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 それは水平線の向こうから、まるで唇気楼のように姿を現した。見習いの漁師である少年にとって、とりたててそれは珍しい現象ではなく、また仕事に追われていて最初は気づきすらしなかった。


 それが昇り始めていた太陽を隠して、少年は始めてその黒い影に気づいた。しかし、それが何なのか、太陽の光が逆光になって、まるでわからなかった。


 それが太陽を完全に隠した時、少年はようやくそれが山のように巨大な岩塊であることに気づいた。少年はいつしか仕事の手を止めて、その岩塊に見入っていた。


 それは今まで見てきたどんな光景よりも幻想的だった。しかしその岩塊が直上まで来たとき、少年はひどい恐怖を感じた。こんな巨大な岩が宙に浮かんでいること自体、信じられなかった。


 そしてその巨大な岩塊が頭上を通り抜け、去っていこうとしているとき、少年はその岩の上に小さな城が建てられているのを発見した。恐怖は、憬れに変わった。


 村の長老たちは口を揃えた。あそこに行くのは不可能だと。


 だが、少年は確かにその城を見た。空を流れていった巨大な岩塊の上にぽつんと建つ、人の手で建てられたであろう小さな城を。


 次の日、少年は村から姿を消した。あの城に辿りついて見せるという置手紙を残して。


 この物語は、予備校時代の授業中に、高校時代の担任に「お前はいくら勉強をしても無駄だ。」と言われた事を思い出して書いたものです。


 そこに城があるのに、なんで行けないと思ってるの?と青臭い僕は思ってました。


 当時思い描いた未来とは違う結果になったけど、少なくとも今、あの先生は越えられていると信じたい。


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