第30話 ロンド
「今日は王様の昼食会ですよ」
「アルナの父君の調査結果も出ているかな」
マーガ公爵が来て、アルナを見つけると早速キス攻撃。
娘のオッパイを揉むエッチな男に引いた。
「やめてよ、こら!」
「だって、息子ばかり残ってつま~んないんだも~ん」
「おほん」
「あ、失礼した。オーマ殿」
「ルキルのオッパイでも揉みますか?」
「いや、大きすぎ、わしは小さい方が・・・ヒデブ!」
「嫌い、シネ!」
「ひ~」
「まあ、まあ、まあ」
アルナをなだめてみんなで遠くの高台にある王宮へ歩く。
イング国は北に居座る寒波の影響で天気は変わりやすく、雨も多い。
ランス国ではまったく見なかった傘を携行する習慣があり、カラフルさを競っている。衣服は厚く、重ね着もする。
行き交う女性の胸は小さい傾向、南髙北低か。うんうん。
「柳が多いですね、イタル大湿地帯とは種類が違うけど」
「気温が違いますからね、北方島では堅い大木も育ち船の構造材に向いてます」
「南のほうでは大山脈の高地の大木を苦労して切り出しているそうです」
「ま、この頃はオリハルコンのおかげで船も変わりましたけどねえ」
「ですね」
王宮では王族や貴族も集まっていて、護衛兵も多数居た。
「勇者オーマ様を招いた昼食会を開催します。昼酒もまた一興、楽しんでくれたまえ、では、カンパイ」
「カンパイ!」×多数
儀式はそれだけ、一昨日は晩餐会で盛り上がった。
「エビやサザエ・アワビはいかがですか」
「いただきます、ものすごく旨いです」
「炭焼きって美味しくなるのね」
「遠赤外線だよ」
「なにそれ?」
「あ、いや」
海産物の宝庫、魚醤も発展していて磯焼きにちょっと垂らすと極上の味だ。
「刺身もいかがですか、野菜スティックもありますよ」
「は~い」
ご飯お味噌汁が欲しいところだが、替わりは大麦オートミールとブイヤベースと同じ魚介スープ。チーズなどの乳製品はないけど。
「旨いなあ」
「スープのおかわりいかがですか」
「はい、お願いします」
わいわいがやがや、ゆっくりと楽しんでいると、マーガ公爵家の家来が血相を変えて駆け込んできた。
「た、た、たいへんです」
「どうした?」
「オーマ様のお船が・・・」
「なんじゃと!」
急いで駆け付けると、炎があがって家来達がバケツリレーで水を掛けていた。
「なんということだ、白昼に」
「引っかかりましたね」
「し~」
『ギガダーレ・デコイ放火犯』
地図を拡げ呪文、赤い点が街の方向や一部はすでに湖の上を動いていた。
「街にアジトがあり、一部は船で逃げた、大テーブルに地図を拡げよう」
「動いていない見張りがいますので消火活動は一生懸命続けてください」
「かしこまりました」
ヒソヒソ打ち合わせ、目立つルキルやイリス、ミュミは消火の手伝い、ミリア、アルナと家の中に入った。
テーブルに地図をつなぎ合わせ、赤い点が動く。
「まだ動いていますね」
「船は外洋まで出るかも知れません。思うつぼです」
「離れるまで待ちましょう。
王宮の動きもわかっている犯人だと考えられます」
「怪しいリストの誰かかわかります。
デコイは燃えかたも同じなのですか?」
「上位魔法なので下位の魔導師は気がつきもしないさ」
ギガステレスで超見えなくした本物はマーガ公爵家の別棟倉庫に隠した。
デコイは消し止められず夕方には沈没し、見張りはアジトまで動いていった。
「ゴラン男爵家は先々代が領主時代に不正を働き伯爵から降格されたという歴史があります」
「逆恨みですか」
「内情が逼迫して借金もあり、領地が縮小したのに伯爵時代の生活を続ければそうなります。そこをつけこまれたのでしょう」
船の方は大縮尺の海図を動き、四日後に停まったのは名もない無人島だった。
「東端で詳細地図はないですけど」
「大丈夫です」
「乗り込むのでしたら軍船を」
「密かに近づいてください。テレウインで知らせます。
ゴラン男爵家はよしなに」
「かしこまりました」