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第2話 新しいスキルはやっぱりスライムのスキル

 図鑑によると、普通のスライムは3つのスキルを持っている。

 さっき俺が習得した攻撃スキルの【体当たり】、体が半分ずつ2つに分裂する【分身】、防御スキルの【粘膜シールド】だ。

 1体のモンスターからコピペ出来るスキルは1つだから、あと2体スライムと出会えば全てのスキルが手に入る。


 「よし行くか。」


 俺は軽く肩を回すと、ダンジョンのさらに奥へ歩き始めた。

 事前に調べたところによると、最下層まで辿り着くまでに出現するスライムの数は平均して10体くらい。

 つまり、最初の2体でスキルをコンプリートしてしまえば残りのスライムはスキルの練習相手に出来るのだ。


 「お、また来たな。」


 あのポチャンポチャンという音がダンジョン内に響く。

 スライム様のお出ましだ。

 しかも、運良く一度に2体。

 この戦闘で、スライムのスキルが全部習得できる。


 「いくぞ!【複製転写《コピー&ペースト》】ぉ!!」


 俺は迷わず、左にいるスライムに向けて手をかざして叫んだ。


 「【粘膜シールド】!!」


 これで、【粘膜シールド】を習得出来るはずだ。


 [スキル【粘膜シールド】Lv.1を複製コピーしました。転写ペーストしますか?]


【体当たり】の時と同じように、声が響いて半透明のモニターが現れる。

 俺はもちろん、「Yes」を選択した。


 [スキル【粘膜シールド】Lv.1を転写ペーストしました。]

 [スキル【粘膜シールド】Lv.1を習得しました。]


 よし、これで防御スキルも手に入った。

 と、スライムが2体同時に【体当たり】の態勢に入る。

 俺は早速、手に入れたスキルを使った。


 「【粘膜シールド】!!」


 すると、俺の体の全体を粘液の膜が覆った。

 そこへスライムが一気に飛びかかってくる。

 しかし、もうぶつかられても痛くない。

 体力も一切削られなかった。


 「さあ、今度はこっちの番だ!!」


 俺は再び手を伸ばし、今度は右のスライムへかざす。


 「【分身】!!」


 [スキル【分身】Lv.1を複製コピーしました。転写ペーストしますか?]


 答えはもちろん「Yes」。


 [スキル【分身】Lv.1を転写ペーストしました。]

 [スキル【分身】Lv.1を習得しました。]


