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第18話 まさかのレベルアップ

 さてさて、本日のお仕事場はこちら!!

 《BD-088ダンジョン》である。

 いよいよ今日から、Bランクダンジョン攻略の始まりだ。


 俺が《BD-088ダンジョン》を最初の攻略目標に定めたのには、きちんとした理由がある。

 このダンジョンに住むアイスリザードというモンスターが、【アイスミスト】というスキルを持っているのだ。


 俺はまだ、氷に関係した有能なスキルを持っていない。

 これから、ダンジョンのランクが上がるに連れてモンスターのパターンが多彩になってくることを考えると、バランス的に氷系のスキルは必要だ。


 Bランクダンジョンとなると、D、Cランクダンジョンのようにスキルをコピペしたら即瞬殺とはいかないだろう。

 ここからは、より頭を使いながら戦っていかなくてはいけない。


「さ、いきますか。」


 俺は、ダンジョンの扉を開いて中に入った。


 ダンジョンの中は、他と比べて気温が低いように感じる。

 アイスリザードは、【アイスミスト】を使っていない時でも冷気を発しているという。

 その影響で気温が低いのかもしれない。


 少し歩けば、いつものようにモンスターの出現だ。

 早速、狙いのアイスリザードが現われた。

 心なしか、周りの気温がより下がった感じがする。

 寒い寒い。

 早くスキルをコピペして、このモンスターを倒してしまおう。


「【複製転写コピーアンドペースト】ぉぉ!!」


「【アイスミスト】!!」


 [スキル【アイスミスト】を複製コピーしました。転写ペーストしますか?]


「Yes!!」


 [スキル【アイスミスト】を転写ペーストしました。]

 [スキル【アイスミスト】を習得しました。]


