第4話 お泊まりだ!
「ミャミが攫われたのは朝のこと?」
「そうニャ、キロサーチされて家はバレてるニャ、身代金の用意をしてるかも」
「何か書くものはある?」
「うんと、紙と鉛筆なら」
「じゃあ、無事だから身代金を盗賊に渡さないようにって、明日には帰れるって、直筆ならミャミであることはわかるだろう?」
「うん、へたくそな字ニャン」
「テレウインという魔法で宛先に風が送ってくれる」
「上級風魔法もお使いになれるなんて、オーマ様は本当に凄いお方ですわ」
「宛先はマイン村にパパの名でいい?」
「それで大丈夫だよ、よし、じゃあ『テレウイン』」
四つ折りの紙は突風に乗って空高く飛んでいった。
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「かなり歩いた、暗くもなったからここらへんで何か無いか?」
「木のうろがあるニャン、もう少し行って右だニャン」
「森の中なら盗賊どもにもわからないな」
「緊急避難用ニャン」
大きな木のウロに巧妙な隠しドア、腰をかがんで入ると広い。
プリライで明るくして、常備してあった非常食乾パンと水で一息をつく。
袋から出たピピにプリファイをあたえると嬉しそうにパクパク、カワイイ。
「へえ、毛布もあるなんて、結構利用してるんだね」
「あちこちにあるニャン、薬草詰みは三泊ぐらいないと廻りきれないニャン」
「疲れただろう、ね、ね、寝ようか」
「その前に花を摘んでくるニャ」
「ええ」
「あ、ああ、そうか、じゃあ、先に行ってきて」
二人が戻ってからちょっと遠くで立ちション、見たこともないほどの星が瞬いている。
「天の川みたいだけど・・・」
星座を探したがまったくわからず、三日月は心なしか大きい。
「なんかなあ」
空気は清々しい、虫の声か鳥の声か?時々なにか遠吠えめいた動物の声もしてリアルだ。ゲームでは食事の詳細設定がなく、食品はパンとスープやお酒ぐらいだったけど、おにぎりは美味しそうだった。
「わ!」
「オーマ様どうなさいました?」
「オーマ様、一種に寝るニャン」
「あ、あの~」
「さあ、恋人以外とはイヤなお方ですか?」
「いや、その、あの」
二人が毛布の上で間を開けて待っていた。エロゲーだったのか。
「本当に立派なお方」
「今までで一番、うふん」
「おおおおお~」
理性が吹っ飛んだ。
「おやすみなさい」
「お休みニャン」
「え?」
二人は目を閉じてすぐにスヤスヤ寝息。安心しきった顔が超可愛いい。
胸を揉もうとした手を引っ込める。
「・・・なんだよ、うううう」
モンモンとした夜、いつしか寝たらしい。
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「オーマ様、朝だニャン」
「う、うむ・・・うう」
「あ、あん、おはようございます」
「お早うだニャン」
「う、うん、お早う」
普通に目が醒め、夢じゃないけど・・・なぜエロゲーじゃないんだ。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない・・・」
非常食の残りで朝食、ピピも火球を食べ、袋にもぐりこんだ。
「賢いね、ピピ」
「ピイピイ」
『ダーレ・敵』
確認し赤い点はなく出発、街道に出てからは捗った。
「ここからマイン村~街は盗賊よけの壁を廻らしてあるニャ」
「畑が多いんだね」
「麦ですニャ」
「なるほど、道は川沿いの街道に繫がったね、橋を渡ったあそこが門かな?」
「家は門のそば・・・あ!パパとママ、家族が待ってるニャ~~~」
「走らなくても・・・めっちゃ目が良いんだな」
「気持ちはわかるわ・・・」
「ミリアは何の目的でベルンまで行くの?」
「首飾りに封印された密書を届けるためなのです。取り戻していただき本当に助かりました」
「飛脚に任せられない重要な事らしいけど」
「ランス国は現在、北の群島国・イングと一触即発の状態です」
「ゲルニアに援軍を要請かな、いや、イングとの密約を探るためかな・・・」
「わたくしにはわかりかねます・・・」
「ミリアはかなり上の階級だろ?」
「・・・国王の姪です」
「う!」
「オーマ様・・・お助け願いませんか?ベルンまで一緒に」
「うん、わかった・・・父上に報告はしなくて良いかな?」
「行方を捜しているかと」
「それじゃあ、落ち着いたら手紙を書いて」
「はい」
ゲームイベントをちょっと思い出し、言ってみたらビンゴだった。