13/15
13
「わ!めちゃくちゃイイ女!!」
軽薄そうな男が、私を見て言った。
悠美が眉を吊り上げる。
「何よ、この女!!おっさんだって、遊んでんじゃない!!よく、あたしに文句が言えたわね!!早くここから消えて、その尻軽女に慰めてもらいなさいよ!!」
あー。
もう限界。
私は悠美に向かって1歩、踏みだした。
「凜さん!」
坂本さんが私の腕を掴む。
私は、その腕を振り払った。
悠美の真ん前に立つ。
「あなた、顔はキレイだけど心はひどいもんね」
「な…」
私の言葉に、悠美は右手を振り上げた。
私は悠美を、にらんだまま。
頭のウィッグを外した。
「「ええ!?」」
軽薄そうな男と坂本さんが驚く。
「何、何、これどういうこと?」と軽薄そうな男。
悠美は右手を上げたきり、固まってる。
いくら暗いとはいえ、この距離なら気づいたみたいね。
「うそ…」
悠美が言った。
「何故…どうして?」
「さあ、そういう巡り合わせなんじゃない?ただひとつ、はっきり言えるのは」
私は、ニヤリと笑った。
「私たちの縁談は無かったことになるでしょうね」