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第19話 レベルアップしたスキルで

 俺は《BD-088ダンジョン》から急いで帰り、静月と早倉さんの住む101号室を訪れた。

 幸いなことに2人とも部屋にいたので、迎えてもらった俺はすぐに話を切り出す。


「実は今日、【複製転写《コピ-アンドペースト》】がレベルアップしたんだ。」

「え?麻央のオリジナルスキルが?」


 静月が、キラキラと目を輝かせて興味を示してくれた。

 俺は頷いて、スマホを見せながらさらに話を続ける。


「それで、新しく追加された効果がこれなんだけど。」


 静月と早倉さんが、スマホの画面を覗き込んだ。

 その画面には、Lv.2になった【複製転写《コピ-アンドペースト》】の詳細が表示されている。


「これって…!?」

「これは…想定外のレベルアップですね。」


 2人とも、驚きの表情で画面を見つめた。

 それもそのはず。

 スキルの所持者である俺自身、そのレベルアップの内容に驚いたのだから。


 俺は当初、レベルが上がれば1つの対象から複製コピーできるスキルが増えるのだと思っていた。

 ただ、Lv.2になった【複製転写《コピ-アンドペースト》】には全く別の効果が追加されたのだ。


 ---------------------------

複製転写コピーアンドペースト】Lv.2

 効果:言葉にした戦闘相手の持つスキルを複製コピーし、自らのスキルとして転写ペーストする。

 ただし、複製コピーできるスキルは1つの対象につき1つである。

 自身の持つスキルを複製コピーし、任意の相手に転写ペーストする。

 ただし、転写ペーストできるスキルは1つの対象につき1つである。

 また、本スキルを転写ペーストすることはできない。

 ---------------------------


 まさかの俺がスキルを習得させてあげる側になるとは。

 一応、転写ペーストできるスキルは1つという制限があるものの、それを考えても十分強い効果だ。


 俺はこのレベルアップした【複製転写《コピ-アンドペースト》】を、前々から感じていた問題の解決に役立てようと考えていた。

 その相談のために、ここ101号室へやってきたのだ。


「前から思ってたんですが、俺のレベルが315になっても、一緒に行くダンジョンは静月のレベルに合わせたダンジョンということになりますよね?」

「もちろんです。」


 俺の質問に、早倉さんが頷いた。

 俺は続いて、静月に尋ねる。


「静月は、レベルがその域に達したらSランクダンジョンに挑もうと思ってる?」

「思ってるよ。まだまだ先のことだけど、その時になったら麻央や奈菜姉と行きたいな。」


 静月の答えを聞き、俺は自分の計画が全員の益になることを確信した。


 静月の安全を最優先する以上、俺がレベルを合わせるのは当然のことだ。

 もちろんこの「安全を最優先」というのは「無茶をしない」ということであって、レベルの高いダンジョンには行かないということではない。

 静月のレベルが相応のものになれば、今自分で言っていたように静月もSランクダンジョンに挑む。


 ただ、静月が【進化】や【成長爆発グロウアップ・バースト】のようなスキルを持っていない以上、Sランクダンジョンに挑めるようになるのは何年も後のことだ。

 しかしこの「【複製転写《コピ-アンドペースト》】Lv.2」は、その時間を大いに縮めてくれる。


 このスキルを使って【成長爆発グロウアップ・バースト】、もしくは【進化】を静月に転写ペーストすれば、静月の成長速度を無茶なしに速めることが出来る。

 もちろん、静月がそれを望めばだが。


「俺としては出来るだけ早く、静月と一緒にレベルの高いダンジョンに行きたい。もちろん、プレッシャーをかける訳じゃないけどな。」


 静月も同じ思いのようだ。

 笑顔で応じてくれた。


「この【複製転写《コピ-アンドペースト》】を使って、静月に探索者としての成長を早めるスキルをコピペしないか?そしたら、無茶せずとも早くレベルアップできるだろ?」


 俺は、静月をしっかり見て提案した。

 静月は、腕を組んで少し考え込む。

 その静月に、早倉さんが言った。


「私としては賛成だよ。静月は、私や柏森さんに追いつこうと必死じゃない。いつか、私の見ていないところで無茶しそうで不安だな。それなら、柏森さんの提案を受け入れてもいいんじゃない?」

「う~ん。そうなんだけどね。」


 静月は、難しい顔をしてますます考え込んだ。

 その様子を見て、早倉さんが俺の脇にささっと来て耳元に顔を近づけた。

 黒髪ロングの美女に顔を近づけられ、目の前で難しい顔をしている幼馴染をよそに俺はドギマギする。


「な、何ですかっ?どうしたんですか?」


 まあ当然のことながら、この状況で早倉さんが全く関係のない話をするはずもなく。

 俺のドギマギというかトキメキが報われるはずもなく。


「静月も、あなたに頼りすぎることにならないか不安なんです。だから、ああして悩んでるんだと思います。」

「頼るって…俺、何もしてないですよ?静月を泊めてあげたり指導したりしてるのは、早倉さんじゃないですか。」


 俺の答えに、早倉さんはなぜかため息をついた。

 そして、ぼそっと呟く。


「今に限ったことじゃないんですよ。全く、鈍い人ですね。」


 どういう意味か俺が考えていると、静月がパッと顔を上げていった。


「決めた!!」


 俺と早倉さんの視線が、静月に注がれる。


「麻央、私にスキルを転写ペーストして!!」


 静月の顔は何だか吹っ切れた感じがする。

 もちろん、俺の答えは「Yes!!」だ。


「それで、【成長爆発グロウアップ・バースト】と【進化】どっちにする?というか、静月に【成長爆発グロウアップ・バースト】を転写ペーストしても構いませんか?」


 一応、スキルの大元である早倉さんに確認する。

 早倉さんは快諾してくれた。

 それなら、効果から考えて【成長爆発グロウアップ・バースト】がいいか。


「じゃあ、【成長爆発グロウアップ・バースト】をください。」


 静月が言った。

 俺も早倉さんも、笑顔で頷く。


 スキルの詳細には「戦闘相手」と書かれていなかったので、静月と戦う必要はないはずだ。

 俺は静月に向けて右手を伸ばすと、いつもの調子で言った。


「【複製転写コピーアンドペースト】ぉぉ!!」


 そんな「うるさい!!」って目で見ないでくださいよ…早倉さん。


 ---------------------------

 氏名:柏森麻央かやもり まお

 年齢:18


《STATUSES》

 レベル:145

 攻撃力:1610

 防御力:1610

 速 度:1610

 幸 運:1610

 体 力:1610


《SKILLS》

 〈オリジナルスキル〉

 【複製転写コピーアンドペースト】Lv.2

 【粘膜シールド】Lv.3

 【分身】Lv.3

 【跳躍】Lv.3

 【ジグザグジャンプ】Lv.3

 【ラビットファイヤー】Lv.5

 【催涙花粉】Lv.1

 【進化】Lv.2

 【成長爆発グロウアップ・バースト】Lv.4

 【帯電】Lv.2

 【放電】Lv.2

 【ポイズンジェット】Lv.1

 【ポイズンミスト】Lv.1

 【ロックキューブ】Lv.1

 【ウォーターカッター】Lv.1 

 【アンチポイズン】Lv.1

 【アイスミスト】Lv.1


 〈ノーマルスキル〉

 【鑑定眼】Lv.1

 【ウィンドアロー】Lv.1

 【スキル収納】Lv.1

 【スキル収納】Lv.1

 【スキル収納】Lv.1


 スキル習得ポイント:4500

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