第16話 自称妹たちと2度目のダンジョン攻略
「ふぁあ~。」
目を覚ました俺は、ベッドの上で大きく体を伸ばした。
痛いところは無し。
今日も元気だ。
「そういえば、今日は3人で食事の日か。」
俺が早倉さんと2DSで戦い、ダンジョンでララやロロと出会ってから、ちょうど一週間が経った。
今日は、静月や早倉さんと食事をする約束の日だ。
夕食を食べる約束なので、それまではもちろんダンジョン攻略に励む。
ベッドに座ったままでD-GUIDEを見ながら、俺は本日の仕事場を確認した。
Dランクダンジョンの時はいくつかのダンジョンを集中的に攻略していたが、Cランクダンジョンではいろいろなダンジョンに挑戦している。
一番の目的は、多くの種類のモンスターと戦ってたくさんのスキルを手に入れることだ。
この一週間で攻略したダンジョンは9。
計22個のスキルを獲得し、レベルも133まで上がった。
レベル100を超えればBランクダンジョンにも挑戦出来るのだが、Cランクダンジョンに気になるスキルを持つモンスターがいたのでそこを攻略したのだ。
今日には行きたいダンジョンを周りきれるはずなので、明日からはBランクダンジョンを攻略するつもりでいる。
さて、朝飯を食べて出かけるとするか。
ベッドから立ち上がると、スマホに電話がかかってきた。
画面を見ると、ロロの名前が表示されている。
連絡先を交換して以降ララからは何度か電話が来ていたが、ロロからの着信は初めてだ。
「もしもし?」
まだ若干寝ぼけた頭で電話に出る。
「お兄ちゃんおっはっよー!!」
寝ぼけた頭に、明らかにロロのものではない朝の挨拶が響く。
俺は、問答無用で電話を切った。
スマホをベッドに放り出そうとしたところで、また電話がかかってくる。
着信相手は“一応”ロロだ。
「もしもし。」
「もう、いきなり切るなんてひどいな~。」
スマホの向こうから聞こえるのは、間違いなくララの声。
着信相手と通話相手が必ずしも一致しないことを俺は学んだ。
「何の用だ?」
「うん?離れて暮らすお兄ちゃんに朝の挨拶だよ?」
「そうか。じゃあもう用は済んだな。」
俺が再び電話を切ろうとすると、ララが慌てて引き留める。
「ちょっ、ちょ~。待ってよ。」
「何だよ…。」
「お兄ちゃん、今日ダンジョン行く?」
「まあ、行くけど。」
ダンジョンに行かない日など無い。
「じゃあさ、私たちと一緒に行かない?」
パーティーを組もうということか。
ララやロロが足手まといになるということはないし、別に構わないかな。
「いいけど、俺は今日行くダンジョン決まってるぞ?」
「いいよ~。お兄ちゃんの行くところについていくから。」
まあ、ずっと一人でダンジョン攻略というのもアレだ。
たまには何人かで行くのもいいだろう。
「分かった。どこに集合する?」
「どこでもいいよ~。」
「じゃあ現地集合で。9時に《CD-111ダンジョン》へ来れるか?」
俺は、今日攻略予定のダンジョンを伝えた。
「了解だよ。じゃあ、後でね。」
電話が切れた。
これでパーティーでのダンジョン攻略は2回目。
ララとロロは新しい武器を買ったと言っていたし、前回よりもさらに強くなっているだろう。
朝食など諸々を済ませて部屋を出ると、ちょうど静月が出てきた。
「あ、麻央おはよう。」
静月が、笑顔で手を振りながら挨拶してくれた。
「おはよ。」
俺も笑顔で優しく返す。
「麻央は今からダンジョン?」
「おう。今日行ったら、明日からはBランクダンジョンかな。」
「おお~。私も早く追いつきたいなぁ。」
静月は4月が誕生日だったため、こっちに来てすぐに探索者としての登録を済ませた。
俺も立ち会ったが、ステータスは上々。
全ての数値が100を超えていて、探索者として十分やっていける内容だ。
オリジナルスキルは無かったが、そもそも持っている俺や早倉さん、ロロがレアなのであってそうポンポン出るものじゃない。
早倉さんがきちんと指導しているようだし、普通の人よりは早く成長できるだろう。
「まあ、無理はするなよ。」
「麻央もね。」
軽く会話を交わしてから静月と別れ、バス停からバスに乗り込む。
《CD-111ダンジョン》には、9時少し前くらいに着いた。
「あ、お兄ちゃんおはよ~。」
「おはようございます。」
「おはよう。」
早く来てしまったと思ったが、ララとロロはもう来ていたようだ。
それぞれ、新しい武器を持っている。
「ちゃんと買ったんだな。」
「うん。見て見て。」
ララが新しい盾を見せびらかしてきた。
前はいたって普通の鉄の盾だったが、新しい盾は何やら不思議な輝きを発している。
「何でできてるんだ?これ。」
「店員さんがごちゃごちゃ言ってたけど、よく分かんない。」
「大丈夫なのかよ、強度とか。」
変な売れ残りとか押し付けられたんじゃないだろうな。
「そこは大丈夫。実際使ってみて問題なかったし。むしろ、すごい軽くて私たちの速度が活かされるって感じかな。」
どうやら、ロロの剣も同じ素材で造られているようだ。
「じゃあ、見せびらかしも終わったところで行くか。」
「そだね。」
《CD-111ダンジョン》に来た目的は、このダンジョンに出現するブルースネイルというモンスターの【アンチポイズン】というスキル。
ブルースネイルは青いカタツムリのようなモンスターで、その毒々しい見た目とは裏腹に毒耐性のスキルを持っているのだ。
ダンジョンに入ると、早速ブルースネイルが出てきた。
「ここは俺にやらせてくれ。」
俺は前に出ると、まっすぐに右手を伸ばした。
「【複製転写《コピ-アンドペースト》】ぉぉ!!」
「【アンチポイズン】!!」
[スキル【アンチポイズン】を複製しました。転写しますか?]
