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129. ペットの寝床は最強の癒しスポット

 言い訳をしているように聞こえてしまうが、私は別に特別散らかし癖があるという訳ではない。リアルの部屋はいつも綺麗に片付いているし、このゲームでも当初使っていたプライベートルームは片付いていたのだ。

 では何故この部屋には先日買った床パネルや家具が乱雑に放置されているかと言うと、それは私が部屋の模様替えの経験が殆どないからなのである。

 リアルでは基本的にお母さんが家具を決めて、お父さんが運び入れてくれる。そして配置レイアウトはお母さんが決めてくれていた。私が買って配置を決めた物といえば、ベッドや机の上にある小物やぬいぐるみぐらいだろう。


 先日ミシャさんと家具選びに行った時は、ミシャさんのお陰でどんなコンセプトの部屋にするか決めることが出来たし、お洒落で可愛い家具を見てテンション爆上がりで必要な物を大体購入することが出来た。

 けれど、それらをいざ配置しようと思うと、どうするのが一番いいのか悩んでしまうのである。しかも、私にはスキル上げや師匠達との訓練、それにレキ達との触れ合いの時間などやる事も多く、結果部屋の模様替えは後回しになり床パネルや家具が部屋の隅で放置される現状が出来上がってしまったのである。


「う~む、話は分かったのじゃ。……じゃが、流石にこの惨状はどうかと思うぞ? せめて床パネルぐらい敷いたらどうなのじゃ?」

「うぅ、はい。何だかんだ理由を付けて放置していたので、頑張ります。 ……ロコさんの部屋は凄い片付いてそうなイメージはありますね。プライベートエリアの家も凄く綺麗でしたし」

「わっちかえ? わっちは元々部屋に物を殆ど置いておらんからのぅ。散らかしようが無いのじゃ」


 どうやらロコさんのリアルの家にはテーブルと椅子ぐらいしかなく、何と驚いた事にテレビもベッドも洗濯機も無いそうだ。

 それでは寝る時や洗濯はどうしているかと言うと、ベッドではなく折り畳み式のマットレスで寝ており、洗濯は住んでいるマンションと提携を結んでいるクリーニング店で済ませているらしい。


「ミニマリストってやつですね! 前にテレビで見た事があります」

「いや、そんな大層な思想を持っておる訳ではなく、単純に必要無い物を買っておらんだけじゃな。必要に駆られれば買うし、物も増えるじゃろう。 ……最近はあれこれとわっちの私生活をチェックする者も居るしな」


 以前ちょっと話していた、ロコさんの生活を改善させようとしているご友人の方だろうか?

 その方は今もロコさんの生活改善の為に活動しているようだ。


「うむ、今日はわっちもとくに予定もない事じゃし、この部屋の片づけを手伝うのじゃ」

「え! いえいえ、この部屋の惨状は私の所為ですし、ロコさんの手を煩わせるのは……」

「わっちの事は気にせんで良い。最近はバグモンスター関連のことばかりじゃったし、わっちにとっての気晴らしじゃ気晴らし」


 完全に私的な事でロコさんの手を借りる事に申し訳ないと思ったが、ロコさんは本当に気にしておらず、尚且つ私以上にこの部屋を片付ける事にやる気を出している様子だったので、ロコさんの申し出を受け入れ2人で部屋の片付け&模様替えをすることになった。


 面倒臭い作業というのはやり始めるまでに時間が掛かるが、やり始めてからはスイスイ作業が進む物で、ロコさんという助っ人を得て行う模様替えは予想以上のスピードで進める事が出来た。


「ふぅ、大体の作業は終わりましたね。……後はレキ達の寝床を何処にするか」

「今まではどうしておったのじゃ?」

「今までは専用の寝床は作ってなかったんです。前の部屋ではレキとパルだけだったので、ベッドの上で一緒に寝てました」


 レキとパルは小型だったので一緒のベッドでも良かったというのもあるが、それ以上に前まで使っていた初期部屋が狭かったのでベッド以外に寝床を作るのが難しかったのだ。けれど今回、城の中でも特に広い一室をプライベートルームとすることが出来たので、折角だからと皆の寝床を購入したのである。


「ペットの寝床はその種類毎や個体毎に好む場所が違ってくる。まずは種類毎の特性を加味して設置し、レキ達の反応を見て配置を変えていけば良かろう」

「了解です。……ちなみにレキ達の種族毎の好む場所ってどんな所なんでしょう?」

「新しいペットを手に入れたら、まずはそこら辺の情報も調べぬといかんぞ? もし次新しいペットが出来たらしっかりと調べるのじゃ」


 そう言ってロコさんはそれぞれの種族が好む寝床の場所を説明してくれた。


 ――今回はロコさんから教えて貰えるけど、テイマーとしても家族としても、レキ達の事をちゃんと知っておかないといけないな。


 そんな反省もしつつロコさんの説明に耳を傾ける。


「まずはピクシーウルフに関してじゃが、これは種族というより個体差が大きい。じゃからレキ自身に聞きながらの方が良いじゃろう。次にスノードラゴンじゃが、こっちは高い所を好む傾向がある。最後にカウントベアーじゃが、周りに物が少ない地面が良いな」


 私はロコさんのアドバイスを聞きながら、事前に購入していた寝床を設置してレキ達に意見を聞きた。そしてそう手こずることも無く、それぞれの寝床が完成した。


 まずレキは私と近い所がいいようだったので、ベッドのすぐ隣りに毛布を敷き詰めたバスケットタイプの寝床を設置した。

 次にパルは、新しく購入し設置した木製チェストの上に鳥の巣のようなデザインの寝床を設置。

 最後にモカさんは、部屋の隅の広い空間に木の幹のようなデザインの小屋を設置した。


 レキ達はその新しい寝床を気に入ってくれたようで、早速それぞれの寝床でくつろぎだした。……そしてその光景がなんとも。


「か、可愛い!!」

「うむうむ、成体も良いが幼体の寝姿もやはり可愛いのぅ。こういう風景を見ていると、テイマーになって本当に良かったと思うのじゃ」


 ベッドの上でみんなを抱きしめて寝るのも勿論癒されるのだけれど、こうやって自分の寝床でクルンと丸まり寝る姿は見ているだけでも癒されるし幸せな気持ちになってくる。

 こうして私の部屋には最強の癒しスポットが完成した。

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