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94. 祝勝会とロコさんの親友

『馬鹿で不器用な私が一番得意な攻撃は通常攻撃! ステータスを上げて物理で殴る!! 気合いだー!!!』

「ミシャさん、止めて下さいよぉ」


 蟻巣の森に出現したバグモンスターを倒したあと、私達はロコさんのプライベートエリアへと帰って祝勝会を開いていた。

 ロコさんと私で料理を作り、準備が整ってまず始めたのが私とバグモンスターとの戦いを収めた映像の鑑賞会だった。……すでに私の冒頭のセリフが3回リピート再生されている。


「くふふふ。だって、このナツちゃんカッコカワイイんだもん♪ 気合いだー!!!」

「いい気合の入り方ではあったが、お前さん本当に通常攻撃以外なにもしないのはどうかと思うぞ? あの位置からならバックスタブ含めて技能を打ち放題だったろうが」

「うぅ~。あの時は振り落とされないようにするのに必死だったし……その、思いのほか高速ラッシュが気持ちよくて技能を使うって考えがすっぽり抜けちゃってたんですよ……」


 私の言い分にギンジさんは呆れた顔をし、ミシャさんは大爆笑でお腹を抱えていた。私は今回なかなかの活躍をしたと思うのだが、何故か扱いが酷い。


「お主らいい加減にせぬか。ナツも必死に頑張っておったし、その結果バグモンスターを圧倒する戦いぶりだったではないか」

「そうです! 私は頑張りました! だから、もっと褒めて下さい!!」


 私がそう主張すると、ミシャさんは席を立ちタタタッと小走りで私の背後へと近づき両腕で私をギュっと抱きしめた。


「うんうん、ナツちゃんは本当に頑張ったよ。あの思い切りの良さはナツちゃんの立派な強みだね♪」

「まぁ、俺も今回の戦いは良かったと思ってるぞ? 色々甘めぇところはあるが、そこは今後要訓練だな」


 2人の率直な誉め言葉に私は自然と「むふー」と鼻息が荒くなってしまう。ただ、ギンジさんの訓練は数日の休息期間の後にしてもらえると有難い。


「そう言えば、先ほどファイから連絡があっての。ナツ専用のダンジョンとエイリアスのギルドハウスがもうすぐ完成するそうじゃ」

「専用ダンジョンがもうすぐ完成するんですね! ……でも、ギルドハウスの方は必要なんでしょうか? 私達はそんなに人数を増やす訳でもありませんし、ギルドハウスが無くても不便は無さそうなんですけど」

「うむ、ギルドハウスには設備以外にも大きな利点があるのじゃよ。特殊効果アセットというな」

「特殊効果アセット?」

 

 ギルドハウスには工房や大きなキッチン、他にも訓練場や書庫など様々な設備を設置することが出来る。だがそれ以外にもギルドハウスを持つことで、そこに所属するメンバーに大きな恩恵を与える物が存在する。それが特殊効果アセットというらしい。

 特殊効果アセットには、それぞれギルドメンバー全体にパッシブバフを与える効果があり、『ドロップ率1%アップ』『飲食効果1%アップ』など様々な効果を持つアセットが存在する。そしてロコさんは元大手ギルドのギルドマスターであり、ギルドランキングや対抗戦で優秀な成績を出したり、過去にあったプレイヤー人口1000万人突破記念のギルドイベントで優勝するなどして有用なアセットを多数持っているそうだ。


「自慢では無いが、わっちが持っておるアセットはオークションなどには絶対流れないレベルの物ばかりじゃ。それだけでもギルドハウスを持つ意義は大きい。それに運営サイドからも特殊効果アセットの提供があるらしいのじゃ」

「それは凄いですね! 専用ダンジョンでスキル上げやレキ達のレベル上げも出来ますし、今から待ち遠しいです!!」


 ルビィさんが準備してくれた新装備や猿洞窟での訓練で、私の戦闘能力は大きく向上した。専用ダンジョンやギルドハウスの効果で、私はきっと更に強くなれるはずだ。


 そんな雑談を交えつつロコさんと私で作った料理を堪能し、その後はレキ達を含めてみんなで記念写真を撮ったり、戦闘映像を見ながらギンジさんからのレクチャーがあったり、ミシャさんのライブが始まったりと今回の勝利を楽しんだ。

 今回の戦いは、最初にハイテイマーズとの遭遇があって最悪だったが、その後の戦いや祝勝会によって気分の収支はプラスである。終わり良ければ全て良し!



 その後の数日間はレキ達とゆったりとした時間を過ごした。ここ最近はずっと訓練漬けだったし、専用ダンジョンが出来れば本格的にスキル上げやレキ達のレベル上げの毎日がやってくるからだ。


 そしてある日、ロコさんから驚愕のメールを貰う事となった。


 『済まぬが明日、少し時間を貰えぬだろうか。以前話したフレンドのリンスと会って欲しいのじゃ』

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[一言] 100話達成おめでとうございます
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