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逃亡代行  作者: 横瀬 旭
第三章(一)
14/43

桟橋

https://note.com/yokoze_asahi/n/na0f439c24cb3

 早朝、私は桟橋のある砂浜にやってきた。


駅に貼ってあったポスターの場所だ。この桟橋の写真と、短いポエムが書いてあるポスターだった。


砂浜から海に向かって一本だけ長い道がのびていて、橋に沿って立っている電柱に取り付けられた裸電球が、その道を照らしている。


桟橋の向こう側に目を向けると、港へ入港するコンテナ船が見えた。さらにその向こう側には、海の向こうの陸地にそびえる高い山が見える。


 しばらくその景色に見とれていた。鞄からスマートフォンを取り出し、その景色を写真におさめた。


 ふと左に目を向けると、倒木に座っている制服姿の女学生がいることに気が付いた。


長い前髪で顔はよく見えなかったが、どことなく物憂げな姿に誘惑されて、写真を撮っていいかと声をかけた。


彼女は無言でこちらを向いた。風で髪がなびいて、少しだけ目が見えた。


そして私は、シャッターを切った。


 写真を確認すると、何故か白飛びしていた。景色だけを撮影した写真は、しっかり綺麗に撮れているのに。


もう一枚撮ろうと声をかけようとしたが、彼女はいなくなっていた。


 とても美しくて、絵に描いたような女の子だった。


しかし一瞬の出来事だったため、彼女の目が何色だったかも覚えていない。


緑色、青色、灰色。


彼女のような人は見たことがない。


彼女のような人には会ったことがない。


 本当に彼女は存在したのだろうか。


私は彼女に声をかけたのだろうか。


「不思議なこともあるんだな」


そうつぶやいて、私は砂浜を歩き続けた。

原岡海岸


岡本桟橋

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