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星空


 箱に収まった星空。


 それがその猫の見た最初の風景だった。


 夢の中で感じた甘い液体も、なめてくれた心地良い感覚も、そこにはない。


 あるのは申し訳程度の新聞紙が環してくれる温もりと、得体の知れない欲求だけだ。


 必死に鳴いても何も変わらない。箱の中の星々はただ輝いているだけで、決して救いの手を差し伸べてはくれなかった。


 子猫はなくことをやめた。自分の世界を弱々しく照らしてくれる枠の中の星空に、興味を覚えたのだ。


 触れてみようと小さな前足を持ち上げる。高い高いと思っていた壁の縁に手が届いた。



 次の瞬間、子猫の世界がぐらりと傾いた。



 それまではすべてだと思っていた世界から、子猫は放りだされた。


 最後に残されていた温もりすら奪われて、子猫は生まれて初めて冷たい風を感じた。


 そのかわり、子猫は自由を得た。子猫の目前には新しい世界が広がっている。


 箱から溢れ出だした星々は、深い闇を薄めてはくれたが、その先に何があるのかを教えてはくれない。


 それでも子猫は歩き出した。新たな温もりを手に入れるために、そして何より星を掴み取るために。

 実はこれ、僕が生まれて初めて完結させたショートショート小説です。


 完結ったら完結です。続きません(断言)


 それまで勉強など社会に出たら役に立たないと信じていたのに、それがあっさり崩れ去った高校2年生の夏。そこから足掻くことを決意して、足掻けば何とかなると信じていた頃に書いたものです。


 あの時足掻いたから今があると思えば、これが僕の原点なのかもしれません。


 僕はまだ星を掴むところまでは辿りついていませんが、足掻くことで自分の世界が崩れるのはあの頃の想像通りでした。


 あなたも足掻いてみませんか?

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