第12話 イリスも嫁に
翌日王城近くの館を訪問。門番にミリアが告げると謁見室に案内された。
「マンナ公爵家ミリア姫様、ダチニ公爵家当主のサゴールでござる」
「この首飾りをお届けにまいりました」
「はい・・・従者の方々は隣室におねがいします」
「わかりました」
直前に録音魔法をミリアのイヤリングにかけておいた。
隣室にモフモフのイヌ族巨乳美人ちゃんが居たのでチラチラムクムク。
半時間ほどで呼び戻された。
「国王陛下からのご返事を待つ間、泊めていただけることになりました」
「それでは部屋に案内を、隣室にいた娘が付き添います」
「イリスと申します。観光案内もいたしますわ」
「ええと」
「わかりましたわ。よろしく、イリス」
ベルンは歴史ある街なので史跡がたくさんあった。
「昼食はここがお薦めです。席を聞いてきますね」
昼時、イリスがレストランに入ったのでヒソヒソ打ち合わせた。
「まずいな、行動を共にするとは思わなかった」
「あたしも何があったか知りたいわ、十分ぐらい記憶が飛んでる」
「まさか夜も一緒って?」
「オーマ様は、胸をチラチラ見てた」
「ギク!」
「イリスも頬を染めてたからオーマ様に気があるわ。嫁にしてしまいますか?」
「賛成~」×2
「うう~」
「席があるそうですわ。あら、どうなさったの?」
「いや・・・さあ昼食は何がお薦めかな」
「何でもありますけど、野鶏料理は絶品ですわ。オーマ様」
「じゃあ、それにしよう」
歓迎夕食後、部屋まで同行したイリスはあっさり、みんなでベッドインした。
「ミリア様もみな様もオーマ様にお仕えできて幸せそう。オーマ様のようなお優しそうな方にお会いしたのは初めて、一目で嫁入りしたいと思いましたの」
「嬉しいけど・・・なんだかなあ」
「さすがオーマ様だニャ」
「実はこれこれしかじか」
「わかりました。オーマ様に従います」
「それではイヤリングの録音を再生しよう」
経緯とランス側の憶測、イングと交戦の際は味方の要請。
想像通りだが、条件はやや揉めている国境地域の割譲ということだった。
「イタル大湿地帯は農地には適さないけど水利権争いが絶えないわ」
「水の国はドリア湖の一部だと主張してるニョ?」
「水を買っているトルキアは水の国を支援するよ」
「もめ事はあっても、農業国にとって水の問題は大きいわ」
「複雑だな、水の国はドリア湖を支配してるんだろ?」
「ええ」
「漁業もあるんじゃないの?」
「ブルードラゴンのおやつの魚を捕ったら大変、むしろ湿地帯の魚が欲しいのよ」
「あ、そういうこと」
「明日考えましょうよ・・・うふん」
「う!」
イリアはオレの手をとりオッパイに押しつけ、トロンとして寝入った。
「あん、イリスったら大胆だわ」
「オーマ様、あたしもお願いします」
「あたいもニャン」
「もち、揉んでくださいませ、やん」
オッパイモミモミでみんな嬉しそうにトロンとして眠った。
「イリアは少し大人なのかな・・・う~む」
「従者の方々は・・・」
「すみません、わたくしはオーマ様にお仕えする身」
「しかし、ミリア殿」
「オレ・・わたしから話しましょう。今回の密使は非常に危険だった。盗賊団に攫われたミリアを救い出したのがわたし、ベルンへの護衛を要請され引き受けたのです。ランス国の要請内容も想像がつきます。イタル湿地帯の件でお悩みかと存じますが」
「な、なぜそれを!」
「申し訳ないが、わたしは魔導戦士、防御魔法をかいくぐる術は枚挙にいとまない」
「うううむ」
「イング国からも密使が参ってると存じます。こうなさったらいかがかな、完全中立を宣言・・・つまりはどうぞ勝手に戦争するならしてくださいです」
「しかし、それほどの問題とも思えないのに戦争ですかな」
「わたしも不思議に感じます。第三者の陰謀かと、不和の種をまいているものがおるようです。誰とはわかりませんが、戦争になって誰に利があるでしょうか」
「ご存知のように五十年戦争という戦乱の時代。勇者オサマオトスが平和をもたらすまで、各国は国土が荒れているのに軍事費を捻出し疲弊しました。
仲裁の労を執り各国に不戦の宣誓をさせた勇者オサマオトスは自らの功を誇らず姿を隠しました。外世界から召還されたので戻ったという説もあります。
平和を謳歌し国力も回復した今、不戦の宣誓は過去のことと言う風潮になったのはここ二十年です。 盗賊団が横行し、イタル大湿地帯に争いの種・・・失礼」
伝令に耳打ちされたサゴール公爵が顔をあげた。
「オーマ殿、王宮からのお召しです。盗賊団の件でタモ太守から知らせがあったとのこと」
「良い知らせでしょうか」
「はい、そのようです」