第2話 ゲーム世界?
「ふが!あ・・・寝落ち?いや・・・変だな、ここ、どこだ?」
目が醒めたら真っ暗、手探りで冷たい石の感触、思いっきり頭をぶつけた。
「イテテテ、夢じゃない?懐中電灯は、あ!おれマッパ???」
「誰?」
「え!」
「わたしはランス国のミリアと申します」
「ええと、女の子?」
「女ですけど・・・ここはゲルニアなのでしょうか?」
「何?」
「ゲルニアの首都ベルンへ向かう隊商が襲撃を受けました。逃げ遅れてとらわれの身になってしまったのです。助けていただけませんか?」
「ベタな設定だな・・・う~む、やっぱ夢だ」
「ベタとはなんでしょうか?」
「いや・・・ここは牢?」
「目隠しをされ石段を降りました。あなた様の声は鉄格子の外から聞こえます」
「声の方に行けば鉄格子か・・・ちょっと待って」
「はい?」
這っていくと固いものに指が!
「ク~~~~!」
「どうなされましたか?」
「ぶつけただけ、大丈夫・・・うう」
「もし・・・あ、ああ」
手探りで手を握られ、思わず握り返す。
「暖かい手、安心します」
「ミリアさん、ここはどういう世界なんですか?」
「どういう?」
「例えば、地球とか」
「世界の名前という意味でしょうか?」
「ま、そう」
「ライアースのユーロ大陸でございます。言い伝えでは他にも様々な世界があるらしいとか、もしやあなた様は外世界のお方でしょうか?」
「い、いや、ライアース!まさか、あの・・・魔法は使える?」
「わたしは回復系の魔法しか・・・光魔法ができれば良いのですが」
「じゃあ、簡単なヤツで」
『プリライ』
「わ!」
呪文を唱えるだけで小さな光球が出現、自分でやったのに超驚いた。
「あなた様は魔導師様なのですね?」
「魔導戦士・・・」
「なぜ裸でいらっしゃるの?」
ほっぺが赤くなっている。
「いやあ、まったく記憶がなくて・・・ええと、ミリアさんも」
「わたくしはちゃんとしてます、服や装備や荷物は奪われてますけど」
「・・・美しい」
「・・・そんなにお見詰めにならないで」
マンガから抜け出たような下着美少女、しかも巨乳!
背は145センチほどか、思わずムクムク・・・あわてて手で押さえた。
「わたくしは王家の魔導師様から防御魔法をかけていただいておりますが、上位の魔導師なら真名も曝かれ、一生奴隷の身分に貶められてしまいます。おわかりでしょうけど」
「そういうことか・・・なるほど」
ゲームのライアースでも登録のアドレス、個人情報は保護されている。
自分の本名、須藤正夫は知られていけないのは何となく理解できる。
「あの・・・あなた様をなんとお呼びしたらよろしいでしょうか?」
「あ、名乗ってなかったですね。・・・オーマと申します」
「オーマ様、この鉄格子は・・・」
『キーレスキ』
カチャとカンヌキが外れる音、レア魔法を習得していて良かった。
もし、ステータスがゲームと同じなら無敵かもしれない。
「さあ、ミリア、逃げましょう」
「はい、オーマ様・・・」
ミリアは甘い匂いがする。手を繫ぐと身体を寄せてきて腕に巨乳がプニュ。
「こ、こら、静まれ」
「はい?」
「いや、こっちのこと」
片手で股間を隠すのは限界、顔が火照ってるのがわかる。
並ぶ鉄格子牢の一番奥から、出口階段へ歩いていくと七つ目で声をかけられた。
「あの!お願いですニャ」
「はい?」
「助けてくださいニャ、パパから報奨金を貰えるニャ」
『プリサーチ』
悪人か善人か、金持ちか貧乏人か、ステータスもアバウトにわかる。
防御魔法はかけられていると頭の中に声が聞こえる。
それ以上の魔法は使わないのが礼儀だ。
「嘘ではないな『キーレスキ』さあ、出て」
「ありがとうございますニャ」
ミリアと同じような背格好、ネコ耳尻尾もある獣人らしい下着美少女、ますますRPG世界でちょっとめまいがした。
「そなた、名前はなんと?」
ミリアは身分が高い貴族のようなしゃべり方だ。
「ミャミですニャン、一帯の山は薬草の産地ニャ。薬草摘みの途中はぐれて、盗賊団が横行してるから気をつけてたのにバッタリニャン、うへ~ん」
なんだか説明臭いが嘘ではないだろう。ミャミもオレを見てほっぺが赤い。
「歩きにくいし、着る物を手に入れなきゃ」