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逃亡代行  作者: 横瀬 旭
第二章
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 アルバイトを始めてからしばらく経って、だいぶ仕事にも慣れてきた。


仕事の内容は簡単だった。コンベアの上を流れてくる蛞蝓に、巻貝を乗せて蝸牛にするという作業だった。


何に需要があるのか私にはわからなかった。


その蝸牛は箱に詰められ、トラックでどこかに運ばれる。


 作業は一日八時間ある。途中で一時間の食事休憩が一回、十五分の煙草休憩が二回あり、十時間近く拘束される。


しかし、作業中はとても幸せだった。一日中白昼夢を見ていられた。


ここで働いてる従業員は内向的で殻に閉じこもっている人が多く、会話やコミュニケーションが全く無かった。


風通しが良いのは事務所だけだった。


傍らで一定の速度を保って動いている機械がループの音楽のようで、頭の中で機械音に似た音楽が永遠に流れていた。


何曜日だろうと関係なく、頭の中で同じメロディが繰り返し流れていた。


 週に何度かある残業の日以外は、職場の最寄り駅の前のコンビニで酒を買って飲み、夜遅くに家に戻るようにしていた。


追手が家に来るかもしれないということを考慮してのことだった。


 夕暮れ時、オレンジの光と喧騒の中で酒を飲むのは楽しかった。


すっかり日が暮れて、駅前に酔っ払いが増えて物騒になってきた頃に家に戻るようにしていた。


これを週五日繰り返す。繰り返しの作業を、繰り返し繰り返す。


休日になるまで、これを繰り返していた。

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