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逃亡代行  作者: 横瀬 旭
第二章
7/43

8

 地元に戻ってからしばらくして、海沿いの工場でアルバイトをすることになった。


 初出勤の朝。大事な用事には早めに来るようにしている私だが、今回は少し早すぎた。始業の一時間半前に到着してしまい、事務所の扉は鍵がかかっていた。


喫煙所のベンチに座り、タバコに火を付けた。体に悪いのは分かっているが、手持ちぶさたになると手が出てしまう。これは電車の中でとりあえずスマートフォンを触ってしまうのと同じ気がする。


二本目を吸っている途中で、スーツ姿の男が事務所の敷地に入ってきた。社長とか、偉い人だと思う。


 タバコの火を消し、走ってスーツの男を扉の前で待って声をかけた。


「おはようございます。今日からここでお世話になる者です」


声をかけると男は「ああ」と声を出し、訝しげな表情を浮かべた。


「ドアに鍵がかかってたので外で待たせてもらってました」


とドアノブをガチャガチャ回しながらガチャガチャ引いて見せた。


すると男は「それ押すんだよ」と鼻で笑いながら言った。言われた通りドアノブを回して押すと開いた。夜中も作業があるため、鍵は年末年始でもない限りかけないらしい。初日から恥ずかしい所を見られてしまった。


 「国分(こくぶ)と申しますよろしく。寒かったでしょ。始業まで時間あるからコーヒーでも飲んで待ってて」


国分さんに続いて事務所に入り、階段をのぼる。朝からコーヒーとお菓子をいっぱいもらった。


 海風が窓から事務所へ入ってくる。とても風通しの良さそうな職場で、今日から働くことになった。

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