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ライアース  作者: 日川文月
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第22話 ブルードラゴン

 翌日は水の国居城を訪問。高低差はあるが目と鼻の先だ。

「オーマ殿、お噂はかねがね聞いております」

「即座に拝謁賜り恐縮です」

「して、ご用件は?」

「イタル大湿地帯のことです」

「やはりそうでしたか」

「ドリア湖で漁が出来ないのは本当のことでしょうか」

「嘘を言ってもオーマ殿には通じないでしょう。そういうことにしております」

「盟約があるのですね」

「はい、乱獲の防止です。ブルードラゴンが魚を食べるというのは嘘です」

「なるほど、おかしいと思った。ドラゴンは生命を食べませんから」

「ええ」

「イタル大湿地帯については心を痛めております。いっそ我々で管理したらどうかと声があがっておりまして」

「それについては思うところがあり、ブルードラゴンの長に面会はできますでしょうか」

「はい、中庭に・・・」


 中庭はドリア湖に面している。

「おお、まるで海ですね」

「向こう岸が見えませんわね」

「諸説ありますが、遙か昔に星が衝突したということです」

「真円に近いと聞いております。事実でしょう」

「まことですか?」

「中央部が盛り上がり、島になっていますね、そこが衝突の中心でしょう」

「ブルードラゴンの生育地でもあります」

「して?」


「竜笛を与えられております。耳を塞いでください」

「はい」

 おそらくは超音波、身体で感じた。

「十分ほどでやってきます」

「かつて勇者オサマオトスがブルードラゴンに手伝いを乞い地下大運河を造ったと聞いておりますが本当のことでしょうか」

「ブルードラゴン族は語りませんが本当だと信じています」

「トルキアからの水税については」

「長らく助かっております。水の国は産業がございません」

「トルキア国からはなんと?」

「当然のことととおっしゃっておられる、すべて勇者様の命じられたことと」

「わかりました。ルキル?」

「はい、本当のことです、勇者様」


「やはり、それは・・・」

「レッドドラゴンの第三長老の抜けし牙です」

「お持ちになっていることこそ勇者の印・・・」

「ま、まあ、そんなにへりくだらないでください」


「そうすね、なんか肩こっちゃって、オーマちゃんでいいすか?」

「変わりすぎ」

「キャハハハ」

 そうこうしているうちに三体のブルードラゴンが中庭に降り立った。

「サマちゃんどったの?」

「ガク!」

「ん、この方は勇者じゃん、だれ?」

「オーマと申します」

「オーマちゃんね、聞いてるわよ、レッドドラゴンの子を助けたんでしょ」

「は、はあ」

「ドラゴン族は噂好き、すぐ伝わるわ、やるじゃん、オーマちゃん」

「ううう、砕けすぎ・・・」


「オーマちゃん、これぐらいの高さで良い?」

「うん、ありがとう、アコテンパレちゃん、この方向で進んでいって」

「はいはい」

「なんか合わせ鏡みたいですなあ」

「左右対称で美しいですな」

「うん、この方向で斜めに星は追突したんだろう、さらに火山活動を誘発して山脈を形成した。

 こっち側は衝撃波で段々畑のよう、それが高低差だね、ドリア湖に貯まった雨水がある時期に縁から溢れて時が経ち今のような形になったのだろう」

「遙か昔のことあたしたちの伝承にも成り立ちはないわ」

「うん、幾数万年とか前のことだと思うよ、さてと、イタル大湿地帯の湖沼に水路はあるけど水門が全部開いたらどうなると思う?」

「アハハハ、人間はそんなことでもめてるの、どっちもどっち、左右に同じぐらい流れていたわよ、溢れたらどっちかに流れたわ」

「思っていたとおりだ。五十年戦争で水路を塞ぎ水の取り合いをした。なにもしなければ平等で平和だったのに」

「なるほど・・・その名残を引きずっていたのか」

「解決策はできたね、二十個所は交通のために残せばいい、管理はしやすいだろうし経費は二十分の一以下になってみんなが儲かる」

「おおお、わかりましたぞ」

「やりましょうぞ!」

「はい!」

 両国の代官は即座に手を結んだ。嫁達も遊覧飛行を楽しんだ。


「うひひ、オーマちゃんは人間にしては賢いね」

「因習にとらわれていないからだと思うよ」

「それが賢いという事よ、気に入ったわ、母としてもピピちゃんの件は本当に嬉しい出来事だった。あたしの抜けた牙も受け取って」

「え、貴重な物を・・・」

「ここ百五十年、あげたい人は居なかった。ありあまってるわよ。さ」

「じゃあ、いただきます」

「武器に加工してもかまわないよ。じゃあね、うふ」

 ブルードラゴン族第三長老の老女は飛び去った。

「さあ、オーマ様、帰ってチューしてくださいませ」

「最高の勇者様だわん」

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