第25話 オリーブオイルアレルギー
俺の目の前には金髪と銀髪の双子(結構かわいい)。
俺の左隣には笑顔でポテトをかじる幼馴染(結構美少女)。
そして俺の右隣には…
「それで、何も言っていないんですね?」
怖い笑顔で俺を見つめている上級探索者(結構美人)。
4人のきれいな女性に囲まれて、周りにいるぼっち男からの視線が痛い。
ただそれ以上に、右頬に刺さる視線が痛い。
「いや、本当に何も言っていないですよ。早倉さんのオリ…」
「はい?」
「えっと、オリ、オリ、オリーブオイルアレルギーが…」
危ない危ない。
めちゃくちゃ苦しいがギリギリごまかせ…
「え?奈菜姉、オリーブオイルアレルギーなの?でも、それオリーブオイル入ってるよね?」
静月の言葉に早倉さんの手元を見てみれば、そこにあるのはイタリアンハンバーガー。
店内ポスターには、「新発売!!オリーブオイル香るイタリアンハンバーガー」と書かれている。
「ああっと~、う~んと~、えっと~。」
万事休す。
早倉さんが「はあっ」と大きくため息をついた。
「私としても、絶対に誰にも言うな。言ったら殺すと言ったつもりはありません。」
いや、その割には目が怖いんですが。
「ただ、むやみに言いふらさず、話す相手を選んでほしいとは思います。」
「はい…。」
俺は体を縮めてうつむき、小さな声で返事した。
ララがニヤニヤしているが、それよりも早倉さんが怖い。
「それで、この2人はどういったお知り合いで?」
「あ、紹介します。」
俺は顔を上げて、ララとロロをそれぞれ紹介した。
「この2人は双子の探索者で、ララとロロです。銀髪でニヤニヤだらしのない顔をしているのが姉のララ、金髪で礼儀正しそうなのがロロです。」
「ちょっと!!何なのその紹介!!」
何やらララが噛みついてくるが、気にしない。
さっき怒られている俺をニヤニヤ見ていた罰だ。
「あ、あのロロといいます。よろしくお願いします。」
ロロが頭を下げる。
顔を上げたロロは、必死になってララをフォローした。
「あの、お姉ちゃんはちょっと人をからかうのが好きで、よくいたずらをして、特に麻央さんにはよくちょっかいを出しますけど…」
うん、フォローになってなかった。
「で、でもすごくいいお姉ちゃんなんです!!」
お~い、ロロ~。
今の話をどっからどう見ても、「いいお姉ちゃん」には聞こえないぞ~。
「そう!!私はちゃんといいお姉ちゃんだから!!」
いいのか、ララ。
それでいいのか。
「初めまして。早倉奈菜といいます。お2人と同じく、探索者を仕事にしております。」
ちなみに、チートクラスの成長スキルで2、3歳しか年齢が変わらないのにもうレベル300超えの超強いお姉さんです。
ただ残念なことに武器オタで、お金を弓矢に使いまくっているため上級探索者とは思えないボロアパートに住んでいます。
もちろん、こんなことは思いついても心の中にとどめておく。
口は災いの元。口は災いの元。
「私は芦宮静月です。探索者です。まだまだ駆け出しですが、よろしくお願いします。」
静月も自己紹介してお辞儀する。
「奈菜さんに、静月さん。よろしくお願いします。」
「よろしくです~。」
さてさて、俺の数少ない探索者仲間がここに集結した訳である。
ここは早倉さんのオリジナルスキルに関して口を滑らせかけたことは忘れて、探索者らしくダンジョン攻略の話でも…
「それで、奈菜さんはオリーブオイルアレルギーなの?」
おいぃぃ!!
ララ、その話はもうやめようぜ?
右から「どうしてくれるんですか?」という視線が飛んでくる。
さて、どうしましょう。
「あ、オリーブオイルアレルギーは俺の勘違いで…」
「ていうか、何で急にオリーブオイルアレルギーの話になったの?」
「そ、それはだな。」
さあここで、俺の頭の中に3つの選択肢が出現。
1.正直に言う。
例えば…
「早倉さんはオリジナルスキルを持っていてね。」
「柏森さん、何を言っているのですか?私はあなたのことを、もっと信頼出来る人だと思っていましたが。」
うん。これはないな。
2.とにかくごまかす。
「ほ、ほら、オリーブオイルってレベルアップによく効くって感じじゃん?」
「え?何言ってんの、お兄ちゃん。頭おかしくなったの?」
「どうしたの、麻央。頭打った?」
やめてくれ!!
そんな憐れむような目で俺を見ないでくれ!!
頭の中でのシミュレーションだというのに、俺の心の体力が削られた。
これもやめとこう。
3.早倉さんに丸投げ!!
「じゃ、じゃあ、早倉さんから説明を?」
「柏森さん?あなたがここまで無責任だとは思いませんでした。もう、静月には近づかないでください。」
ダメダメダメ!!
一番ダメ!!
って、1~3まで全部アウトじゃないか。
どうするんだ、全く。
これは、Sランクダンジョンよりも攻略が難しいミッションだぞ。
俺が一人苦悩していると、意外なことに口を開いたのは早倉さんだった。
「全く、柏森さんは言い訳が下手くそですね。」
「す、すいません。」
「ともかく、いくら何でもオリーブオイルでは隠し切れないでしょう。この2人はひどい人には見えませんし、正直に言ってしまいます。」
え?
そんなにあっさりと?
さっきまでの怖い目は何だったんですか?
「では、ダンジョンに行きましょうか。」
「「「「え?」」」」
早倉さん以外の4人の声が重なった。
急な提案に、全員きょとんとしている。
「どこがいいですかね。あ、お2人のレベルは?」
「103です。」
戸惑いながらロロが答えた。
「となると、近くのBランクダンジョンがいいですね。《BD-120ダンジョン》にしますか。」
「ちょっと待ってください、早倉さん。」
俺は、何やら変な方向に進んでいく早倉さんに待ったをかける。
「何で急にダンジョンに?」
「いくつか理由はありますが、口で言うより実際に見た方が早い気がします。ここは一つ、私の提案通り一緒にダンジョンに行っていただけますか?」
「まあ、ダンジョンに行くのは構いませんが。」
静月もララもロロも、「ダンジョンに行くのはいいけど何で行くの?」という感じだ。
「来ていただければ、分かりますから。」
早倉さんが、念押しするように言った。
まあ口を滑らせたのは俺だし、ここで断る理由もない。
「じゃあ、行きますか。」
腰を上げた早倉さんに続き、俺たちも立ち上がった。
一番近いBランクダンジョンに着き、早速中に入る。
考えてみると、静月とダンジョンにくるのは初めてだ。
一応早倉さんがいるため、2人きりじゃないからOKだということだろう。
全員がダンジョンに入ったところで、早倉さんがみんなの前に立って言う。
「みなさん、少しそこでじっとしていてください。」
そして、早倉さんはみんなに向けて手をかざし、スキルを発動した。
「【シニアズ・ヘルプ】。」
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