 俺はすぐさま、【分身】を使った。


 「【分身】!!」


 俺の体が半分ずつに分かれ、2つになる。

 D-GUIDEで見る限り、ステータスも半分こされているようだ。

 右にいる俺も俺だし、左にいる俺も俺。

 変な感覚に襲われながらも、2人の俺は叫んだ。


 「「【体当たり】!!」」


 俺と俺は同時にスライムにぶつかっていく。

 スライムがダメージを受け、「くきゅぅ…」と鳴き声を上げた。

 しかし、攻撃力も半分の50になっているため、さすがに一撃では倒せない。


 「「もう1回だな。【体当たり】!!」」


 ぐにゅっとした感触がする。


 「くきゅきゅぅ…」


 スライムが両方弾け飛んだ。

 無事スキルも習得出来たし、その使い方も大体は把握出来た。

 この戦闘は大成功だ。

 俺はD-GUIDEで、自らのステータスを確認した。


 ---------------------------

《SKILLS》

 〈オリジナルスキル〉

 【複製転写《コピー&ペースト》】Lv.1

 【体当たり】Lv.1

 【粘膜シールド】Lv.1

 【分身】Lv.1


 〈ノーマルスキル〉

 未所持


 スキル習得ポイント:0

 ---------------------------


 しっかりと、2つのスキルが追加されている。

 一応、詳細もきちんと見ておこう。

 俺はまず【粘膜シールド】の文字をタップした。


 ---------------------------

【粘膜シールド】Lv.1

 効果:全身を粘液の膜が覆い、攻撃を防ぐ。

 ただし、貫通攻撃の場合は効果が-50%となる。

 防御ダメージ:自身の防御力×8%

 ---------------------------


 まあ、Lv.1だしこんなものだろう。

 何はともあれ防御スキルが手に入ったのだ。

 痛くなくなったのは、精神的にめちゃくちゃ大きい。


 続いては、【分身】の詳細な情報だ。


 ---------------------------

【分身】Lv.1

 効果:自身の体を分裂させて2つに分ける。

 ただし、ステータスの各数値も1/2となる。

 また、一度分身した後120秒間は分身出来ない。

 効果継続時間:120秒

 ---------------------------


 スライムのスキルの中では、これが一番の当たりスキルな気がする。

 さっきのように、2体のモンスターに同時攻撃出来るのは大きい。

 もちろん、範囲攻撃系のスキルを取れば可能なことだが、スキル習得ポイントの貯まりにくい初期段階の探索ではかなり有能なスキルと言える。


 と、俺の体が1つに戻った。

 120秒が経ったのだろう。

 ここから2分間、【分身】は使えない。


 「さてさて、一気に最下層まで行きますか。」


 俺は再び、ダンジョンの中を歩き始めた。


 そして15分後、俺は木製の大きなドアの前に立っている。

 ここがダンジョンの最下層、ボス部屋だ。

 D-GUIDEによれば、この《DD-208ダンジョン》のボスはキングスライム。

 普通のスライムより一回り大きく、ステータスも若干高くなっているモンスターだ。

 とは言っても、所持スキルに変わりはないしちょっとデブったスライムという感じらしい。


 俺は1つ息を吐くと、ドアをゆっくり押し開けた。

 正方形の部屋の中央に、水色の大きなゼリー。

 スーツケースくらいの大きさの、キングスライムだ。


 キングスライムがこちらに気付き、プルプルと体を震わせた。

 モンスターだというのに、だんだんソーダゼリーに見えてくるから不思議だ。

 食べたらシュワシュワしたりするんだろうか。

 まあ、食べないけど。


 「くきゅぅぅ〜」


 キングスライムが、その体をぎゅっと縮める。

 体当たりの態勢だ。


 「【粘膜シールド】!!」


 俺も粘液の膜を出し、迎え撃つ用意を整えた。


 「くきゅぅ!」


 鳴き声とともに、キングスライムが飛び上がる。

 そのまま、高速で俺に衝突した。

 スライムの体と、俺のシールドがプルプル揺れる。


 さすがにボスというだけあって、全てのダメージを防ぐことは出来なかった。

 わずかに体力が削られる。

 しかし、この程度なら想定の範囲内だ。

 俺は【粘膜シールド】を解除し、一気に攻勢に転じた。


 「【分身】!!」


 まず、体を2つに分ける。

 そして、片方の体でキングスライムの左側に、もう片方の体でキングスライムの右側に回り込んだ。

 どっちの俺が本体という訳ではない。

 どっちの俺も俺なのだ。

 この感覚に慣れるには、まだ時間がかかりそうだ。


 ともかく、挟み撃ちの状況を作り上げた。

 ここまで来れば、次に出る行動は決まっている。


 「「【体当たり】!!」」


 キングスライムに、俺は左右から思いっきりぶつかった。


 「くきゅぅ!!」


 挟撃されたキングスライムが、悲鳴のような鳴き声を上げる。

 俺はもう一度、キングスライムに突進した。


 「「【体当たり】!!」」


 今までで一番の手応え。

 どうやら、クリティカルヒットしたようだ。

 左右から押し潰されたキングスライムの体が、派手に弾け飛んだ。


 [ボスモンスター討伐を確認しました。ダンジョン攻略成功です。]


 「「よっしゃぁぁ!!」」


 2人の俺は、同時に拳を突き上げた。


 [攻略報酬として経験値を獲得しました。]

 [攻略報酬としてスキル習得ポイントを獲得しました。]

 [攻略報酬として550円を獲得しました。]

 [攻略報酬としてアイテム《スライムの粘液》を獲得しました。]


 [レベルが1上昇しました。レベルが2になりました。各ステータスの数値が上昇しました。]

 [スキル【体当たり】のレベルが1上昇しました。スキル【体当たり】がLv.2になりました。]


 [《Dランクダンジョンを武器を使わずクリア》を達成しました。各ステータスの数値が上昇しました。]

 [《Dランクダンジョンをソロでクリア》を達成しました。各ステータスの数値が上昇しました。]


 次々に声が響く。

 ダンジョンを一度攻略しただけで、こんなに成果が出るのか。

 俺はもう一度、ガッツポーズした。


 D-GUIDEで、成長した自身のステータスを確認し満足した俺は、充実感と共に《DD-208ダンジョン》を出た。


 ---------------------------

 氏名:柏森麻央かやもり まお

 年齢:18


《STATUSES》

 レベル:2

 攻撃力:135

 防御力:135

 速 度:135

 幸 運:135

 体 力:135


《SKILLS》

 〈オリジナルスキル〉

 【複製転写コピーアンドペースト】Lv.1

 【体当たり】Lv.2

 【粘膜シールド】Lv.1

 【分身】Lv.1


 〈ノーマルスキル〉

 未所持


 スキル習得ポイント:240

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