表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/54

第13話 3人兄妹、出陣

「それで、ロロのオリジナルスキルはどんなスキルなんだ?」


 ダンジョンを歩きながら俺が聞くと、ララが喜び勇んで説明を始めようとした。

 と、そこへエレクトリック・アースワームがやってくる。


「来たよ!!」

「モンスターです!!エレクトリック・アースワームです!!」


 いかにも「よし、戦うぞ!!」という感じの声を出して、ララとロロが俺の後ろに下がる。


「戦う気、無いのな。」

「ほら、エレクトリック・アースワームじゃなかったら戦うよ?でもビリビリはやだもん。」

「本当にすいません…。」


 ララは悪びれる様子もなく隠れてるし、ロロも申し訳なさそうだがやっぱり戦おうとはしないらしい。


「全く。」


 まあ、一緒に行くといったのは俺だ。

 仕方ない。


「そこで待ってろ。」


 俺は、1人でエレクトリック・アースワームに向かい合った。

 ぶよぶよした細長い体は、確かにミミズそのもの。

 だが大きさは1.5mくらいあり、間違いなくモンスターだ。


「取りあえず、スキルを貰っときますかね。」


 俺は、エレクトリック・アースワームに向けて右手を伸ばした。


「【複製転写《コピ-アンドペースト》】ぉぉ!!」


 エレクトリック・アースワームは1体だから、ゲットできるスキルは1つ。

 まずは【帯電】かな。


「コピーアンド…なんて言った?」

「コピーアンドペーストじゃないかな。ほら、コピペって略すやつ。」

「ああ、あれね。って、それでどうやって攻撃するの?というか、そんなスキルあったっけ?」

「分かんない…。」


 後ろから、何やらこそこそしゃべってる声が聞こえる。

 俺は気にせず、手を伸ばしたまま叫んだ。


「【帯電】!!」


 [スキル【帯電】を複製コピーしました。転写ペーストしますか?]


「Yes!!」


 [スキル【帯電】を転写ペーストしました。]

 [スキル【帯電】を習得しました。]


 さてと、電気持ってる相手に電気の攻撃って有効なんだろうか。

 有効なら、即【帯電】の即【体当たり】で試してみるんだけど。


「ねえ、お兄ちゃん戦う気あるのかな。スキルの名前叫んでるだけだよ。」


 おい、ララ。

 すでに撤退してる奴が何を言う。


 ここで【帯電】からの【体当たり】が失敗すれば、後々からかわれるのは目に見えている。

 確実な方法を取っておくか。


「【ラビットファイヤー】!!」


 毎度お馴染み、うさちゃん火の玉が飛んでいく。

 待てよ?

 電気の相手に火を点けても大丈夫なのか?

 爆発とかしないか?


 一瞬不安になったが、もう火の玉は止まらない。


「ララ、ロロ!!ちょっと下がっとけ!!」


 2人に指示を出し、俺も少し後ろに下がる。

 しかし、俺が心配したような爆発は起きなかった。

 エレクトリック・アースワームの体の周りで軽くポンポンいったものの、ドッカーンという感じでもない。


 ただただ、巨大ミミズが炎に包まれて倒れただけだった。


「にゃははは!!マジ顔で『ちょっと下がっとけ!!』だって!!」


 後ろから、ララが爆笑する声が聞こえてくる。

 くそっ!!確実な方法を取ったはずなのに、結局笑われた!!


