6 商談
プリン製作から二週間がたったころ
「金儲けの匂いがするっ」
プリンを飲み物のように食べるトムが
俺に向かっていった。
プリンを作ったときに知り合った
トムだがそのときとんでもなく
めんどくさい自分の店の行き方を言ったので
それいこうこうして地図の書き方と
文字を教えているのだが…
「この地図ってやつは売れるぞおい。
おい聞いてんのか おーい」
鼻をつつくなトム。聞いてるから。
「まぁここじゃ普及されてないみたいだしな」
「あぁお前って天才なのか?
どんな発想したらこんなことともいつくんだ
確かにこれだったら道を覚えるために
ずっと繰り返し言って覚える必要ない。」
道覚えるために毎回
丸暗記するとか気が知れねぇ…
「でもこんな木の板だったら
持ち運びが不便だな うーん
獣の皮とかにかくか?」
いや街の人が獣の皮広げながら
歩くとかカオスだろ…
「お話中すいません。飲み物おいときますね。
それよりも…面白そうな話をしてますね。」
飲み物とか言いながら
トムにプリンのお代わりを
運んできたワプがそう言ってきた。
「あぁワプちゃん こりゃぁ
ひとなみくるぜ金のな!」
「へぇ アキさんその知識で
うちも助けてくださいよー」
身を低くして机においてある
地図を見ながら上目遣いで俺に振り向く。
か…かわいいじゃないか…
「それより 何かいいたそうだったけど」
トムの一言で改めて話に戻る。
…もう少し見てたかった。
「あぁ紙だったら軽いし
持ち運べるんじゃないかなってな。」
「「カミ?」」
このカタコト感からみるに
紙を知らないのか…
「カミってなんです?」
「植物から作る薄くて軽いヤツだよ」
以外と紙ってなんかと聞かれたら
つまるもんなんだな。
「へぇ確かにそんなのがあんなら
それが最適だな。おまえそれ
作れんのか?」
「小学校の頃 作ったことがあるんでな」
「「ショウガッコウ?」」
…嘘だろ?
「じゃあ作り方教えっから
ちょちょいとそこらの雑草かってくるわ」
そんなことを言うと
「ダメですよアキさんこの敷地…この街の
中の植物を採取してはいけないと
条例で決められてます。」
「マジで?」
「環境のためですよ。」
知らなかった…
でも雑草くらいはいいんじゃないか?
わからん。
「まぁ俺らもあの条例が
出た時はビックリしたなー」
「はい。」
やっぱり珍しい条例なんだな
確かに草刈ったらだめとかいくらなんで…
「条例が十条以上急に増えて
あの時は徹夜しました。」
「この街の城の人達もずっと街で
覚えさせるために言いまくってたしな」
…え?そっち?
「とりあえずダメですよ
草とかとるなら街の外に出ないと。」
「でも街の外ってレベル40ないとダメだろ」
「私が取ってきますよ。」
「ワプちゃんなら安心だな
オレが行くより安全だし」
「え?」
「アキさんに言ってなかったですね
私のレベルは50ですよ?」
マジで?
「ちなみに俺は46だ。
ワプちゃんは魔法のレパートリー
多いしよっぽどの事がないとやられないよ。」
スゲーな。
「草ならなんでもいいんですか?」
「いやなんて言うか
できるのと出来にくいやつがな」
そう。紙は材料によって完成度が
全く異なるのだ。
「それは困りましたね。仕方ないですね。
アキさんもついてきてください。」
「え でも俺レベル…」
「レベル50以上の人が一緒なら
40なくても大丈夫なんですよ。」
それ保護者的なやつじゃん。
「俺は今日遅いし帰るわ
紙できたら教えてなー」
そう言ってトムが出ていく。
いつの間にか日が暮れていた。
ふと俺は机の下にトムのハンカチが
あるのに気づく。
「ちょっとトムさん忘れ物」
俺は慌てて店を出るがもういなかった。
「トムさんはテレポートで
帰ったんでしょう。」
ワプがそう言った。
「なんでここで唱えなかったんだ?」
「店の天井に穴が開きますからね。」
その設定はあるのかよ!
「今日は遅いので明日にしましょうか。」
「そうだな。」
今日は早めに寝るとするか
明日 なんだかんだクエストなんだから
そう思っていると
「今日も教育お願いしますね!
今日はブツリ?ですよね。初めての
内容なので楽しみですっ」
頬を赤らめてそんなことをワプが
子供のような笑顔で言ってくる。
どうやら今日も深夜コースらしいです(泣)。