 よし、後は目の前の寒気を吹き飛ばすだけだ。

 氷は火に当たると溶けるという世界の法則にたがわず、アイスリザードは火系の攻撃に弱い。

 毎度お馴染み【ラビットファイヤー】、本日も大活躍である。


「【ラビットファイヤー】!!」


 うさちゃん火の玉がアイスリザードに向けて飛んでいく。

 冷気を発する水色のトカゲは、素早く左に動いてそれを避けようとした。

 しかし、俺の【ラビットファイヤー】の方が速度で上回る。

 クリティカルヒットとはならなかったものの、アイスリザードに確かにダメージを与えた。


 しかしまだ、アイスリザードは倒れない。

 俺の今の攻撃力は1530。

【ラビットファイヤー】はLv.5で攻撃力×20%のダメージを与えられるから、今与えたダメージは306だ。

 調べたところによると、アイスリザードを倒すのに必要なダメージは1200~1400。

 つまり、あと4、5発は【ラビットファイヤー】を命中させなくてはいけない計算だ。


「させなくてはいけない」とはいっても、4、5発など連射すればすぐに撃てる。


「【ラビットファイヤー】!!」


 俺は両手を伸ばし、左右の手から火の玉を連射した。

 この両手同時撃ちは、Lv.3から追加された特徴だ。


 一気に6発のうさちゃん火の玉を食らっては、アイスリザードもどうしようもない。

 黒く焼けたご遺体と少し上がった体感温度が、モンスターの討伐成功を表していた。


 BOXに入れるためアイスリザードの体に触れると、黒焦げの見た目とは反対に冷たさが残っている。

 俺はそれをBOXへ捨てると、さらに奥へ進んだ。


 アイスリザードをさらに4体ほど倒し、新たにドロールフロッグというというカエル型のモンスターに遭遇した。

 このモンスターは舌を長く伸ばして攻撃してくるのだが、その舌に付着している唾液には毒が含まれているので要注意だ。


「【アンチポイズン】!!」


 俺の速度と【ジグザグジャンプ】なら十分避けられるはずだが、用心に越したことはない。

 ちなみに舌を伸ばしてくる攻撃も【ファーリック】というスキルなのだが、【ステムバレット】と同じ道をたどるのが目に見えているので、ここはコピペしないでおく。


 早速、長い紫色の舌が俺に向けて伸びてきた。

 早倉さんの矢を見ている俺からすれば、あまりに遅い。

 まあ、遅く見えても速度の数値次第では避けられないのだが。


「【ジグザグジャンプ】!!」


 俺はまず右に跳ねる。

 それに合わせて、伸びてくる舌の角度も変わる。

 しかし舌が右側に届く頃には、俺は左へ飛んでいた。

 舌が再び伸びてくる。

 それも完璧に避けきると、俺は反復横跳び状態のまま新たにスキルを発動した。


「【帯電】!!」


 相変わらず髪の毛が逆立つ。

 うん。これが終わったらヘアバンド的なものを買おう。

 そんなことを考えながら、俺は体に帯びた電気を一気に解き放った。


「【放電】!!」


 放たれた電気は、長い舌を伝ってドロールフロッグの体まで届く。

 電気から逃れようと、ドロールフロッグは小刻みに震えながら舌を引っ込めた。

 その結果、俺に圧倒的な余裕が生まれる。


 俺は逆立った髪のまま、某戦闘民族の必殺技らしく左右の手を上下に合わせて、腕を腰付近に構えた。

 狙いは、もちろんドロールフロッグに定めている。


「【ラァビィットファイヤァァー】!!」


 俺は両手を思いっきり突き出し、そのままうさちゃん火の玉を放った。

 ドロールフロッグは、アイスリザードよりも防御力が低い。

 両手同時撃ちによる2発の火の玉を食らい、その特徴的な舌をだらんと垂らしてドロールフロッグが倒れた。


「【放電】!!」


 溜めた電気を放出しきると、俺の髪の毛は元に戻る。

 毒のある舌に触れないようにしながら、俺はドロールフロッグをBOXに入れた。


 30分ほど歩いては戦い歩いては戦いを繰り返し、俺はいよいよボス部屋にやってきた。


 この《BD-088ダンジョン》のボス部屋はちょっと特殊だ。

 通常のボス部屋では一体の強力なモンスターが待ち構えているのだが、このボス部屋にはアイスリザードが4体、ドロールフロッグが5体出現する。

 要は、ダンジョン内のモンスターが束になってかかってくるという訳だ。


 ボス部屋では【跳躍】も使えることだし、モンスターが何体いようが大丈夫…なはずだ。

 俺は深く息を吸い込むと、特殊なボス部屋の扉を開いた。


 情報通り、合計9体のモンスターがいる。

 アイスリザードの【アイスミスト】に注意しながら、ドロールフロッグの【ファーリック】を避け、確実に9体のモンスターを倒す。

 何気に、今までのボス部屋では一番難易度が高いんじゃないか?

 まあ、Bランクダンジョンだし当たり前なんだけど。


 まずは、防御になるスキルを重ねがけしておこう。


「【アンチポイズン】!!」

「【帯電】!!」


 髪の毛が逆立つのはもうやむなし!!

 今はソロなんだし、気にするな!!


