第33話 トキオ
その日、ドラゴンたちの急襲で各アジトの海賊団はあっけなく壊滅。
近くで待機していたイング国とフラン国の軍船が到着。
夕方にはポルトとイング国内で行方不明の三十七隻が確保された。
「行ったわ、凄い速度で」
「シルバードラゴンじゃない?」
「だな。到着場所を特定したらアジトを強襲する。テレウィンで指令を出す」
「できるだけ捕虜をってグリーンドラゴンたちに言って」
「わかってるよ、彼らは命を奪うのは好まないが、怒ってるからね」
「ブラックドラゴンも来るの?」
「ええ、シルバードラゴンに恨みがあるらしいわ」
「十個所が海賊団の全てだろう。武装解除して情報を得る」
「お~」
丸一日動いてシルバードラゴンは止まった。
やはり、東の最果ての地、地図に名前のあるトキオだった。
「トキオに乗り込むのですか?」
「うん、竜使いの一味が居るだろう」
「逃げてない?」
「テラウイン結界でテルウインの手紙は落ちたはずさ。
アース号でテラカルカルとテラウインドなら、ドラゴンの五倍の速度だ。
昼過ぎには到着だ」
「オーマ様は最高魔法と伝えられているものまで使えるのですか?」
「殆ど全ての魔法はマスターしている」
「・・・まさしく、勇者様・・・もしや勇者オサマオトス様!はは~~」
「そんなはずないだろ、さあ、立って、すぐ出発だ。
朝食も昼食もオニギリにしよう」
「はい、用意して貰ってました」
「ありがとうアルナ、さあ、ルキル、ミュミ、イルナ、ミリア」
「はい!」
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アース号に乗り込み出航、湖の中程で朝日に向かって飛び立った。
「こんなにスピード出して大丈夫なんですか?」
「テラテクトはどんな衝撃にも耐える。MPはかなり消費したけど・・・」
手鏡で確認、ミュミのMP回復ポーションを十本、1000MP分を補充した。
「ゲップ・・・あまり旨くないよね、苦い」
「ニャハハ。一番まずいニャ」
「朝食入りますか?」
「遠慮せずに食べて、ちゃんと寝たからフルHPだし」
「は~い」
「身体軽すぎるから気をつけて動けよ」
「それおそいもん、頭ぶつけまくり」
「あちこち手すりがあるわけね」
「操舵輪の足元もだわね」
「ニャハハ、尻尾があって良かったニャン、両手が使えるもんニャー」
「器用だわ」
昼にも十本飲んでフルMP近くまで回復した。
MPは一日に消費すればするほど最大値がアップする。
大魔法は使う機会がなくこの頃増えていなかった。
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「詳細地図ないから、そろそろスピードを落とすよ、捕まって」
「はい!」
重さと風量を調整、湾奥に回りこみ、近づくと手鏡のキロダーレ。
「あ、大きなお城?!」
「う~む」
あの天守閣は他地方にはない。
ギガステルスで見えないアース号を着水させる。
「帆を下ろして、ルキル頼む」
「アイアイサー」
港内まで艪で進み、観察した。
「エルフばかりかなあ」
「うん、人族や獣人族はまったく居ないわ」
「オーガやドワーフはあっちに居るよ」
「獣人族は五感が優れているね」
「オーマ様、左に桟橋があります。漁船や客船・・・小さくて異国風だわ」
「左に進路を取って」
「アイアイサー」
「ルキル、左の桟橋に行くよ」
「アイアイサー」
「普通に生活しているようだわ」
「うん、ダーレで確認した。敵はあの城の天守閣にしかいない」
「まだギガステルスは有効なんですよね」
「テラテクトも解かない限り保つ・・・人気のない離れた桟橋に停めておこう」
「アイアイサー」
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停泊、ロープで固定して装備を調え上陸した。
「誰か事情通を捕まえて様子を聞くことにしよう」
「道具屋か宿屋ですね」
「うん、おっと、ぶつからないようにしないと」
「普通ですかね」
「ああ、貫頭衣というものだよ、穴のある大きな布をかぶって、ベルトで留める。男はステテコをはいてるな」
「変なの」
「気温が低いのかしらね」
「あそこにそれらしい看板があるニャ」
「ん?」
城下町の建物は平屋が多い。看板を当てに窓から覗いたらビンゴだった。
「オレは姿を現す魔法をかけるけど、お前達はこのままで」
「はい」
ドアを開けながら呪文を唱えて姿を現す。




