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【こぼれ話 side.ミシャ】プリンセス ミシャの優雅な朝

 プリンセス ミシャの朝は愛犬バーニャフロイデとの挨拶から始まる。


「おはよう、バーニャフロイデ。今日もいい朝ね♪」

「?」

「……おはよう、レキ君」

「ワフッ♪」


 プリンセス ミシャの朝はバーニャフロイデ改め、愛犬レキとの挨拶から始まる。

 私はう~んと伸びをして、するりとベッドから抜け出すと窓を開けた。すると、外から吹き込むひんやりとした風が私の肌を撫でる。


「気持ち良い風。でもまだこの時期の風は少し肌寒いわね。……パルちゃん、もう止めていいよ。あ、うん、お願いを聞いてくれて凄く嬉しいんだけど、もう大丈夫だから。いや、本当にもう大丈夫! 髪が凍ってきちゃってるから!」


 今朝の風は少し気合いが入り過ぎていたようだ。

 私は気を取り直して、テーブルの上にあるベルを鳴らす。


「メイド、これメイド」

「は、はい! えっと、プリンセス ミシャ様、おはようございます!」


 ドアを開け、入って来たのは私の専属メイドであるナーツェ。小さくて可愛い自慢のメイドだ。


「おはよう、ナーツェ。……そうだわ。今日もいつもの様に目の覚める面白い話をして下さらないかしら?」

「ふぇっ!? え、えっと……それ台本に無いんですけど?」

「いいから、いいから♪」


 ナーツェはあわあわと慌てていたけれど、それでも一生懸命に主の無茶ぶr……こほん、主のお願いに応えようとしてくれていた。


「えっと、実は私、このゲームで初めて料理した時にですね、焼ける速さとか考えずに色んな食材を切って一度に炒めちゃって、焦げ焦げと生焼けで失敗しちゃったんです。それで、その事をお母さんに話したら『私もお父さんに初めて料理を作ってあげた時、同じ失敗したわ』って話になって、やっぱり親子って似るんだね~って笑い話になったんです。……えっと……終わりです」


 私は無言でこの可愛い生き物の頭を撫でくり回した。

 この小っちゃくて可愛い生き物は私の専属メイドなのである。

 

 可愛いメイドの献身に満足した私は、次のお願いをした。


「ナーツェ、お腹が空いてしまったわ。何か朝食をお願い」

「朝食ですか!? 今、食材は全部バフ料理にしちゃって何も無いので、朝食として食べられるのはエナジーバーぐらいしか……」


 そう、プリンセス ミシャの食事はエナジーバーから始まる。私は健康的なプリンセスなのだ。



 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「どうどう? 羨ましいでしょ♪ 遂に私は長年の夢であるお城暮らしを始めて、お姫様プレイまでしちゃったのさ♪」


 私はナツちゃんに出演をお願いして撮影した動画を、事務所の可愛い後輩に見せて自慢していた。


「お城の真の主であるナツちゃんをメイドにしちゃ駄目でしょ。と言うか、あんまり無茶ぶりばかりしてるとナツちゃんに嫌われちゃいますよ?」

「いやいや、そのギリギリを見極めるのがプロってものさ♪ それに、ナツちゃんもメイド服姿に満更でもない感じだったしね」


 ナツちゃんは私が気が付いていないと思っていたようだけど、私の部屋にある姿見をチラチラ見ながらスカートをひらひらさせていたのを私はバッチリ目撃している。

 けれど、そこを弄ると撮影に協力してくれなくなっちゃいそうだから、見なかった事にしておいた。


「次はガラっとテイストを変えて独房にしようかと思ってるんだよねぇ~。それで次はナツちゃんに看守役をしてもらおうかな♪」

「いい加減にしないと、ナツちゃんにお城を追い出されても知りませんよ?」


 ふっふっふ、せっかくお城で暮せるようになったのだから、全力で楽しまなきゃ損なのさ♪

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