第16話 海賊の襲撃
船客がぐっすり眠る二時すぎ、ルキルは船尾で怪しい影を見て誰何した。
「何者だ!」
「う!」
黒い影が五つ、下弦の月で暗い。
「くらえ!」
風きり音をとっさに避けて長剣を抜く。飛んできたモノを切り落とした。
「ルキル、目を閉じて」
「は!」
『メガライ』
大きな光球で昼間の明るさになる。
「ぐあ~」
「目が、目が~~」
男達が目を押さえてへたり込んだ。
「暗視魔法を使っていたんだろう、鍵縄ばしごか・・・」
「小舟が取り憑いていますね」
「一人残っているヤツも目を押さえているな」
「オレが」
「いや、こいつらを武装解除してまとめてくれ・・・おおい」
「は!」
「ロープを持ってきて」
「かしこまりました」
駆け付けた水夫達に指示、縄ばしごを下りて小舟につき、男を縛り上げる。
「おい、本船は何処にいる?」
「言うもんか」
「回復魔法の替わりに一生メクラになる?」
「い、いや・・・それだけは」
「合図をしてみますか?」
「どんな戦力かわからないからうっかりと呼び込めないし、メガライも見ている」
「速度を上げましょうか」
「うん、ダーレで監視しながら進もう、もう少し尋問が必要だな」
海賊船は二隻と判明した。
船足の速いクリッパー型200トン、海賊は両船で五十名、火器は積んでいないが魔導戦士が一名ずつで暗視魔法もそいつらの仕業だ。
「乗っ取り目当てだな、船荷が目的だろうが・・・」
「海賊も出てきたのですね、他にも被害がなければよいですが」
「見張りを強化してくれ」
「もうすぐ夜が明けます」
「あきらめてくれればいいが・・・」
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「結局来ませんでしたか」
「低級魔導師だったらあきらめるかもと思った」
「おかげで助かりました。謝礼は主に連絡しますので」
「いや、それよりも船員組合の連絡網で海賊船に心当たりがあるか、六人の捕虜から聞き出せることは聞きだして、おふれを出してくれ」
「かしこまりました」
二日目の夜は警戒を厳重にして乗り切り、朝には回頭、進路をサドガ島セントラ湾に向ける。
「オーマ様、変です急に凪になってしまいました」
「結界だ、強力なアンチ風魔法か・・・ええと」
『メガクロール・前方』
「わあ、なんですか」
「水魔法で進行方向に海流を曲げた、結界を抜ければ風が戻るよ」
「は!」
少し進むと海流を操る結界、メガウインドの風で切り抜ける。
次は光を曲げて視覚を惑わし方向を狂わせる結界、舳先に立ってメガカッターで結界を切り裂きながら進んだ。
「お!港が見えてきた」
「オーマ様のお手並み、敬服いたしました」
「更に上位魔法もあるのだが使わない方が無難だ。お出迎えは軍船か、あるんだな」
「それぞれの国の最新鉄甲船ですね、オリハルコンもかぶせてあります」
「なんでも一緒にやらないと気がすまないのかな」
「お互いの監視でしょう」
「荷はありがたく受け入れますが、オーマ殿、出港はなりませんぞ」
「そうです、まだ、お二人は行方不明でして」
「その捜索の目的で来たのですよ」
「はあ」
「もう一度、当時の状況を再現していただきたい。刻限も含めて」
「いかがいたしますか」
「ううむ」
「本国との通信は?」
「テレウインを使える魔導師がおります」
「風の結界は見事でした」
両国の駐在領主に面会、国書をそれぞれに渡すのと捜索の再開を依頼した。




