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ライアース  作者: 日川文月
25/36

第25話 トルキア

「オーマ様、キョロキョロしすぎ」

「爆乳女がうようよですものね」

「よかった、あたしたち五十歩百歩だもん」

「・・・アルナはまだ五十歩ね」

「こら~ミリア~」

「ニャハハハ」


 世界を往復するのも慣れてきた。

 トルキア国は天然の要塞で守られている国、関所も主要な街道に一個所、もっとも主要な都市は三個所だけだ。王は居らず議会で民主的に運営している。

 東のギザル、西のポルトに地下運河の出口で緑溢れる中央都チェニ、東西に運河を廻らし街道筋それぞれ七つの宿場町も栄えている。

 ルキルの故郷は東一番目の宿場町トリポ。

 チェニは二時間歩いてもまだ市街地、相当に大きな都市だ。


「ここなら露天風呂付き、やだ、エッチ」

「おいおい」

 さっそくお風呂とはいってもそれほど熱くはなく、旅の疲れがとろける。

 トルキア料理はうどんのような麺に様々なスープをかけるのが主食、変わっていていて美味かった。腹を満たした後はまったり。

 あちこちから大人の儀式の音が聞こえていた。

「さすが、トルキア人は激しいみたいだね」

「なんですか?」

「いや・・・大人の・・・」

「チューしてモミモミして~~」

「うう、チュチュ」

 まあ、大人の儀式じゃ無くても、嫁達をかわいがることは出来る。

 夜空が綺麗だった。


 ーーーーーーーーーー

「む!」

「暴漢?、怖い~」

「みんな、下がって・・・」

「あ、ルキル」

 大男が長剣を振り回して襲ってきた。

 ルキアが長剣を抜きあわせ、火花が散る。

「オーマとはどいつだ!」

「オーマ様と言え、クソオヤジ!」

「あんだと~」

「な、なんだ、お父さんか・・・」

「すげ~」


「あ、お母さんかな」

「こら!あんた!」

「なんだよ!ヒデブ!!」

 お父さんは飛び回し蹴りを喰らって地響きを立てて昏倒、ピクピク。

「かあちゃん、ただいま」

「見違えたよ、オッパイ揉んでもらってるんだね」

 母娘はしっかり抱きあった。

「うん、オーマ様に、母ちゃんです」

「ど、どうも・・・あの、お父さん大丈夫ですか・・・生きてるみたいだけど」

「バカ亭主で恥ずかしいよ、さ、みなさん、家はこっち」

「・・・だから」


 どの民家も平屋で広い庭があり、子ども達が格闘技や剣術稽古に取り組んでいる。

「わあ~ルキル」

「おかえり~~」

「うわ~い」

「ガハハハ、よしよし」

「これみんな、兄弟姉妹?」

「めっちゃ多い」

「もっと居るけどみんなあちこちで雇われてるよ、ここらじゃ有名な戦士一家なのさ、オーマ様にはルキルの妹五人全部も嫁にしてもらいたいねえ」

「い、いや・・・」


 庭の長テーブルに座ってお茶を振る舞われた。緑茶の風習があるらしい。

 お父さんは木陰に放り込まれて寝ている。

 お母さんが軽々と引きずり運んで相当な力持ちだ。

「風の国から戻るギザの戦士を見かけたのですが、なにかあったのですか?」

「へえ、やっぱあの噂かね」

「なんです?」

「ポルトから出発した交易船がグリーンドラゴンに襲われているって」

「え~」

「まさか」

「二十年前から行方不明が増えて、どうも原因はそうらしいって」

「デマでしょう」

「漂着した水夫が船が沈んだときにグリーンドラゴンを見たって」

「う~む」


「ふわ~よく寝た、お~い、ルキルは遅いなあ」

「あんたが寝てる間に帰ってきたよ」

「え、お、おお~ルキル」

「こちらが、オーマ様」

「なんだ、ちっちゃい小僧じゃねえか。ヒデブ!」

「お、おい」

 今度はルキルが跳び回し蹴り一閃、お父さんはまた横になった。

「・・・丈夫だなあ」

 お母さんの手料理も美味しかった。

 ルキルがちょっと涙ぐんでいた。母の味だからと。


 そうだよね、うんうん。

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