「Yes!!」
[スキル【アンチポイズン】を転写しました。]
[スキル【アンチポイズン】を習得しました。]
よし、これでCランクダンジョンで欲しかったスキルは手に入った。
後はこのダンジョンをボス部屋まで突っ走るだけだ。
「【ロックキューブ】!!」
俺は、この一週間のうちに新しく覚えたスキルを使った。
【ロックキューブ】はブロックゴーレムというモンスターからコピペしたスキルで、ダンジョンの天井の一部を正方形の土塊として落とす。
地面まで落下すると、土塊は元の位置に戻るというスキルだ。
正方形の土塊に押しつぶされ、ブルースネイルの殻がバリバリ砕ける。
そのまま、一気に体を押し潰した。
土塊が天井に戻った後にあるのは、砕け切った青い殻と青い粘液だけだ。
「おおっ。お兄ちゃんのスキルが増えてるっ!!」
ララが感心した声を上げた。
ロロも目を輝かせている。
「まあ、一週間の間にコピペしまくったからな。」
一週間の間にスキルが増えすぎたので、俺は貯まっていたスキル習得ポイントを使って【スキル収納】というスキルを獲得した。
【スキル収納】はスキルを整理するためのスキルで、スキル欄の表示を見やすくするためのものだ。
あまり需要がないので人気のないスキルだが、俺のようにスキルが増えてスキル欄がごちゃごちゃする人には便利なスキルである。
【スキル収納】にスキルを収納すると、スキル欄には「【スキル収納】」とのみ表示される。
その文字をタップすると、収納されているスキルが表示される仕組みだ。
この【スキル収納】は複数回習得できるタイプのスキルなので、俺は3回習得して「攻撃系スキル・防御系スキル・その他」に分けている。
普段あまり使わないスキルを収納しているイメージで、【ステムバレット】は真っ先に収納された。
「じゃあ、次は私たちの番だね。新しい武器の強さを見せてあげる!!」
「期待しててください。」
ララとロロが両手の拳を握って意気込む。
「それはそれは。楽しみだな。」
ブルースネイルの殻だけ拾ってBOXに捨てると、俺たちはダンジョンの奥へ進んだ。
ふと、ララが思い出したように言う。
「そういえばお兄ちゃん知ってる?最近、Cランクダンジョンに出るんだって。」
「出る?」
何?幽霊?
「知らないの?この辺りのダンジョンに、やばい強さのモンスターが出るらしいよ。噂によると、BとかAランクダンジョンクラスのモンスターみたい。」
「そんな噂が?」
「そう。ネットとかだと、そのモンスターは『魔王』って呼ばれてるみたい。」
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氏名:柏森麻央
年齢:18
《STATUSES》
レベル:133
攻撃力:1470
防御力:1470
速 度:1470
幸 運:1470
体 力:1470
《SKILLS》
〈オリジナルスキル〉
【複製転写】Lv.1
【粘膜シールド】Lv.3
【分身】Lv.3
【跳躍】Lv.3
【ジグザグジャンプ】Lv.3
【ラビットファイヤー】Lv.5
【催涙花粉】Lv.1
【進化】Lv.2
【成長爆発】Lv.4
【帯電】Lv.2
【放電】Lv.2
【ポイズンジェット】Lv.1
【ポイズンミスト】Lv.1
【ロックキューブ】Lv.1
【ウォーターカッター】Lv.1
【アンチポイズン】Lv.1
〈ノーマルスキル〉
【鑑定眼】Lv.1
【ウィンドアロー】Lv.1
【スキル収納】Lv.1
【スキル収納】Lv.1
【スキル収納】Lv.1
スキル習得ポイント:2200
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