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ライアース  作者: 日川文月
32/36

第32話 現実世界6

 朝シャワーを浴びてすっきり、ご飯が旨い。

「やっぱ、米だよな」

「気がついた?コシヒカリの高い方にしたの」

「あ、ああ。立ち方とつやが違うね」

「誰かさんのみたい」

「ガク」

「T大って変わってるんでしょ?」

「うん、入学式の前にいろいろな行事があって、クラスで一泊旅行があるんだ」

「テレビでもてはやされてるよね」

「え?」

「あ、テレビ見てない?」

「ちょっとガリ勉状態だった。ここ一年半は夕食の時ちょっと見るぐらいで」

「現役で受かるぐらいだもんね・・・でも多くの人を救いたいってすごい」

「すごく、マサ君らしい・・・だから頑張ったんだもんね」

「そう言ってくれると嬉しいよ、まあ、ちょっとはやっかみも言われてたから」

「目標がある人は強いわ・・・でもさあ、それ言うと引かれるかも」

「あたしもそう思う」

「どうして・・・みんな同じ気持ちでT大受けるんじゃないの?」

「純粋すぎる」

「そうよ、そんなに本気で言える人なんて数えるほどだと思うの」

「うん、そうよ、発言は控えた方が良いよ」


 ーーーーーーーーーー

 クラスオリエンテーションで観光バスに乗り富士山の麓の遊園地に行った。

 男子はヒョロヒョロかデブデブで眼鏡をかけて青い顔が多かった。

 女子はまともに見えるが、居心地は悪い。


「次は須藤正夫君」

「はい、須藤正夫、都立N高校現役、部活とかやってませんでした。以上です」

「趣味とかは」

「う~んと、最近だと魚釣りとか」

「兄弟姉妹は?」

「今度中一の妹と去年十一月に弟が産まれました」

「え~」

「おかあさんやるじゃん」

「ま、まだ三十八だし」

「誕生日は?」

「十二月二十五日ですけど」

「健康診断で視力が凄かったって噂だけど」

「え、あ、うう、たまたま当たったの」

 

うっかり、両目視力2.0。情報通の女子は多いみたいだ。

「他に質問ありますか?」

「彼女はいるの?」

「もち」

 往きの車内で自己紹介。なんだかボソボソ聞き取れない男とか、虚勢を張る男、尊大そうな関西人の男とか。


「正夫君以外は外れね」

「ええと」

「新庄麻衣子、あたしゲームお宅だったの」

「ふ~ん」

「賢者ピコってハンドル名、マイコだからピコってわけ、ピコ太郎の前から使ってたし、どうしたの?」

「いや」

「でもさあ、面白くなくなっちゃって勉強に切り替えた・・・」

「いつ頃?」

「パーティの仲間が消えちゃって、髙二の夏過ぎ、ま、普通は受験だよね」


「そ、そうだね、麻衣子も現役か」

「うん、彼女ってさあ年上?」

「いろいろ」

「だと思った。マサ君ってスケベそうだもんね」

「おいおい」

「やっぱね、男ってこういう話しをすると反応丸わかり、童貞じゃないよね」

 ピコは確かに頭の良い奴だった。

「麻衣子、そういう話し方だと嫌われるぞ」

「そんなにバカじゃないよ、ブリッコは得意」

「だろうな、こいつら童貞ばかりだろ」

「知らん」


 何かというと『シラン』て言う奴だった。自分の口癖『ア・ソ』は抑えよう。

「どうして文Ⅰ受験したの?」

「文系で一番偏差値高かったから」

「そうか・・・将来はどうするの」

「知らん」

「あ~と、自己紹介したんだっけ」

「ずっと先にしたじゃん」

「ごめん」


 前クラという先輩が付き添う。

 遊園地で遊んだ後は宿で宴会、昔は酒を飲ましたらしい。

「え~麦茶を飲み過ぎないように願います。あと、クラス委員は手をあげたら早く決まるし・・・ううう、最終手段はくじ引き」

「手をあげて良いですか、オレやります。自治会委員」

「じゃ、あたしもやる、自治会委員」


 麻衣子も手をあげた。

「うそ~」

「え、え?」

「いや、後はシケ長とパ長」

「パ長もやってもいいわ」

「おいおい、どっちもなんて」

「オレはそう言うのは好かん、自治会中央部で腕を振るうつもりだ」

「バッカじゃない、そんなのもうガチガチ。盛り上げてシンパを作る方が後々いいのよ~だ」

「そんなの当てにならない、いいか四年しかないんだぞ、クラスなんか二年、どっちに力を入れるかわかるだろ」

「バッカじゃない、二年で力をつけてから後二年、背景が違うわ、下僕が増えてるはずじゃん」

「おいおい、下僕って言うな、こいつらだって意志があるんだ。騙されるか」

「ふふん、エサをぶら下げれば・・・やだ、今のはうそ~」

「ガク~」

 とんでもない男と女が文Ⅰに入ったという噂が広がったのは言うまでもない。


「マサのせいだからね」

「お前がムキになって・・・」

「でも、久し振りって感じ・・・あんた魔導戦士オーマじゃないの?」

「アホカ」

「それも口癖、『ア・ソ』は言いそうになったでしょ」

「シランとかバッカジャナイとか、変わらんな・・・あ、しまった」

「もう~突然、うんともすんとも、バカ!」

「ごめん」

 でもって、麻衣子のアパートに行ってしまった。


 ーーーーーーーーーー

「わあ!」

「え、え、え?」

「あ・・・やばい」

「後悔してるの?」

「違う、麻衣子、処女じゃなかったのか」

「違うもん」

「うそをつけ、オレ夢中で・・・ごめん、手当てするから」

「やだ・・・」

 一瞬でもあるのか、うとっとしたらライアースと往復。大仕事が終わった夜に疲れて眠って起きたら現実世界となんだか忙しい。

 麻衣子をシャワーで洗い、遅くまでやっているドラッグストアでお薦めのケア用品を買ってきて処置をした。


「あのさ、彼女って看護婦?」

「おまえさあ、頭良すぎ、ありがとうって言えばいいの」

「ちぇ!」

「妊娠したらゴメンネ」

「おい!」

「たぶん、そうならないとは思う。妊娠するなら儀式が必要だから~」

「・・・頭おかしい?」

「ま、いいじゃん、性周期はどんな感じ?」

「あのさあ、やってられんわ」

「抱いてやるから一緒に寝よう」

「あのさあ・・・バッカジャナイ」


 灯りを消し腕枕をしてやるとしがみついてきた。

 翌週は武道館で入学式、和博をおんぶした母が嬉しそう、和也さんは気が気ではなかったようだ。ちょっとは親孝行になった。


「でさあ、あんた変態?」

「キャハハハ」

「めっちゃ面白い娘ね」

「まあね、この前思わずってやつで、処女膜破っちゃったんだ」

「だから、処女じゃねえって」

「看てやってくれる?」

「人の話を聞け!はう!」

「・・・あ、綺麗に破れてるよ、さすがマサ君」

「少し跡があるけど大丈夫、やって強くなるから」

「こ、こら、変態、あ、あ、あ」

「オッパイももみもみして」

「チュチュ」

「やめ、やめろお・・・あ、あ、あ」

「すげえ立っちゃった」

「うふふ」×2

「ひいい~」


 現実世界では、『エイリーンの呪い』がないオレなんだよ、許して欲しい。

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