「お、お姉ちゃん。私たちの代わりに戦ってくれたんだから。」


 ロロがララをたしなめた。


「分かってるよぉ。ちょっと、からかっただけ。」


 ララは前に出てくると、笑顔で言った。


「お兄ちゃん、ありがとう。」

「お、おう。」


 ちょっと面食らった俺は、戸惑いながら答える。


「一旦、片付けだけしてくる。」


 俺は、燃えて縮んだエレクトリック・アースワームのご遺体を近くのBOXに入れた。

 そして、2人の元に戻る。


「お待たせ。さ、進むか。」


 俺の言葉に頷き、2人とも歩き出した。


「で、お兄ちゃんは何をコピペしてたの?」


 ララが、興味津々という様子で聞いてくる。


「実はな、俺もオリジナルスキルを持ってるんだ。」


 俺は、これ以上ないドヤ顔で言った。


「え?お兄ちゃんも?」

「私と同じですね。」


 俺はダンジョンの奥に進みながら、【複製転写コピーアンドペースト】のことを簡単に説明した。


「へぇ~。面白いスキルだね。」

「当たり前ですが、名前も内容も聞いたことないスキルです。」


 ララが「あっ」と手を叩いた。


「さっきの火の玉に見覚えあると思ったけど、あれってファイヤーアミュンラビットのスキルじゃない?」


 気付いたか。


「その通り。他にも、スライムやらスニーズフラワーやらのスキルも持ってるぞ。」

「【粘膜シールド】とかも?」

「持ってる。」

「わ~。あのベトベトの膜は気持ち悪いよね。」


 おい。

 結構使ってるんだぞ、使えるんだぞ、【粘膜シールド】。


「さっきはエレクトリック・アースワームに邪魔されちゃったけど、ロロのオリジナルスキルがどんなのか聞いてなかったな。」


 俺が言うやいなや、またしても邪魔するようにモンスターが出てきた。

 今度は、エレクトリック・アースワームじゃない。

 アカヅメモグラという日本固有のモンスターで、鋭い爪と素早く地面に潜って攻撃を回避することが特徴だ。


「ほら、今度はビリビリしないぞ。」


 俺は、2人を振り返って言った。


「だね。ここは、私たちに戦わせて。」


 ララが、真剣な顔で盾を構える。

 その目つきと雰囲気は、まるで人が変わったかのようにピンと張りつめていた。


「お兄ちゃんは、下がって見てていいよ。私たちの戦いと、ロロのオリジナルスキルを見せてあげる。」


 有無を言わせぬオーラに飲まれ、俺は2人の後ろへ下がった。

 ララは雰囲気が変わったが、ロロは何も変わらない。

 まあ、ロロはもともと真面目そうだし、あんまり変わらないのかもな。


「ロロ、準備はいい?」

「大丈夫だよ、お姉ちゃん。」


 アカヅメモグラは、地面からその爪と顔だけを出してじっとこっちを見ている。


「じゃあロロ、あれを使って!!」


 そう言うと、ララは一気にアカヅメモグラへ走り出した。

 動きはなかなか機敏だし、低い姿勢でしっかり走れている。

 だてに、レベル51まで来てはいない。


 ロロはというと、その場から動かずに大きく深呼吸した。

 目を閉じて何か呟いてから、その目をカッと見開く。

 そして、今までのロロからは想像もつかない大きな声で言った。


風翼加速ウィング・アクセラレーション!!」


 刹那、ダンジョン内に一迅の風が吹く。

 その瞬間、俺の視界からロロの姿が消えた。


 ---------------------------

 氏名:柏森麻央かやもり まお

 年齢:18


《STATUSES》

 レベル:56

 攻撃力:680

 防御力:680

 速 度:680

 幸 運:680

 体 力:680


《SKILLS》

 〈オリジナルスキル〉

 【複製転写コピーアンドペースト】Lv.1

 【体当たり】Lv.2

 【粘膜シールド】Lv.3

 【分身】Lv.2

 【跳躍】Lv.1

 【ジグザグジャンプ】Lv.2

 【ラビットファイヤー】Lv.4

 【催涙花粉】Lv.1

 【ステムバレット】Lv.1

 【進化】Lv.2

 【成長爆発グロウアップ・バースト】Lv.4

 【帯電】Lv.1


 〈ノーマルスキル〉

 【鑑定眼】Lv.1

 【ウィンドアロー】Lv.1


 スキル習得ポイント:2650

 ---------------------------

お読みいただきありがとうございます!!

「ブックマークへの登録」と「★★★★★の評価」をぜひよろしくお願いします!!


「面白かった」など一言でもいいので、ぜひ感想も聞かせてください!!

レビューでおすすめしてもらえると、さらに嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