「さあ、準備は整ったぜ。」


 俺がにらみつけると、それに呼応するように9体のモンスターが一斉に動き出した。

 まずは、5本の舌が一気に伸びてくる。

 この舌たちが俺の動きに合わせて角度を変えるのはさっき確認済み。

 なら、ちょこまか回避するより一気に倒すのが得策だ。


「【跳躍】!!」


 ギリギリのタイミングでジャンプ。

 5本の舌が俺の足のすぐ下を通過する。

 後は、この舌が俺に向けて方向転換してくる前に…


「【放電】!!」


 5本の舌それぞれに、ビリビリと電気が流れる。

 デジャブかというくらい見事な再現度で、ドロールフロッグの舌が戻っていく。

 本当ならここで倒してしまいたいところだが、何せこのボス部屋にはアイスリザードもいる。

 ベロガエルだけに気を取られている訳にもいかない。


 すぐ後ろまで、4体のアイスリザードが迫っている。

 電気で動きが鈍くなっているドロールフロッグはいったん置いといて、こっちを倒してしまおう。


 まあ9体のモンスター相手にモンスターのスキルを使いまくりながら1人で戦ってたら、「魔王」なんて言われもするか。

 自分でも、若干異常なのは分かってるんだけどね。


 4体のモンスターを相手にするなら、1人で4体よりも2人で2体ずつがいいだろう。


「【分身】!!」


【分身】もスキルレベルが上がり、2人でいられる時間が長くなっている。


「「【ラビットファイヤー】!!」」


 さすがに、某「龍の玉」の真似をする余裕はない。

 シンプルにうさちゃん火の玉を乱射した。

 本当だったら生死を分ける戦闘の場なんだけど、かわいらしいうさぎのせいでほのぼの感がプラスされている。


 攻撃力は変わらず半減なので、1体を倒すためには単純計算で8~10発の火の玉を撃つ必要がある。

 火系の攻撃スキルでダメージを与え続けていれば、【アイスミスト】を警戒する必要はない。

 10発×4体で40発撃つ時間なら、ドロールフロッグの動きが回復することもないだろう。


 火の玉を撃ち続け、アイスリザードは4体ともボロボロになった。

 それぞれに残り1発ずつ食らわせれば、一気に倒せるはずだ。

 俺と俺は、両手同時撃ちの態勢に入った。


「「【ラビットファイヤー】!!」


 2人の俺から4発のうさちゃん火の玉が放たれる。

 よりにもよって、最後の一発が全てクリティカルヒットした。

 見事4体のアイスリザード撃破である。


 ただ、ほっとしている暇はない。

 早くドロールフロッグにとどめを刺さないと、動きが回復してしまう。


 1人に戻った俺はまだぴくぴくしている5体のドロールフロッグに近づくと、一気にとどめを刺すことにした。


「【帯電】!!」


 アイスリザードには火系のスキルが有効だったため【ラビットファイヤー】を使ったが、ドロールフロッグには電気でいこう。


「【放電】!!」


 一網打尽とはまさにこのこと。

 5体全てに電気が流れ、一瞬硬直した後、ピクリとも動かなくなった。

 上手くいったようだ。


 [ボスモンスター討伐を確認しました。ダンジョン攻略成功です。]


 攻略成功を知らせる声に続いて、いつも通り報酬を知らせる声が響く。


 [攻略報酬として経験値を獲得しました。]

 [攻略報酬としてスキル習得ポイントを獲得しました。]

 [攻略報酬として3600円を獲得しました。]

 [攻略報酬としてアイテム《アイスリザードの鱗》を獲得しました。]


 [レベルが6上昇しました。レベルが145になりました。各ステータスの数値が上昇しました。]

 [スキル【複製転写《コピ-アンドペースト》】のレベルが1上昇しました。スキル【複製転写《コピ-アンドペースト》】がLv.2になりました。]


 …え?

【複製転写《コピ-アンドペースト》】がレベルアップ…だと?


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 氏名:柏森麻央かやもり まお

 年齢:18


《STATUSES》

 レベル:145

 攻撃力:1610

 防御力:1610

 速 度:1610

 幸 運:1610

 体 力:1610


《SKILLS》

 〈オリジナルスキル〉

 【複製転写コピーアンドペースト】Lv.2

 【粘膜シールド】Lv.3

 【分身】Lv.3

 【跳躍】Lv.3

 【ジグザグジャンプ】Lv.3

 【ラビットファイヤー】Lv.5

 【催涙花粉】Lv.1

 【進化】Lv.2

 【成長爆発グロウアップ・バースト】Lv.4

 【帯電】Lv.2

 【放電】Lv.2

 【ポイズンジェット】Lv.1

 【ポイズンミスト】Lv.1

 【ロックキューブ】Lv.1

 【ウォーターカッター】Lv.1 

 【アンチポイズン】Lv.1

 【アイスミスト】Lv.1


 〈ノーマルスキル〉

 【鑑定眼】Lv.1

 【ウィンドアロー】Lv.1

 【スキル収納】Lv.1

 【スキル収納】Lv.1

 【スキル収納】Lv.1


 スキル習得ポイント:4500

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