表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/261

52. ギンジさんの教育方針

「なかなか頑張ってるようだな。この短期間でこの上がり幅なら十分及第点だ」


 今日も私は日課の猿洞窟訓練後、ロコさんのプライベートエリアへとお邪魔している。ただし、今日はギンジさん付きだ。


「ロコの奴がみっちり鍛えてるって聞いたから来てみたが、かなり効率的なメニューでやってるみたいだな」

「勿論じゃ。わっちは本気でナツを一流のテイマーに育て上げるつもりじゃからの。……逆にお主はナツを放任し過ぎではないか? 一応、近接戦闘の師匠なのじゃろう?」


 それは私も少し思っていた。ギンジさんは初めて猿洞窟での訓練方法を教えてくれた時以降、私が複数体相手の戦い方を相談した時ぐらいしか指導を受けていないのだ。

 ただ、その2回の指導で多くの事を学ばせてもらっているし、高価な装備類も貸してもらっているので、受け取っている価値は相当な物なのだけれど……。


「放任し過ぎと言われてもなぁ~。今のナツのステータスだと、戦い方の訓練をするよりその時間を当ててスキル上げをしてた方が効率がいいんだ」


 つまりはそういう事なのだ。テイマーの立ち回りに関しては、ペットを守りながら上手く連携して戦う為に必要な物なのでロコさんも親身になって訓練してくれている。

 けれど近接戦闘に関しては、もし負けたとしても私にデスペナルティが掛かるだけで大した被害もないので、負けない為の戦い方を教えるより、少しでもスキル上げに時間を割いた方がいいというのがギンジさんの考え方なのだ。


「ああ、だが1つだけ指導しておいた方がいいのがあるな」

「えっと、何でしょうか?」

「お前さんは今、『筋力』『機動力』『回避』を効率よく上げる為の訓練をしてる訳だが……回避特化の戦い方をしている所為で『体力』と『持久力』の上がり方が悪いんだ」


 基礎スキルである体力は総HP量に影響を与え、攻撃を受けた回数やダメージ量によって経験値を得る。そして持久力は総スタミナ量に影響を与え、技能を使ったりスタミナを消費する事によって経験値を得る。

 私は回避特化で戦うので被弾が極端に少なく、更に言えば継続戦闘時間を増やす為に技能は極力使わずスタミナを節約する戦いをしている。その為、体力と持久力のスキルが上がりづらいのだ。


「そこでだ……最高効率で体力と持久力のスキルを上げるとっておきの方法を伝授してやろう」


 そう言い放ったギンジさんの顔は、それはもう良い笑顔をしていた……。


 ……


 …………


 ………………


「ひぃ、ひぃ! この流れ、つい最近やった気がします!!」

「はっはっは。なら心構えが出来て良かったじゃねぇか」


 私は今、ダンジョン『スライム迷宮』の中層へと来ている。そこに出るモンスターは勿論スライム。多種多様なスライムがわんさか襲って来るのだ。


「中層のこのフロアは、1度入るとギミックを解くまで出られない密室トラップになっていてな。しかも出てくるスライムはギミックを解くまで無限沸きだ。お代わりは無限にあるから遠慮なく短剣技能をぶっ放せ」


 そう、今私は密室フロアの中で沢山のハイスライムに集られている。

 ハイスライムはスライムより硬度が高く、それにタックルされる様はバスケットボールを思いっきり投げつけられているようだった。

 そして四方八方からハイスライム達にタックルされながら、必死になって短剣技能を放って1匹1匹倒していく。


「のぅギンジよ。これは流石に可哀そうではないか? わっちは今、なんぞヒロインをいびる悪役令嬢にでもなった気分じゃぞ」

「俺の知る限り、今のナツのスキル値に合った最高率のスキル上げポイントはここ以外ないぞ? なに、今はロコの魔法で防御力も上げて常時回復のリジェネまで掛けてるんだ。HP・スタミナが危険域に入ってもお前さんが回復するんだから問題はねぇはずだ」

「効率ばかりを見ずに目の前のあの有様を見よ! お主はあのナツを見て何も思わぬのか?」


 そうだ、もっと言ってやって下さい!

 先ほどからベシベシとぶつかってくるハイスライム達に、私はフラストレーションが溜まりまくりなのだ。


「何も思わないのかと言われてもなぁ。……ナツ、少しでも早く強くなりたいならここが一番なんだが、それでもナツはここでの訓練は嫌か?」

「くっ! その言い方は卑怯ですよ!! ……もぅ、やりますよ! やればいいんでしょ!! んのぉぉおお、スパイラルエッジ!!!」

「はっはっは。ロコ。ナツはやる気みたいだ。それなら師匠がやる事は、手助けと応援だろう?」

「……全く、この阿呆は」


 ロコさんは頭の痛そうな顔をして溜め息を1つ吐いた。

 ちなみにロコさんとギンジさんが何故襲われていないかと言うと、今はロコさんの魔法によって透明化しており、そしてペットによる幻術でカモフラージュも完璧だからだ。


「それと、ナツ。明日からは1人でここに来て、死に戻りするまで戦ってからデスペナを受けた状態で猿洞窟へ行け。デスペナでステータスが下がっていた方が猿洞窟でのスキル上げにいいからな」

「もぉぉおおおおお!! スラッシュ!!!」


 ――ギンジさんには沢山の恩がある。……だけど、いつか絶対にあの顔に一発入れてやる!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