15
「ふふふ」
彼が笑いだした。
「フフフ」
私も笑った。
2人で笑ったわ。
しばらくして、彼が急に真剣な顔になった。
「君は本当にキレイだよ」
「あら?」
私は彼にウィンクした。
「あなたまさか、バカなこと考えてるんじゃないでしょうね?」
「そうかな?」
坂本さんは首を傾げた。
「君もクラブで言ってたじゃないか」
「何?」
「難しく考え過ぎだ、僕は自由なんだって」
彼の右手が私の腰を抱き寄せる。
彼が顔を私の顔に近づけてきた。
私は彼の唇に人差し指を立てて、迫ってくる顔を止めた。
「もう一度、よく考えて。あなたが思ってるより大変だと思うわ」
「今の気持ちを大切にしたい」
「そう」
私は指をどけた。
「じゃあ、ご自由に」
彼が私に優しく口づけした。
甘い時間の後、そっと唇を離した彼が私を見つめる。
「そんなに見つめないで。恥ずかしいわ」
彼が首を横に振る。
「違うよ。君の台詞は、それじゃない」
「?」
「ここで言うべきなのは、バーで逢ったときに君が最初に僕に言った台詞だよ」
「バーで?私があなたに?」
「ああ」
えーっと…そういうことね!
「さあ、言ってくれ」と彼。
私はニッコリ微笑んで、彼に言ったわ。
「ようこそ、新世界へ」
おわり
最後まで読んでいただきありがとうございます。
大感謝です。
面白く仕上がったと思います。←手前味噌(笑)