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ライアース  作者: 日川文月
34/36

第34話 対面前に

『ポーズ・ステルス』

「はい・・・あ、戦士様とは珍しい」

「ん?時々来るの?」

「はあ・・・このところ何処かに行っているようで見かけませんけどね」

「聞きたいんだけど、貨幣は同じ?」

「銀貨ですか」

「初めて来たんだ」

「マルプ様の家来なんですよね?」

「いや、騙されて連れてこられたんだ。その家来に・・・」

「なるほど、おかわいそうに、家来にならないと消されるっていう噂です」

「やっぱりな・・・あ、告げ口なんかしないから」

「はあ」

「金貨も使えるんだな」

「そりゃ、道具屋ですから」

「情報が欲しい、二十年前に何があった?」

「そりゃ、マルプ様がエルフ王マジタ様とご結婚され、いろいろ高価な物が出回るようになったのです」


「エルフ族が交易?」

「いえ、交易しているのはマルプ様の御家来衆です」

「そうか・・・」

「オリハルコンは利用価値あり、こういう道具は高価ですよ」

「ふむ」

「昔は貨幣などなく物々交換でしたが、マルプ様が広めたのです」

「そうか、オレなどは下っ端に誘われたのだが、上には上が居るんだろ?」

「オウジュ様は最高にお強い戦士長様、コピ様は高度な知識をお持ちの賢者様。クーマ様はドラゴンを操れるという噂ですよ」


「マルプ様が魔導師かね」

「はい、最上級の魔導師様です」

「天守閣に住んでらっしゃる?」

「もちろんです。あれだけ大きなお城にするまで二十年もかかっています」

「なるほどね、ありがとう、とっておきたまえ」

「は、はい、いいんですか?」

「他言は無用、オレは逃げるよ」

「妖獣王ガルフに支配されている森を抜けるのはどんな戦士様でも一人では難しいです。トキオから北のサホルに行って、船で海岸沿いを行けば他国に行けると聞いています」

「良いことを聞いたありがとう」

 銀貨二枚をあげ、ドアを大きく開けて外に出る。


『リ・ステレス』

「だいたい想像が付いた。相手は召還された者だ」

「え?」

「あの話しでそこまでわかったのですか?」

「召還したのがエルフ族の王マジタなんですね」

「変な名前ですね」

「かつてライアースはすべてが原生林に覆われ動植物が繁茂していた。

 そこに真名を持つ者達がやってきて密林を開拓、切り開き、繁殖していった」

「私たちは侵略者なのですか?」

「侵略者かどうかはわからないが、エルフ族もドワーフ族もオーガ族も、いや最初がドラゴン族かな、こっちに来て国を作りあげてきた。

 ゆっくりと開拓してきたエルフ族だが、エッチで繁殖力が高くてあっという間に増えて開拓をしてしまう獣人族や人族に王は脅威を感じたんだろう。

 五十年戦争では勇者オサマオトスに阻まれた」

「そこまでわかるのですか?」

「それはその・・・とにかく、天守閣に行こう、油断しているだろう」

「え~」

「家来どもの殆どは獣人族や人族の海賊と盗賊団、トキオにはあまりいないよ」

「あ、そうか、エルフ族は役に立たないんだわ」


 ーーーーーーーーーー

「衛兵もあくびしてたね」

「この階段をあがっていけばいいみたい」

「うん、結界魔法も張ってないなんて超油断だ」


 あっけなく城に侵入、天守閣への道は複雑でも日本の城ほどではない。

「大きな扉があるわ」

「開かないかしら」

「音を立てよう、ええと」

「キャ!」

「わ、わわ」

「やだ、つい」


 反射神経がよいルキル、ミュミが落とした花瓶をナイスキャッチして戻す。

「ま、いいよ、ノックすれば開くだろう、う!」

 扉が開いてエルフの侍女数名がお辞儀して出ていった。

 その隙に中に入る。

 大テーブルでおやつらしい。

 件の王と女王、戦士長、賢者、竜使いがお菓子を食べている。


 床に寝ころんでいたシルバードラゴンが頭を上げた。

「どうした、オマタ」


 そう言えば、マークはシルバードラゴンをタマオと名付けていた。

 名前は全部逆読みなのかよ!?

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