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逃亡代行  作者: 横瀬 旭
第一章
6/43

7

https://note.com/yokoze_asahi/n/ndfa1a85a14f2

 工事中の作業員が缶コーヒーを片手に午後の一服を入れているこの時間、陽が思った以上に低い位置にあり、もうそんな季節かと思った。


 街から少し離れた景勝地にやってきた。ここに来た理由は、私の身を沈めるため。


突然そんなことを思いついた。逃げていてもいつか見つかってしまい、罰を受けるのだろう。それなら、私自身の手で痛めつけよう。そして、最期に良さそうだと思った場所がこの町だった。


 しかし、どこを見てもそういうことができる場所がない。写真で何度も見た有名な高台の景色はどこにあるのだろう。


そんなことを考えながら海沿いを歩いていたら、結局行き止まりに着いてしまった。ここで自分の身を沈めることはできなかった。


 身を沈められないのなら、魂だけを沈めればいいのではないか。


急に思いついたアイデアだった。逃亡を始めたときに思いついた偽名もある。自分が犯したことは、私には関係ない。自分はもう死んだ。自分の身体を背負って、私が逃亡を代行していることにすればいい。もう関係ないのだから、堂々と地元に帰ろう。


 駅に戻る途中、ドラマチックな景色に見とれていた。遠くには船や島々が浮かんでいる。太陽が雲に隠れていて、風がとても冷たく、暖かみの欠片もない。


しかし、この景色にはこの寒さが心地よかった。


 平日の昼間だというのに、駅のホームには色々な人間がいた。各々どんな人生で、どんな目的があってここにいるのだろう。


 バスターミナルから地元へ向かう長距離バスに乗った。ずっと思っていたがここは牛タンと萩の月しか食べるものがないのだろうか。

松島


第一章完結


東京→館山→犬吠埼→水戸→いわき→仙台→松島

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