(^ω^)【『キスしないと出られない部屋』】のようです
『キスしないと出られない部屋』
( ・∀・)「男三人なんだが」
(^ω^)「男三人、密室、何も起きないはずもなく……」
('A`)「お前ぜったい俺に近寄るなよ」
( ・∀・)「縛り上げなきゃ……」
(^ω^)「冗談ですよ冗談」
('A`)「で、どうする?キスは絶対イヤだぞ」
( ・∀・)「俺もだ。お前らの口臭いし」
(^ω^)「俺は別に構わんが」
('A`)「お前はもう喋るな」
( ・∀・)「口封じに殺さなきゃ……」
(^ω^)「そんなことしたら、この部屋から出られないじゃん!」
('A`)「もうそれでいいよ」
( ・∀・)「お前とキスするぐらいなら死んだほうがマシだね」
(^ω^)「俺は嫌だお!一刻も早く部屋から出たいお!」
('A`)「だから近寄んなって!!」
( ・∀・)「死ねっ!死んじまえっ!」
(^ω^)「ぐぅおおおお!!キスさせろぉぉっ!」
('A`)「いやだあぁぁぁっ!鼻が腐るぅぅ!」」
( ・∀・)「卵の腐った臭いがするぅぅぅっ!」
('A`)「待てっ!キス以外に脱出する方法を考えよう!」
( ・∀・)「そ、そうだ!一旦落ち着け!それか死ねっ!」
(^ω^)「……じゃあ、落ち着くお」スンッ
('A`)「よし。それじゃ、状況を整理していこう」
( ・∀・)「俺達は昨日、三人で酒を飲んだ後、カラオケに入った」
(^ω^)「既に酩酊気味だったから、そのまま寝ちゃったお!!」
('A`)「そんで気付いたら、この部屋に閉じ込められてたってわけだ」
( ・∀・)「スマホは……ダメだ。何処にもない」
(^ω^)「部屋にあるのは、キングサイズのベッド、テレビ、小型冷蔵庫……」
('A`)「あとDVDプレーヤー……お、ペイチャンネル入ってんのか」
( ・∀・)「おい。この部屋風呂付いてるぞ。しかも結構でかい」
(^ω^)「はぇ~結構アメニティも充実してるお。洗顔料とか……ガウンとか」
('A`)「……っていうか、ここラブホテルじゃね?」
( ・∀・)「気付きたくなかった事実」
(^ω^)「それはそれは……期待されているということでは?」
('A`)「死ね」
( ・∀・)「死ね」
(^ω^)「目が本気なんですが」
('A`)「まぁ、ここがラブホだろうが、今はどうでもいい」
( ・∀・)「犯人は何故、俺達三人を?男なのに」
(^ω^)「人の性的嗜好は闇より深いお。考えるだけ無駄だお」
( ・∀・)「……たしかに。それもそうか」
('A`)「ま、そんな奴の事を考えても無駄だ」
('A`)「今はこの部屋から出ることだけ考えよう」
(^ω^)「でも、キス以外でどうやって?」
('A`)「んなモン簡単だよ……なあ」
( ・∀・)「ああ。壁をぶち壊すってことだろ?」
(^ω^)「なんでさも当然のように……?」
('A`)「ってわけで工具とか斧とか探そう」
(^ω^)「っていうか壁ってそんな簡単に壊せるもんなのか?」
('A`)「ラブホの壁は薄い」
( ・∀・)「常識だろ?」
(^ω^)「そんな常識は知らないなぁ……」
('A`)「お……ベッドの下になんかあるぞ」
('A`)「これは……なんだ、ハルバードか……」
(^ω^)「なんでそんな武器があるんだよ」
( ・∀・)「お、テレビの裏にもなんかあるぞ」
( ・∀・)「これは……なんだ、方天戟か……」
(^ω^)「だからなんでだよ。『なんだ』じゃねぇよ」
('A`)「これじゃあ、壁を壊すのは無理か……」
( ・∀・)「そうだな。別の方法を探すか」
