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私は彼に身体を密着させて踊った。
私の長い髪が揺れて、彼の顔に何度も当たる。
「アハハ!!」
私は楽しくて笑った。
坂本さんも意を決した顔になった。
ぎこちない動きで踊り始める。
そう、そうよ!!
もっと激しく!!
自分を解放して!!
私と坂本さんは踊り続けた。
いい顔になってきたわ。
もっと、あなたが知りたい。
素のあなたを私に見せて。
しばらくして、汗だくになった私たちはフロアの隅に移動して、飲み物を飲んだ。
坂本さんは上着を脱いで、ワイシャツのボタンをひとつ外した。
「ハハハ」
彼が笑った。
「どう?」と私。
坂本さんは笑顔で頷いた。
「必死で身体を動かしてたら、何だか気が晴れてきたよ」
ワイシャツから覗く、彼の逞しい胸元に汗が光ってる。
ああ。
もうガマンできないかも。
私は坂本さんの手を取って、フロアの暗闇へと誘った。




