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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

無表情系百合女子が酔っ払うと大胆になる

作者: やまおか

 アルコールが入った途端に饒舌になる人間っていますよね。

 そんでもって、普段から心にためこんでいた言葉を口の端からボロボロとこぼしまう人間っていますよね。そうなんです、心を開くのにアルコールの力が必要なんです。

 

 あー、やっちまったぁぁぁぁ!!!!


 普段は無表情だけど酒を飲むと人が変わるとよく言われます。

 

 だから、会社の飲み会では自重して飲めないアピールをしてるわけですよ。

 ジンジャーエールとかウーロン茶とかコーラとか変化をつけても、「あっ、ソフトドリンクっすか」っていう顔をされる。

 あの視線にさらされるたびに居心地が悪くなるのを、愛想笑いで誤魔化そうとするが酔ってないと笑い顔がうまくつくれない。

 

 たぶん睨んでいるような表情になっているのだと思う。しかも口元を引くつかせて。

 注文を集めていた店員さんがびびったみたいな顔をするのがその証拠だった。

 

 もしも、これで酒をのんでへらへら笑い出したらどんな風に思われるかって、思い出したくないけどどんどん脳内で再生されていく。

 

 初めての飲みの席は、確か大学のコンパだったかな。

 緊張しながらも初めて口をつけたのがビールだったが、喉越しを楽しむのだと先輩に教えてもらいゴクゴクと飲みだすとなるほどとジョッキを空けていった。

 気がつけば口元が緩みなんだかふわふわと楽しい気持ちになった。

 あー、これが酔うっていう感覚かーと楽しんでいると、一緒に飲んでいたはずの相手がじっと私の顔を見ている。

 

 その日は何事もなく家に帰ってベッドに直行して、次の日頭痛に顔をしかめながら大学に通ったわけですよ。

 そうしたら、例の先輩と大学の構内でばったり。

 

 顔をひきしめて挨拶をするが、変な顔をされる。

 変なことはしてないはずだ……ちょこっと記憶があいまいな部分があるけれど。

 

「あの、昨日はどうも、飲み会楽しかったですね」

 

「ああ、うん……」

 

 微妙な返事に不安がどんどんと大きくなる。

 

 

 そんなことが数度、そして飲み会に参加すると決まって飲め飲めとお酒をすすめられることが多くなった

 なんでみんな私の顔をじっと見てるんだ!

 動物園の檻の中にいる気分を味わうこととなる。

 思い出すたびに恥ずかしくなった。

 

 自分の性質に気づいて以来、断固として大勢の前では飲むことを控えるようにした。

 そりゃあ、付き合いとかあるから一口ぐらいはつけるけれど、それぐらいならなんともなかった。

 それ以上飲まされそうになると、お花摘みにといいながら口元を押さえて逃亡する。


 

 しかし、あの酔ったときの感覚は気に入っていたので、気の知れた友人と飲むことがある。

 今日も高校からの友人と会っていた。気がつけば一緒にいる時間が多く、大学も一緒になった。高校3年間一緒で大学も同じかと苦笑されたことを思い出す。

 

「はぁ、たまに休みができたと思ったら女友達と過ごすとか……なんか足りないよね」

 

「いいじゃない。気の合う人といる時間って大事なんだなって、社会人になってから気づいたんだ」

 

「うん、まあ、そうなんだけどさ」

 

 私の本性を知っている人間となら気兼ねなく飲むことができる。

 そして、飲むときは大抵宅飲みであった。

 酔った後、そのまま寝られるのでラクチンです。

 

「ほらほら、遠慮しないで、じゃんじゃん飲みなよ~」

 

 とすすめられておいしくお酒をいただいていった。

 そうなると、ふにゃふにゃと顔がゆるくなっていくわけですよ。

 そんな私を見て友人も楽しげな様子だし、まあいっかとボトルを開けていく。

 

 話題はとりとめもない世間話や、会社でのことなんかだった。

 

「やってられませんよ! その仕事はうちの部署の担当じゃないって!」

 

「そうかそうか。まあまあのめのめ。ていうかなんだよその口調。ほんとおまえって酔っ払うとおもしろいよな~。普段からそれぐらい愛嬌があれば男からもモテているだろうに」

 

「ほっといてください。あれ、もうボトルが空ですね。ちょっと飲むペースが……」

 

「いいじゃないか、明日は休みでしょ」

 

「そうですね! どんどんいきましょう」

 

 そういって新しいボトルの栓を抜く。

 シュポンと栓がぬける心地いい音がして、白ワインがグラスに注がれる。

 あー、チーズとトマトがうめー。

 今日のおつまみはワインに合わせて洋風にしてみた。

 

「それで、どうなの? 新しい会社でいいひととかいた? 大学のころもいそういう話から逃げてばっかりだったからさ~」

 

 違います。

 あのひとたちは飲み会のあと、決まって声をかけてくるんです。おもしろがっているだけなんです。初めのうちはモテ期きたとか喜んでいた自分が恥ずかしい。

 というか、そんなことよりも、この際はっきりいってしまいましょう。

 

「なにいってるんですかぁ~。一番だぁいすきなのはあなたに決まっているじゃないですかぁ~」

 

 驚いて固まる友人。

 

 相変わらず白くてきれいな肌をしている。

 つつくとぷるんとはじき返してくるのを知っている。

 じゃあ、舐めたらどんな味がするのだろうか。

 

 知りたい。すごく。

 

 あ、ほっぺにごはんがついているのを発見。

 隙をついて頬を舐め取った。

 白い肌は柔らかくしっとりとしていた。

 

「おお、甘い!!」

 

 とたんに肌が白から赤に染まり、舐め取った跡を手で抑えながらあわあわとしている。

 

 あ、そっか、これって……。

 

「やったぁ、ゲット!! ほっぺにキス、ゲットぉ!! よっしゃ、よっしゃあああ!!」

 

 そこから記憶がない。

 アルコールをたらふく体にいれた状態でいきなり動いたせいで、酔いが一気にまわったのだろう。

 

 起きたら自分の部屋のベッドで寝ていた。

 二日酔いで痛む頭とは別に、あーあーうーうーとうなりながら転がり、今に至る。

 

 あー、記憶なくならないかなー。

 

 スマホを見るとLINEにメッセージが届いている。

 

 見たくないーと画面を顔から遠ざけながら、薄目でのぞく。

 

 『ばか』

 

 短く端的な言葉が一つだけ。


 ごちそうさまです!!

勢いだけで書いてみました。ときどき暴走する女子の百合ってどうっすか!!

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