(^ω^)「無理じゃねぇよ。うってつけの武器だろ」
(^ω^)「貸せ。俺が壊してやる」
('A`)「あ、おい。だから無理だって」
(^ω^)「ふんっ!」ガキィン
(^ω^)「なっ?壊れないだと?」
( ・∀・)「お前は武器で壁が壊せるゲームがあると思ってんのか?」
(^ω^)「往々にしてあるだろ、そんなゲーム」
('A`)「っ!!おいっ!!洗面台の下の収納に通り抜けフープがあったぞ!」
(^ω^)「なんだって?」
( ・∀・)「なぜそんなものがココに!!????????????」
('A`)「分からない……しかし、これで俺達はココから脱出できる」
( ・∀・)「よし!じゃあ早く脱出しようぜ!」
('A`)「だが待て。それは犯人を解明してからでも遅くはない」
(^ω^)「犯人だって!!」
( ・∀・)「そんなの、なんの手がかりも無かったじゃないか!!」
('A`)「いいや。犯人はずっと俺達の側にいたんだ」
(^ω^)「!!……どういう事だ!!」
( ・∀・)「もしかして、隠しカメラがしかけられているんじゃ!?」
('A`)「ああ、勿論仕掛けられてるだろうよ。しかし、それだけじゃない!」
('A`)「俺達を閉じ込めた犯人は、ずっと俺達と一緒にいたんだ!!
そうだろう?(^ω^)!!!」
( ・∀・)「なっ!なんだとぉーーーっ!!!」
(^ω^)「……ふん。何処にそんな証拠が?」
('A`)「さっきフロントに確認した」
(^ω^)「!!!」
( ・∀・)「その手があったか!!」
('A`)「お前、ここの会員だったようだな……」
( ・∀・)「何故こんな事をした!言え!!」
(^ω^)「……フェチだお」
('A`)「何?」
(^ω^)「俺は、男同士が命を賭して戦う様を見るのが好きなんだよ!!」
('A`)「ローマ市民みてぇな趣味だな」
( ・∀・)「だから槍があったのか」
(^ω^)「そう……最初は些細な言い争いに過ぎないかもしれない」
(^ω^)「しかし、密室の閉塞感。キスをしなければ出られないというストレス」
(^ω^)「それらが重なり、遂に“戦い”へと発展する!」
(^ω^)「互いに戦槍を手に取り、肉が裂け、血が吹き出す“戦い”へと!」
(^ω^)「やべっ……興奮したら鼻血出てきた」
( ・∀・)「ガチでやべぇ奴じゃん」
('A`)「一緒に閉じ込められたのは、戦いを間近で見るためか」
(^ω^)「それもあるし、2人の間に争いの種を生み出す必要もあった」
('A`)「なるほど、共通の敵が外にいると、争うより先に団結される恐れがあるからな」
( ・∀・)「内部で工作する必要が在ったのか」
(^ω^)「ま、自分が狙われた時の為に、通り抜けフープを用意していたんだが……」
('A`)「残念だったな」
( ・∀・)「俺達の前に敵は居ないぜ」
(^ω^)「……俺の負けだよ」ピッ
('A`)「なんだ?……入り口のドアが開いてる!」
(^ω^)「遠隔ロックを外した……支払いは自分が済ませておく」
('A`)「おう。じゃあまた明日な」
( ・∀・)「バイバイ」
(^ω^)「……ちょっと待て!」
('A`)「ん?なんだ?」
(^ω^)「なぜ通り抜けフープの場所が分かった!」
(^ω^)「あの場所は、この前偶然、私が見つけた収納口だったのに!」
('A`)「ああ、そんな物はかんたんだよ」
( ・∀・)「うん」
(^ω^)「な、なんだ!?」
('A`)「俺達も前に、ここに来たことがあるからな」
( ・∀・)「うん」
(^ω^)「そ……そうだったのか……」
(^ω^)「……ん?」