった。ラミアの悪役令嬢としての噂を吹聴したのも彼女。そして、この場で婚約破棄して欲しいとクローバーへ進言したのもメルバだったのだ。
「ドヴォル公爵家の婚約破棄事件を知っていたクローバー様は、婚約破棄が勲章かのような錯覚をしていたのでしょう。真実の愛も婚約破棄も勲章なんかではありません。他人を貶めて得る勲章なんて何の意味がございましょう。早く夢から覚めるか、メルバ様とお家を捨てて駆け落ちでもして下さい。その場合、この場に居る誰もが、以後、クローバー様を公爵家の人間とは認めないでしょう」
「待ってくれ……俺は……どうかしていたんだ……ラミア、すまない! 婚約破棄を破棄したいんだが、俺はどうすればいい?」
それまで黙って両腕を組んで静観していたラミアの足下へ縋るようにしてクローバーがやって来る。最早、四大貴族の嫡男としての威厳も何もない、ただの凡才。婚約者の情けない姿を見たラミアはそのまましゃがみ込み、クローバーへひと言。
「さようなら」
パシン――
乾いた平手打ちの音が場内に響き渡り、続いて倒れ込む婚約者をその場に置いたまま、メルバの方へと向かうラミア。
「何か、言い残した事はあるかしら?」
「クローバー様との時間、愉しませてもらいました。ありがとうございます、悪役令嬢様」
パシン――
この場、二度目の平手打ちが炸裂し、ラミアはその流れに乗じてここに宣言した。
「ワタクシ、ラミア・ルージュ・ムーンライトは、クローバー・プリーシアとの婚約を正式に解消致します。ご賛同される紳士・淑女の皆様方は、拍手をお願い致します」
場内一杯に広がる拍手喝采。それは、悪役令嬢を断罪する拍手ではなく、ラミアの新たな出発と、ラミアの断罪を見事に阻止した断罪回避令嬢ニケへ対するものであった――
◆◆祭りのあとで◆◆
「ニケさん。お手並み拝見させていただきました。断罪回避の手腕、お見事でしたわ」
「ラミア様、ありがとうございます」
後日、ムーンライト公爵家の一室に招かれたニケとスミスは、ラミアと共に断罪回避の乾杯をしていた。そして、その場には例の人物も一緒に存在しており……。
「正直、野心と欲望しかないネヴィウス伯爵家の生活は窮屈でした。ニケ様のお陰で新たな出発が出来ました」
「ふふ、メルバと違って、悪役令嬢と噂されるワタクシの指導は厳しいわよ?」
「ご指導とあらば喜んでお受け致しますわ。ラミア様」
断罪前の調査期間で、ネヴィウス伯爵家の怪しいと睨んだスミスは、伯爵家に綻びがないか潜入調査を試みていた。そこにこのミュウミュウという侍女の存在を知ったのだ。彼女をお金で引き抜いたのか、はたまたスミスの手腕で引き抜いたのかは謎であるが、彼女があの場で暴露してくれたお陰でラミアの断罪は阻止出来たのだ。
「それにしてもニケさん。断罪回避令嬢とはよく言ったものね。あなた、何者なの? あの紋章。王家の血筋なら、ワタクシも言葉を慎まなければならないわよ」
「そこは違いますよって言いましたでしょう? 女王様とは幼い頃からちょっとしたお知り合いなんですよ、私。ね、スミス」
「仰る通りでございます」
「まぁ、そこは詮索しない事にするわ。それにしても婚約破棄回避ではなく、断罪回避とはよく言ったものね」
断罪回避請負人とは、婚約破棄を回避する事が目的ではないのだ。本来粛清されるべきでない者が粛清される事はあってはならない。本当に断罪すべき対象が居るなら立場を逆転させる。断罪対象はなく、元鞘に収まるならそれでよし。
こうして断罪回避を請け負う事で、貴族社会を正しい方向へ向かわせる。これが断罪回避令嬢の使命なのである。
「ラミア様は、これからどうされるおつもりで?」
「さぁ? 舞踏会でまやかしではない真実の愛でも探してみようかしら?」
「ふふ、それもいいかもしれませんね」
この世に悪役令嬢の婚約破棄がある限り、どこからともなく現れる。
それが断罪回避請負人。
断罪回避令嬢。ニケ・グラジオラスの戦いは、まだ始まったばかりだ――
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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