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ライアース  作者: 日川文月
10/36

第10話 現実世界2

「・・・あれれ?」

「ああ!正夫!よかった、よかった・・・」

「母さん?ここは?」

「帰ったら倒れてて・・・救急車を呼んで!う!う、う・・・」

「須藤さん、息子さんの意識が?」

「は、はい!」

「すぐ先生に知らせます!」


 母は憔悴。付き添ってくれていたらしい。

「母さん、ありがとう・・・産んでくれて」

 なんか素直に言えた。

「え!・・・正夫、正夫!」

 手を握ると握り替えす母の顔は涙で濡れていた。


「微熱はあったんだが原因が不明で、一日半か・・・栄養剤の点滴をどうしようかってぐらい、呼吸も脳波も心電図も正常だったし、君は丈夫なんだね」

「はあ」

「あ、アハハハ、冷静だね」

「母に心配をかけてしまいました。退院しても良いですか?」

「うん、健康そのものだ。ええと、手続きが済んだら・・・お腹減ってない?」

「いえ、HPフルです」

「???」


 医者も首をひねる。患者服に着せ替えたのは看護婦さん達だろうか。

 見られても平気で下着やGパンTシャツ靴下やスニーカーに着替え挨拶。

 なんだかみんな頬を染めていた。

 手続きも終わった母と挨拶して玄関に出る。

「あの忘れ物です」

「え、ええ」

 若い美人看護婦が追いかけてきて何かを手渡したので尻ポケットに入れた。


 ーーーーーーーーーー

「やあ、元気そうで良かった」

「心配掛けました。すみません」

 母の彼、遠藤和也が車で迎えに来て、今夜は一緒に夕食とお誘い、お邪魔する。

 妹になるだろう瑠奈が留守番をしていた。

「正夫兄ちゃん大丈夫?」

「うん、心配掛けてゴメンネ、ありがとう」


 大好物のすき焼き、牛の獣人は居なかったから良いかと思いパクつく。

 母の味なのか、美味しかった。

「なんか、正夫君は変わったね」

「そうでしょうか」

「大人びた感じ・・・産んでくれてありがとうって・・・あ、やだ」

 母は急いで台所へ立ち涙をぬぐっていた。


「良かったね、そう言えるのが大人だな」

「和也さん、結婚式はするんですか」

「ブ~~~ケホケホ」

「パパ、汚い」

「い、いや・・・すまん・・・ええと・・・」

「決心してるんですよね」

「うん、雅美さんと結婚したい」

「わあい、パパ、良かったね」

「瑠奈ちゃんも新しいママでいいんだね?」

「うん、大好き」

「よかった・・・じゃあ、すぐに入籍してください」

「あ、あの、正夫君は?」

「また苗字が変わるのはちょっと、高校の途中ですし」

「それもわかるな・・・わかったよ」


「なあに、どうしたの?」

「雅美さん、正夫君がすぐに入籍してやってくれって」

「え!正夫」

「ぐずぐずしててゴメン、和也さんはいい人だ、母さんを愛してる」

「や、やだ・・・赤くなっちゃう」

「わあい、よかった~」


 金曜夜から日曜朝まで意識がなかった。

 身体はライアースのオレだ。前は心根の小さい奴だったなと思う。


 ーーーーーーーーーー

 アパートに戻って部屋のパソコンでライアースを立ちあげた。

「コレは違うか・・・」

 仲間達がパーティルームにいたがエントリーせず電源を落とした。

「とりあえず勉強するか、あ、そういえば・・・」

 尻ポケットに折りたたまれたメモ紙。名前と電話番号が書かれていた。

「あの看護婦・・・美亜っていうのか」


 ーーーーーーーーーー

 アパートから引っ越し十月に近親者との結婚報告会。

 勉強に打ち込み、期末試験では学年トップに返り咲き、三年に進級した。


 ーーーーーーーーーー

 春休み、看護婦の美亜に連絡した。

「連絡来ないからさあ、嫌われたのかと思っちゃった」

「なんで、連絡先くれたの?」

「うふ、みんなで話してたよ、気になる男の子だって。こういうことしたのは初めてなんだから・・・看護婦って出会いとかあまりないし~」

「ふ~ん」

 今では構えることなく女生徒達とも話せる。キモイなんて思われてもいず、ネガティブ思考の妄想だった。

 待ち合わせて、ショッピングとか猫カフェとかに行くデート、色々なことを語りあった。


「看護婦って、壊れる娘が多いの、人の死を見なくてはならなくて、ストレス溜まりまくりなんだから」

「うん、大変な仕事だね、尊敬できるし、デートが癒しになれば嬉しいかな」

「すごく嬉しい・・・ありがとう・・・」

 美亜はミリアより10センチ以上高く、25歳は大人だ。

「キス、上手すぎ、やっぱ沢山してるでしょ、焼けちゃうな」

「そうでもないよ、今日は楽しかった」

「マサ君、あたしも、ありがとう」

 リアルに可愛いい。現実世界は不健全なのか?

 家に帰って家族の団らんもありの生活だ。


 夜はミリア達のことを思って目を閉じぐっすり眠った。

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